2023年、東京・新宿におにぎり専門店をオープンし、「朝昼晩、ほぼ毎日おにぎり」という、「おにぎり まんま」オーナーの本明秀文氏に、おにぎりを引き立たせるイチオシのお供を紹介してもらった。
手間をかけないと本当に旨いものは生まれない
米の銘柄に炊き方、握り方、そして、“おにぎりのお供”とも呼ぶべき具にこだわり、オープン以来行列の絶えない人気店、「おにぎり まんま」(旧名は「おにぎり ぼんこ」)。運営するのは、長らくスニーカーカルチャーを牽引してきた本明秀明氏だ。おにぎりブームの立役者、「おにぎりぼんご」の右近由美子さんとタッグを組み設立した。
「おにぎりという食文化を世界に広めたいし、お米の消費量問題にも貢献したい。そう考え、右近さんにお声がけしました」
店を切り盛りするのは、本明さんの下でスニーカーのバイヤーを務めた後、「ぼんご」に惚れ込み、同店に転職。1年間修行した橋本信伍氏。
「おにぎりって仕込みに時間がかかるんですよ。でも、手間をかけないと、うまいものはできませんからね。信吾と共にスニーカーを長靴にはきかえ、おにぎりに合う具を日夜研究しています。今は朝昼晩、ほぼ毎食おにぎりです(笑)」と本明氏。
本明氏は、数年前、自身が体調を崩したのを機に、“身体に入れるもの”の大切さを実感したという。
「身体のことを考えたら、ちゃんとしたものを食べるのが一番。おにぎりは毎日食べても飽きないし、ご飯がベースで添加物が入っていないから、具さえちゃんとしていれば、身体にいい。今の僕の目標は、おにぎりを通じて世界中の人を健康にすることです」
2024年7月末には大阪・梅田に、発酵食品を使った新感覚のおにぎりを提供する「発酵まんま」を開店。本明氏の“おにぎりのお供”探しは、これからも続きそうだ。
本明秀文氏の究極のご飯のお供
1. タコチャンジャ/望遠市場
大きめ蛸の食感と深い旨味はおにぎりとの相性抜群
日本全国、時には海外まで足を延ばし、おにぎりに合う具を探しているという本明氏。店では、期間限定を含め、常時60~65種類の具を揃えている。なかでも女性客に人気なのが、「タコチャンジャ」。おにぎりに合う具材を求め、橋本氏と一緒に韓国に出かけた際、望遠市場で出合った「タコチャンジャ」をマイルドにアレンジした「おにぎり まんま」のオリジナルだ。当初は、「韓国フェア」で提供した期間限定メニューだったが、あまりの売れ行きに、このたび定番メニューに加わった。
「タコチャンジャは日本でも売られているけれど、望遠市場のものは蛸が大きくて、旨味も深い。おにぎりに最高に合うんですよ。他のタコチャンジャでは替えが効かないから、月1回、韓国に出かけ、30㎏ほど仕入れてきます。『分けてほしい』と言われることが多いので、小瓶に詰め、店舗での販売も始めました」
2.焼き海苔/まる良伊藤海苔店
おにぎりをしっかり包みこむ厚めで風味豊かな焼海苔
本明氏が具材と共にこだわっているのが海苔。いろいろ食べ比べた結果、まる良伊藤海苔店が業者用に販売している焼海苔を使っている。
「おにぎりに使う焼海苔は、厚みが大切。探し歩いて都内にある海苔問屋さんから仕入れています。厚くてしっかりした歯ごたえで、おにぎりを包むのに最適なんですよ。うちの店で使っている海苔は業務用なので同じものは買えませんが、個人でも、量が多めになりますが販売しているそうです。おにぎりを握る際にぜひ一度、試して欲しいですね。他の海苔に戻れなくなりますよ」
ちなみにお米は、「粒が大きく、ふっくら握れる新潟県産コシヒカリがイチオシ」だが、すぐに食べない場合は、もっちりして水分が飛びづらいミルキークインがお薦め。「おにぎり まんま」では、午前中は新潟県産コシヒカリを使用、午後販売する持ち帰り用は、夕方あたりに食べると推測し、ミルキークインを使っているという。
「炊飯は、電気釜ではなくガスで。自宅では、土鍋に昆布だしと煮干し3匹入れて炊いています」