GOURMET

2024.05.25

東京の名店「銀座 やまの辺 江戸中華」が琉球料理とフュージョン! 沖縄・石垣島のスペシャルディナーに潜入

2024年4月、5年連続でミシュラン一つ星を獲得している東京・銀座の名店「銀座 やまの辺 江戸中華」と、沖縄・石垣島の「フサキビーチリゾート ホテル&ヴィラズ」がコラボレーションし、ディナーイベントを2日間にわたって開催。江戸中華と琉球フュージョンのエクスクルーシブな饗宴の様子をレポートする。

麻婆豆腐を調理中

石垣島で唯一無二のコラボディナーを堪能!

NHKの朝の生活情報番組『あさイチ』への出演など、メディアでも話題の「銀座 やまの辺 江戸中華」(以下「銀座 やまの辺」)オーナーシェフ・山野辺仁氏。「銀座 やまの辺」は2019年から5年連続でミシュラン一つ星を獲得している、江戸中華の名店だ。

沖縄県・石垣島の「フサキビーチリゾート ホテル&ヴィラズ」とのコラボレーションは、石垣島に移り住んだ山野辺氏の友人の縁で同ホテル内のレストラン「琉球新天地」を訪れたことがきっかけ。

「琉球新天地」は、中国や薩摩、台湾、東南アジアなど、東シナ海一帯の各国との交易により発展した沖縄独自の食文化と郷土料理を表現するフュージョンレストランであり、そのコンセプトに山野辺氏が共感し、料理長である伊藤穣氏とのコラボレーションが実現したという。

2日間のイベントには「銀座 やまの辺」の常連客はもちろん、「あの山野辺シェフに一度会ってみたい!」という熱狂的なファンなど、全国各地から約100名のゲストが駆けつけた。

「皆さんのために特別な料理をご用意しました。思う存分楽しんでいってください」という山野辺シェフの言葉で、ディナーはスタート。沖縄の食材をふんだんに使った、江戸中華×琉球フュージョンの料理が次々と運ばれてくる。

「石垣牛の北京ダック」

ディナーの幕開けを飾った一皿目は、「石垣牛の北京ダック」。地元のブランド牛・石垣牛の脂は甘みが強く、口に含むと体温で柔らかくとろけていく。

「石垣産ミニトマトの杏露酒ゼリー寄せ、やんばる鶏のよだれソース、石垣マグロとピータンの前菜」

続く前菜は、「石垣産ミニトマトの杏露酒ゼリー寄せ、やんばる鶏のよだれソース、石垣マグロとピータンの前菜」。沖縄本島北部で取れるやんばる鶏や石垣産のマグロといった地元食材のポテンシャルの高さが光った。

「春雨とカラスミの冷製」

「春雨とカラスミの冷製」に使われたノコギリガザミは、石垣島近海でとれるワタリガニ科の一種。地元以外ではめったに出合えないという食材だ。

また、コースの中盤には両シェフによる即興のライブキッチンが行われ、参加者たちのボルテージは急上昇。

山野辺シェフのデモンストレーション

石垣牛をレアのまま使い、山野辺氏がその場で握り寿司に。伊藤氏が用意する石垣牛のローストビーフには、キャビアが贅沢に盛り付けられ、華やかなサプライズに会場全体が湧きたつ。

「麻婆豆腐」

さらに、麻婆豆腐作りのデモンストレーションでは、両シェフが使う食材や調理過程の違いを、ゲストの目の前で披露。麻婆豆腐は「銀座 やまの辺」の名物でもあり、今回は天然トラフグの白子入り「石垣牛の麻婆豆腐」を提供した。

「やまの辺特製冷やし担々麺」

締めには「やまの辺特製冷やし担々麺」でさっぱりと。肉みそは石垣牛を使って濃厚に。ゴーヤを練り込んだ特製麺は、伊藤氏の出身地である北海道産ウニとも相性がよく、まさしく古今東西が融合した一品となった。

沖縄民謡を踊っている参加者

イベント終盤には、「銀座 やまの辺」の食事券やホテルの宿泊券が当たるじゃんけん大会と沖縄民謡のパフォーマンスが開催され、会場の熱気は最高潮に。石垣島というリゾート地ならではの開放感や高揚感が、ここでしか味わえない“至高の贅沢”に華を添えた。

「僕自身がイベントを一番楽しみました」(山野辺仁)

山野辺シェフと伊藤シェフ
左:「フサキビーチリゾート ホテル&ヴィラズ」のレストラン「琉球新天地」の料理長・伊藤穣氏 右:「銀座 やまの辺 江戸中華」オーナーシェフ・山野辺仁氏

2夜連続のコラボレーションイベントを終えた山野辺氏と伊藤氏に、大盛況だったイベントを振り返ってもらった。

——今回の食材はどのように決めましたか?

山野辺 石垣牛やアカマチ、シダ植物の一種のオオタニワタリなど、使いたい食材は僕の方で事前にピックアップしたものがいくつかあります。例えばアカマチは、石垣近海でとれる白身魚で地元では高級魚のひとつ。蒸し焼きにして琉球独自のゆし豆腐と合わせ、オオタニワタリを添えて提供しました。

ただ、食材は基本的には旬が勝負。僕の場合、こういったイベントであってもどんなメニューにするか決めるのは直前か、一度決めたとしても変更するケースも多い。今回もそういったメニューがありました。伊藤シェフがそれを許してくれたことにも、感謝をしています(笑)。

伊藤 やんばる鶏は身そのものが美味しいのはもちろんですが、「フカヒレ入り新天地薬膳蒸しスープ」では3、4時間かけて煮込んで出汁をとり、杏仁の風味で仕上げました。ノコギリガザミも、石垣ならではの食材。東京ではなかなか味わえない料理を、皆さんには楽しんでいただけたんじゃないかと思います。

——山野辺シェフは沖縄・石垣の食材が持つポテンシャルをどのように感じましたか?

山野辺 沖縄の食材は魚も野菜もとても個性的で、中国料理とは相性がいいと思います。例えば、ゆし豆腐は台湾の豆腐花(トウファー)と近いし、沖縄そばや八重山そばも、いわゆる日本の「そば」とは違う独特の味。大陸と地理的に近い琉球は、食文化でも日本というよりはアジアに近いのではと感じました。

特に印象的だったのは、やはり石垣牛ですね。刺身で味わうもよし、火を入れるもよし。今後もぜひ他の機会に使いたい食材です。

——来年もまたコラボイベントを実施する予定はあるのでしょうか?

伊藤 「フサキビーチリゾート ホテル&ヴィラズ」では旅における食の魅力が特に重要な要素と考えているので、コンセプトに共感いただき今回のコラボが実現したことに感謝しています。ぜひまたこうした機会を設けられたら嬉しく思います。

山野辺 採算度外視でもいいから、とにかくゲストにハッピーになってもらいたい。どこにいても、まずは自分が目の前の出来事を一番に楽しむこと。これは、どこにいても変わらない僕のモットーです。今日の出会いが参加してくれた皆さんにとっていい縁になればいいなと思います。来年以降もあるかどうか……。それは伊藤シェフがまたお声がけをしてくれるかにかかってますね(笑)

TEXT=安永真由

PHOTOGRAPH=FUSAKI BEACH RESORT HOTEL & VILLAS

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