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2024.10.08

キーマンが語る、グレンモーレンジィ オリジナルが12年熟成へと深化した狙い「全員一致で選んだ味だった」

約180年前に創業者たちによってリリースされて以来、世界中でその芳醇な味わいが愛されてきたシングルモルトウイスキー「グレンモーレンジィ」。そのフラッグシップウイスキーである「グレンモーレンジィ オリジナル10年」が、2024年、新たに「グレンモーレンジィ オリジナル 12年」となって生まれ変わった。ブランドを代表する歴史あるウイスキーをアップデートした理由とその狙いを、最高蒸留・製造責任者であるビル・ラムズデン博士に聞いた。

「グレンモーレンジィ」最高蒸留・製造責任者であるビル・ラムズデン博士

ブランドの真髄を表現する「グレンモーレンジィ オリジナル」

実は学生時代に初めて飲んだウイスキーがグレンモーレンジィであり、その味に感動したことから、ウイスキー醸造家になろうと決めたという最高蒸留・製造責任者ビル・ラムズデン博士。1995年にグレンモーレンジィに参画して以来約30年、すべてのウイスキー造りに携わっている。

「『グレンモーレンジィ オリジナル』とは、その名の通りグレンモーレンジィ“らしさ”を表現しているウイスキーです」と語るビル博士。

仕込み水には敷地内にある「ターロギーの泉」から湧き出る、スコットランドでは珍しいミネラル豊富な硬水を使用。スコットランドで最も背の高いポットスチル(蒸留器)によって造り出されるフルーティで華やかなスピリットを、アメリカンオーク樽で熟成し、より繊細で芳醇な味わいを生み出していく。まさにグレンモーレンジィの真髄を味わえるのがこの「オリジナル」といえるだろう。

「グレンモーレンジィ」蒸留所
1843年スコットランドのハイランド地方に創業。グレンモーレンジィを象徴するのが、スコットランドで最も背の高いオリジナルのポットスチル(蒸留器)。雑味のないピュアな蒸気を抽出することで、グレンモーレンジィの特徴であるフルーティで華やかな味わいを生み出している。熟成には最高級のオーク樽を使用。代々受け継がれてきた、熟練の職人の高い技術によって丁寧に仕上げられるウイスキーは、世界で高い評価を受けている。

そんな「オリジナル」がこれまでの10年熟成から12年熟成となり、2024年8月に新たに「グレンモーレンジィ オリジナル 12年」としてリリースされた。そのきっかけは、どんなところにあったのだろうか。

「グレンモーレンジィのテロワールを表現しているウイスキーですから、味を伝え続けるために大きく変えることはしたくありません。ただ、味わいを忠実に守りながらも、常によい味を追求することは必要だと考えています。そのために熟成樽の種類を変えたり、蒸留し立てのスピリッツを取り出すタイミング(カットポイント)を変えたりと、これまでもさまざまな試みは続けていました。そんな試みのひとつが、熟成を10年から12年にすることだったのです」

「グレンモーレンジィ」最高蒸留・製造責任者であるビル・ラムズデン博士
ビル・ラムズデン博士/Dr. Bill Lumsden
学生時代にバイオケミストリー(生化学 )の博士号を取得。1995年にグレンモーレンジィ社に入社し、1998年より現職。科学的バックグラウンドと、長年にわたるウイスキー製造の経験、さらに芸術的センスによって、世界屈指のウイスキークリエイターとして数々の賞を受賞。アードベッグ蒸留所の最高蒸留・製造責任者でもある。

長期熟成を支えるのは上質なスピリッツ

ウイスキーにとって樽熟成とは、蒸留器から抽出された原液(ニューメイクスピリッツ)の荒々しさに丸みを与え、樽と原酒の化学変化によってバニラやココナッツなどのまろやかな風味を与える重要な工程だ。生化学の博士号を持ちカスク・マネジメントのパイオニアとしても知られるビル博士だが、さらなる2年の熟成というチャレンジは、なによりもスピリッツの質の高さを追求し続けてきたからこそだ。

「樽熟成は、そもそもスピリッツのクオリティそのものが上質であることが非常に重要です。グレンモーレンジィには45年務める蒸留担当者もおり、高い技術で常に最上の品質のスピリッツを造り出しています。その上質なスピリッツをゆっくりと樽で熟成し、時には取り出したサンプルを手のひらにつけてこすり、さらなる香りを確かめるなどして、ウイスキーの風味のバランスが整うのを待ちました」

「グレンモーレンジィ オリジナル 12年」
グレンモーレンジィ オリジナル 12年
グレンモーレンジィが誇るフラッグシップウイスキー。バーボン樽で12年熟成することで、よりクリーミーでスムーズ、さらに複雑さを持つ味わいに。柑橘類と完熟した桃のなかにバニラが香り、ピーチや花のようなフルーティな味わいとともに、ウイキョウとナツメグのアロマ、さらに蜂蜜のような味わいが現れる。桃のほのかな甘みとオレンジの酸味を感じる余韻も楽しめる。700ml / ¥6,875

ウイスキーのスペシャリストが満場一致で選んだ12年

そして12年熟成を終えた樽の試飲をすることに。蒸留所にはテイスティングパネルと呼ばれる、ボトリング前に試飲をして最終審査をするテイスターチームがあるが、ビル博士は35人のテイスターに、10年と12年のふたつをブラインドテイスティングで飲んでもらうことにしたそうだ。

「何のウイスキーかさえも一切伝えずに、純粋にどちらが良いか選んでもらいました。自分の予想では結果は半々ぐらいで、その差はあまりないかと思っていたのですが、予想に反してなんとメンバーのほぼ全員が12年を選んだのです」

それが「グレンモーレンジィ オリジナル」が新たなステージへと進んだ瞬間だった。

12年を味わってみれば、立ち上る華やかな香りは間違いなくグレンモーレンジィ。しかしそんななかに柔らかいバニラの香りが現れ、絹のような滑らかな舌触りと甘さをより増した深みを感じる味わいに。

「間違いなくグレンモーレンジィのキャラクターを感じますが、より滑らかでクリーミーな舌触りを持つ、グレードアップした『グレンモーレンジィ オリジナル』になっています」

熟成年数の変更は、味わいのグレードアップのみならず、マーケット的にもよい結果に。海外、特にアメリカは「熟成は長い方が良い」と捉えられるため、これまで比較されてきた他社の12年熟成の定番商品と同じ土壌で戦えることにもつながった。

「でも実は、日本のウイスキー愛好者の方々からは『なぜ変えたのか』という質問を多く受けます。それは年数だけではなく、樽や蒸留方法などの我々のクラフツマンシップを重要視してくださっているからだと思います。蒸留責任者としては、とてもうれしく感じています」

「グレンモーレンジィ」最高蒸留・製造責任者であるビル・ラムズデン博士
取材時、グレンモーレンジィ オリジナル 10年と12年のテイスティングが行われた。「10年はまず花の香りが立ちますが、12年はそこにプラスしてバニラや蜂蜜の香りをより感じると思います。そして味わいは、繊細ですが生き生きとしたフレッシュ感もあるのが10年。いわゆるグレンモーレンジィらしい柑橘やピーチ、洋梨の味わいを感じるでしょう。対して12年は、まず舌触りが滑らかでクリーミーなのが特徴です。バニラ、蜂蜜をより感じ、柑橘系もありますが、そのバランスが変わったことがわかると思います。10年からガラっと変わったのではなく、“らしさ”を踏襲しながらさらに美味しくなったのが12年なのです」

歴史を受け継ぐ味わいを、自由な楽しみ方で

この「グレンモーレンジィ オリジナル 12年」は、今年夏のリリース以来「ワールド ウイスキーアワード2024」や「インターナショナルワイン&スピリッツ コンペティション」などの名だたる競技会で賞を獲得。新たなフラッグシップウイスキーの誕生は、世界が認めるところとなった。

「とてもありがたくうれしいことだと感じています。でも、賞を取ることが目的ではありません。私にとって一番うれしいのは、グレンモーレンジィを楽しんでいる方々の笑顔を見ること。もちろん長い歴史はありますが、だからといって飲み方は必ずしもストレートでなくてはいけないといった考えはグレンモーレンジィにはありません。例えば『オリジナル12年』ならロックやハイボールにもあうでしょう。もっと自由に楽しむことのできるウイスキー、それがグレンモーレンジィなのです」

「グレンモーレンジィとは?」。その答えを味わいで表現した「グレンモーレンジィ オリジナル 12年」。脈々と受け継がれる芳醇な香りと繊細さはそのままに、一口含んだ瞬間に感じる滑らかな舌触りと甘美な味わいに、その深化を感じるはずだ。

六本木で開催された「グレンモーレンジィ ハウス」
「グレンモーレンジィ オリジナル 12年」のローンチを記念したイベント「グレンモーレンジィ ハウス 2024」を2024年9月に六本木ヒルズで開催。「グレンモーレンジィ オリジナル 12年」のほか、パッケージがリニューアルされたレアモルト「グレンモーレンジィ インフィニータ 18年」を味わう特別な3日間となった。ミシュランシェフ掛川哲司氏監修のペアリングフードのほか、ポップアップバーではゲストバーテンダーを迎え日替わりカクテルの提供などが行われ、多くのウイスキーラヴァーを魅了した。

問い合わせ
MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL:03-5217-9777

TEXT=牛丸由紀子

PHOTOGRAPH=YOSHIHITO KOBA

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