CAR

2021.01.21

マクラーレンが示す新たな“GT”

スーパーカーに快適性や利便性も追求したのが「マクラーレンGT」である。レーストラックでの戦闘力を最大限発揮する一方、快適に移動を楽しむGT性能にもさらなる磨きがかかった。そんなマクラーレンGTを駆って、日本有数の温泉地・熱海を目的地とした1泊2日のショートツーリングへ出かけた。McLaren GT

マクラーレンの考える新たなGT

F1直系の超高性能車を市販投入するマクラーレンが“GT”を独自に新解釈。それが「マクラーレンGT」である。そもそも高性能の証として用いられるGT(=グランドツーリング)とは、かつて若き英貴族が見聞を広めるためにヨーロッパ大陸を文字どおり大陸移動する際に乗るクルマだった。

英国製GTとはつまり、ロングドライブに長けた快適性を持つ高性能モデルのこと。

全方位視界良好なコクピット。上質なナッパレザーとデジタルインフォテインメントが融合したエレガントかつシンプル仕立て。透過率を調整できるルーフの採用で開放感あるドライビングが楽しめる。

その点、このマクラーレンGTはブランドの頂点を極めるハイパースポーツシリーズのアルティメット(限定生産のミリオンプライス)と同じDNAを持ち、快適性とエアロダイナミクスを追求。スポーツカーの俊敏性とロングドライブ性能をかけ合わせた、まったく新しい第4のシリーズとして加わった。

最大の特徴はエンジンの真上にゴルフバッグやスキー板など長尺物も搭載できる420ℓの荷室容量を備えている点にある。ミッドシップスーパーカーにもかかわらず、大人ふたりがツーリングに出かけられるユーティリティを持ち合わせるのだ。

0→100km/h加速は3.2秒、最高速度は326km/hに達する。

マクラーレンのトラックマシンと共通の設計思想が随所に息づく。心臓部には620ps/630Nmを誇るV8ツインターボをミッドシップマウント。低回転域からパワーを盛り上げるターボラグの少ないエンジンから生まれる力は余裕そのもの。怒涛の加速が味わえるものの、節度ある大人らしさが印象的だ。

注目すべきは、GT性能を大幅に向上させるプロアクティブ・ダンピング・コントロール・システムの搭載により、優れた乗り心地を実現しているということ。その乗り味は終始スポーツサルーン顔負けの滑らかさ。全方位視界がよいというマクラーレンの美点も相まって都心を流しても扱いづらさは皆無で、快走路を飛ばしても至極快適。それは起伏の激しい峠道でも同じ。鼻歌交じりでタイトコーナーを走れるほど軽快な身のこなしを見せつけた。

乗車定員は2名。電動式リアゲートを開くと長尺物も搭載できる420ℓの荷室容量を備えている。NASAと共同開発した、擦り傷にも強くナイフでも切れない“スーパーファブリック”という新素材を荷室に採用。

一方、ドライブモードを「S(スポーツ)」にすればクルマの挙動はすぐさま豹変。右足の動きに呼応するよう荒々しく野太いノートが深く身体を煽り立てる。片道100㎞のツーリングでは疲れ知らずで、まだまだ走り続けたくなるほどだった。

温泉地・熱海を目的地とした1泊2日のショートツーリングなんてあっという間。ツアラーとしても活躍できる洗練された乗り味に、これでサーキットも走れるという懐の深さに魅力を感じた。刺激的なマクラーレンGTの走りを楽しんだあとは、THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS熱海で宿泊。“泊まる”だけでなく“食べる”ことにもこだわった“滞在するレストラン”では、贅沢な熱海の幸と良質の湯に癒やされる。

“最幸の移動”を体現する

THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS熱海

数寄屋造りの建物にもよく馴染むマクラーレンGT。THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS熱海 TEL:0557-52-3301

流麗で伸びやかなプロポーションを持つマクラーレンGT。アイデンティティである上方に開くディヘドラルドアを採用し、乗降時の存在感を際立たせる。他のマクラーレン同様、車体骨格には軽量かつ高剛性なカーボンセルで構成。そのマシンづくりはGTといえども変わらない。

コンフォータブルにも、はたまた潑剌(はつらつ)としたレーシーな走りにも。ハレとケを行き来できるこんなスーパーカーは今まであっただろうか?

“最幸の移動”を体現するのがマクラーレンGTの真骨頂。エグゼクティブのガレージに加えたい1台だ。

英カストレ

英カストレとマクラーレンによる高機能コラボアパレルが登場。高い通気性と撥水性を備えた軽くて高機能なソフトシェルジャケットはドライブシーンに好適。カストレ  ¥48,500 ※詳細はこちら

 

McLaren GT ¥26,950,000〜 ※詳細はこちら

ボディサイズ:全長4683✕全幅2045✕全高1213mm ホイールベース:2675mm
車両重量:1530kg
エンジン:V型8気筒ツインターボ 排気量:3994cc
最高出力:620ps/7500rpm 最大トルク:630Nm/5500〜6500rpm
乗車定員:2名

TEXT=ダニエル利樹

PHOTOGRAPH=デレック槇島(StudioMAKISHIMA)

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