漫画から得られる体験やワクワク感は、時に仕事のアイデアとなったり、ベンチャーマインドを刺激して起業家たちの背中を押してくれる。ビジネスの最前線で戦う“漫画好き”社長51人に、仕事や人生の指針となっているとっておきの座右の漫画を教えてもらった。
SkyDrive代表取締役CEO 福澤知浩/『進撃の巨人』
起業家として大切な視点を発見
諫山 創(いさやまはじめ)のデビュー作であり、巨人と人間との壮絶な戦いを描いた大ヒットダークファンタジー。結末に向けて、物語は加速していく。「起業家は日々、新しい世界に直面する。実は敵は国の中にいた、島の外に世界は広がっていて自分が見えているのはごく僅かだったなど、この作品のパラダイムシフト的なものに共感します。世界の転換に響くものは何か、自分が見えているものは何か、世界とは何かを考えるきっかけになりました」
Tomohiro Fukuzawa
1987年生まれ。東京大学を卒業後、トヨタ自動車にてグローバル調達に従事。2018 年に「空飛ぶクルマ」の開発・製造・販売を行うSkyDriveを創業し、代表に就任した。
イタンジ代表取締役CEO 野口真平/『闇金ウシジマくん』
闇金の世界を通して知る“お金”と“人間”の真価
社長・丑嶋(うしじま)が陣頭指揮をとり、10日5割という暴利の金貸しと徹底した取り立てを行う闇金融業者「カウカウファイナンス」。そこを訪れる客の人間模様や社会の闇をリアルに描きだす。「起業したてでお金に苦労した時期にこれを読み、恐怖を感じたのを覚えています。実業家であればリスクを取ることは必要ですが、周りの信用を失うような行為や、お金の価値を見誤って粗末に扱ってはいけないと教えてくれる作品でした。今読み返しても震えます」
Shinpei Noguchi
1989年生まれ。早稲田大学在学中に学生向けSNSの開発や起業を経験し、’18年より現職。不動産賃貸市場でNo.1シェアの電子申込サービスなどを展開している。
リブセンス代表取締役社長 村上太一/『ベイビーステップ』
徹底的な言語化が成長につながる
成績は小学生の頃からオールA 。勉強にしか興味がなかった丸尾栄一郎が、高校入学を機にテニスと出合い、その魅力に取りつかれてプロを目指すことになる。「主人公はものすごい努力家で、気になることをひたすらノートに書いて言語化。学びを自分自身に落としこんだうえで、徹底的に改善を繰り返し急成長していく。その姿に刺激を受けました。最近読んだ漫画のなかで一番学びが多かった作品です」。第38回講談社漫画賞少年部門受賞作。
Taichi Murakami
1986年生まれ。2006年にリブセンスを設立、’12年に史上最年少の25歳で東証一部上場。独自のデータ活用技術を用いたウェブサービス事業を複数展開している。
アイスタイル代表取締役社長兼CEO 吉松徹郎/『MOONLIGHT MILE』
解像度高く未来を見通す力の必要性
元会社員の主人公・猿渡吾郎が、人類に残された最後のフロンティアである宇宙に挑む。「宇宙が身近になった時代のなかで、どのようにビジネスをスタートさせ、必要なスキルを身につけるのか。決して絵空事のSFではない、宇宙で働くということをリアリティを持って描いた、映画のような漫画でした。漫画としての面白さだけではなく、どれだけ解像度を高く未来を描けるか、未来を見通す力の大事さを改めて感じさせる作品です」
Tetsuro Yoshimatsu
1972年生まれ。アクセンチュアを経て、’99年にアイスタイルを設立。同年12月にコスメ・美容の総合サイト「@cosme」をオープンさせた。2012年に東証一部上場。