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2022.06.04

食のコンシェルジュ・森田恭通の会食する店の選び方──連載「経営とは美の集積である」Vol.26

仲間内では食のコンシェルジュと呼ばれる森田恭通氏でも、会食の店選びには毎度悩みが尽きないという。少しでもゲストを喜ばせたいと思う気持ちで、日々、情報のアップデートや新規開拓、時には、食ツウの友の力を借りることも。デザイナー森田恭通の連載「経営とは美の集積である」Vol.26。

森田連載

80歳が寿命としたら、食べられる夕食はあと約9000食

コロナ禍において、自粛が続いていた会食ではありますが、一対一など少人数から会食をはじめられる方も多いのではないでしょうか。僕は食べることが大好きなうえ、レストランやバーのデザインを依頼いただくことが多いからか、いろいろな方からお店選びの相談を受けます。スマホにはお気に入りや気になるホテルとレストランを国別にリスト化した〝森田メモ〞も作っています。

そんな僕でも大切な方との食事のセッティングには、時に仕事と同じぐらいの熱量で考え悩むこともあります。好みや人数だけでお店を選べるのなら、こんな楽なことはありません。でも相手の方が食事は短時間で済ませ、バーに移動してからゆっくり飲むのが好きな方なのか、それともレストランにじっくり腰を据え、お酒と食事を楽しむ方なのか、それによっても選ぶ店が変わります。またテーブル席がいいか、カウンターで横並びがいいのか。前日に何を召し上がっているのだろうか。あれこれ想いは尽きません。

ちなみに僕自身が食事を楽しむ際に選ぶのはカウンター席が多いです。シェフの動きを眺めながらお酒を飲み、料理が仕上がる工程を見るのは、とても楽しい時間です。

僕は15年ぐらい前から、ロンドンをベースとするコミュニティ「ソーホーハウス」の会員になっています。ロンドンだけでなく、アジアやヨーロッパ、アメリカにもコミュニティハウスを構え、レストランやホテル、バー、なかにはボウリング場やシネマを備えているハウスもあり、会員はどの施設も利用できます。メンバーになるには、少なくとも2人の紹介を受け、その後運営委員会の審査もある。いわば一見さんでは利用できない、京都の花街のようなシステムです。信頼されて初めて通える。また通うことで流儀を教えられ、人との付き合い方も学ぶ。そして友人も広がっていき、結果、さまざまな視点で楽しめるのです。

先日、愛用しているアプリで僕は死ぬまでに何回食事ができるのかを考えてみました。80歳が寿命として、夕食でいうと、食べられるのは約9000食ぐらい。こう考えると1食がとても大切です。幸い、僕の周りには美味しいお店を知るフーディや素晴らしいシェフがたくさんいて、お店や食の情報には事欠きません。世界120ヵ国・地域を食べ歩いている世界一のフーディ浜田岳文(たけふみ)さんや美食評論家の中村孝則さんをはじめ、ソムリエの資格も持つ本田直之さんやゼットン創業者の稲本健一さんなどの友人たちを、いつも頼りにさせてもらっています。また会食にかけては百戦錬磨の銀座のママやお茶屋の女将も僕の心強い相談相手です。

あれこれ悩みが尽きない会食のセッティングではありますが、常に「ご一緒する相手に喜んでいただきたい」「この店を気に入ってもらえたら」という気持ちでお店を選んでいます。そしてお互いがあらゆる五感で感動し、それを分かち合い、会話が弾むことで楽しい時間を共有する。それが会食の醍醐味ではないでしょうか。そのためにも日々食の情報はアップデートし、その店に通い、シェフと語らい、学ばせていただくことが大切だと思います。

※連載「経営とは美の集積である」

Yasumichi Morita
1967年生まれ。デザイナー、グラマラス代表。国内外で活躍し、2019年オープンの「東急プラザ渋谷」の商環境デザインを手がける。その傍ら、’15年よりパリでの写真展を継続して開催するなど、アーティストとしても活動。オンラインサロン「森田商考会議所」はこちら。

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連載
森田恭通/経営とは美の集積である。

デザイナーとして、多くの経営者の経営展望や理念、彼らの求める機能やニーズに応えてきた森田恭通氏。そのなかに見えたのは、経営者こそが持つ、オリジナリティ溢れるセンスと美学だという。「経営」と「美」の関係性、その先にあるものとは。

TEXT=今井 恵

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