役者・滝藤賢一が毎月、心震えた映画を紹介。超メジャー大作から知られざる名作まで、見逃してしまいそうなシーンにも、役者のそして映画のプロたちの仕事はある! 役者の目線で観れば、映画はもっと楽しい!!
自分の根っこの部分を掘り起こし続けること
誰もが知るレディー・ガガの女優デビュー作『アリー/スター誕生』。『アメリカン・スナイパー』『ハングオーバー!』のブラッドリー・クーパーが相手役の超人気ロックシンガーを演じます。彼の初監督作品でもある今作。本当はクリント・イーストウッドが監督する予定だったのを譲り受けたそうです。
レディー・ガガはデビュー前、ストリップクラブでダンサーとして踊っていたりと随分と苦労していたのは有名な話。今回、本名のステファニーの名で演じ、自身の過去を反映したような役どころです。歌手になることを夢見て、昼はウェイトレス、夜はバーで歌う日々。ロックスターとの出会いで大きく人生が動き、歌姫へと変身していく様は、まさにレディー・ガガ本人です。
私が無名塾時代、仲代達矢氏は「チャンスは3回訪れる」と仰っていました。
そのチャンスを摑めるかどうか、それをチャンスだと気づく嗅覚があるかどうか。チャンスを迎えた時のために日々、自分を磨き、そして、その力を発揮できる運がなければなりません。
日本という狭い国で、これだけ多くの才能豊かな俳優たちが埋もれているなか、第一線で活躍できるのはひと握りの人間だけ。
クーパー演じるジャクソンの「自分の根っこの部分を掘り起こし続けないと、この厳しい世界では生き残れない」は、とてつもなく心に響いたセリフでした。
『アリー/ スター誕生』
才能を見出され歌姫となる若い女性と、反比例して堕ちていくロックスターの愛憎ドラマ。ブラッドリー・クーパーの監督デビュー作。レディー・ガガが初めて役者に挑む。
2018/アメリカ
監督:ブラッドリー・クーパー
出演:レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパーほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
12月21日より全国公開