シングルモルトウイスキー、グレンモーレンジィから2023年10月、東京をテーマにした限定商品「グレンモーレンジィ トーキョー」が発売。最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士とパッケージのアートワークを手がけた画家の山口晃氏が、グラス片手に語り合った。
※銀座に「グレンモーレンジィ トーキョー」 期間限定ポップアップバーが登場! 詳細はページの最後に
希少なミズナラオークで熟成させた特別なウイスキー
「すてきに、デリシャス」なスコットランドのシングルモルトウイスキー、グレンモーレンジィは、こだわりの製法が生み出すフルーティーで華やかな味わいが持ち味。
2023年10月11日にリリースされた「GLENMORANGIE A TALE OF TOKYO」、その名も「グレンモーレンジィ トーキョー」は、最高蒸留・製造責任者で、ウイスキー界にその名を馳せるビル・ラムズデン博士が手がけた限定スコッチ。
「東京のコントラストに富んだ楽しさを凝縮したシングルモルトをつくるにはどうしたらよいか?」と考え、希少な日本のミズナラオークの樽で熟成させた。
明るく大胆な風味と柔らかな甘さを併せ持つこのウイスキーは、まるで東京の街のようにコントラストに富んだ味わいを持つ。
そして、その味わいを表現したパッケージのアートワークを手がけたのは、日本を代表する画家の山口晃氏だ。東京をテーマにしたウイスキーとアートのコラボレーションについて、ビル博士と山口氏が対談。これまでオンラインで何度か打ち合わせをしてきたふたりだが、実際に会ったのは今回がはじめてだったようで……。
世界屈指のウイスキークリエイター×日本を代表する画家
ビル博士 山口さん、はじめまして。私は1999年からほぼ毎年東京に来ていまして、東京は世界で一番好きな都市です。今回はとても素敵なアートを制作していただき、ありがとうございました。
山口 ビル博士、はじめまして。東京は私にとってはホームタウン。そんな東京の街のコントラストをさまざまなカタチで反映させつつ、グレンモーレンジィに関するヒントを盛り込むアートの制作はとても楽しく、遊び心が刺激される経験でした。
ビル博士 テイスティングしていただいた「グレンモーレンジィ トーキョー」はいかがでしたか?
山口 博士からウイスキーは水を足すと香りが開くと教わって試してみたところ、香りを感じとれるようになりました。これはオレンジの香りかしら? と、想像しながら味わっていたのですが、ウイスキーの深い味わいのなかに分け入っていくのは難しいものですね。
ビル博士 そうですね。実際にテイスティングして香りを言葉で表現することは、とても難しいと思います。専門家の私でも、その日の状態によって感じ方は違うんですよ。
山口 そうなんですか?
ビル博士 テイスティング中、ひと口ごとに異なるフレーバーを捉えられる日もあれば、まったくダメな日もあります。
山口 そういうものなんですね。
ビル博士 バーボン樽とシェリー樽の両方で熟成させるグレンモーレンジィは、スコットランドのウイスキーのなかでも特に複雑で多彩な味わいのあるウイスキーです。それに希少なミズナラオークの樽で熟成させた長期熟成酒をブレンドした「グレンモーレンジィ トーキョー」には、さらに多彩な味わいがあります。いわば、味わう度に予期せぬ新しいフレーバーに出合えるようなウイスキーなんです。毎回新しい発見があるという意味では、このパッケージのアートも同じですね。
山口 「グレンモーレンジィ トーキョー」はじっくり味わうと液体の中に溶け込んださまざまなものが表れてくるので、絵の中にも紛らわせました。東京タワーや上野公園といった東京のランドマークの間には、「グレンモーレンジィ トーキョー」にちなんだディテールをたくさん散りばめています。
ビル博士 それを探すのが実に楽しい。絵の中のキリンはグレンモーレンジィの味わいを作るのに欠かせない、キリンの高さのポットスチル(蒸留器)にちなんだモチーフですね。
山口 はい。よく見ていただくとキリンの足のように見えるのは隣の工事作業員の足で、キリンの頭に見えるのは街に立っているモデルの女性のバッグなんです。
ビル博士 えっ、気付きませんでした!
山口 ふふふ。ところで、キリンの高さのポットスチルにはどんな効果があるのですか?
ビル博士 このポットスチルはキリンのように首が長いので、蒸気が繊細になり、香りやフローラルな成分が抽出できます。一般的なポットスチルだと、もっとオイリーでフルボディに仕上がるんですよ。
山口 なるほど。
東京のコントラストに富んだ楽しさをウイスキーで表現
ビル博士 絵の中には「グレンモーレンジィ トーキョー」の熟成に用いた樽の素材であるミズナラオークも描かれていますね。
山口 はい。ミズナラの樽は味わいにどんな影響を与えるのですか?
ビル博士 ミズナラオークの樽で熟成させるとハーブや樹脂、そしてアフターシェーブローションを思わせるような、非常に特徴的な香りが生まれます。ミズナラオークはずっと使ってみたいと思っていましたが、希少で手に入れるのが困難。何年もかかってやっと少量の樽を入手することができ、今回、やっと完成しました。
山口 そうなんですね(グラスのウイスキーを嗅いで香りを探る)。
ビル博士 そうそう、私は絵の中の時計塔の針が18時43分を指しているところや、酒場の建物に1843という数字が描かれているところも気に入っています。1843年は蒸留所の創業年ですから。絵の中には私がまだ発見していないディテールがもっとたくさん隠れているのだろうと思うと、ずっと見続けたくなってしまいます。
山口 絵の中のご自分は見つけられましたか?
ビル博士 さっき4人見つけました。
山口 全部で5人描いたので、どこかにもうひとりいるはずです。
ビル博士 どこでしょう?
山口 あれ? 僕もわかりません(笑)。
ビル博士 あはは、では後で探します。ところで山口さんはこのアート作品を制作する時、どんなことを意識されたんですか?
山口 そうですね、今回意識したのは説明的にならないように、言葉とは違うところからこのウイスキーの本質を表現することです。このパッケージを見ることで「グレンモーレンジィ トーキョー」を飲んだ時のことを思い出してもらえればいいなと思いながら、複雑な要素が飽和して溶け合った総体としてフワッと立ち上がるものを大切にしました。例えば3時間の映画を見た後に、その3時間を思い出す一瞬に心をよぎる体験の総体がその映画の印象となるように、絵の色、図像、意味のレイヤーの総体として立ち上がるものを通してウイスキーを表現しようとしました。
ビル博士 なるほど。東京は賑やかな街並みと静かな庭園、モダンなビルと伝統的な建物など本当に多彩なレイヤーが重なっている都市。この作品は東京という都市と、グレンモーレンジィというウイスキーを見事に表現していますね。ところで、随所に描かれた雲のオレンジ色は、グレンモーレンジィの特徴であるマンダリンやレモンのフレーバーを連想させます。雲は何かの象徴ですか?
山口 東京の街を俯瞰したこの絵には遠近がないので、雲は画面に抜けをつくって息苦しさを解消してくれますし、稠密な画面において目を導いてもくれます。また、異なる場面や時間を繋ぎ合わせてもくれるなど作画上とても有用です。雲は屏風絵や浮世絵といった日本の伝統的な絵画によく描かれるモチーフです。私は油画出身なのですが、油画という海外から来たものを咀嚼して日本の伝統に取り入れてゆくときに、出自を忘れないようにしたいという思いもあって、日本の伝統的な絵画手法を採用しているんです。
ビル博士 なるほど。お話を聞いて、このアート作品がますます好きになりました。本日はありがとうございました。
山口 こちらこそ、ありがとうございました。
グレンモーレンジィ トーキョー
銀座に「グレンモーレンジィ トーキョー」 期間限定ポップアップバーが登場!
銀座の人気バー、Bar LIBRE GINZAにて「グレンモーレンジィ トーキョー」のポップアップバーが2023年12月31日までオープン。
バーテンダー清崎雄二郎氏とBar LIBRE GINZAチームが「グレンモーレンジィ トーキョー」をベースにしたスペシャルカクテル5種を用意。個性あふれる味わいを堪能したい。
問い合わせ
MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL:03-5217-9732