全国の450以上の蔵を訪ね、日本酒の知見を高めてきた中田英寿氏。その中田氏が日本酒の海外市場拡大のために今、考えていることとは――。【特集 ニッポンのSAKE】
海外進出に関する蔵元の悩みを解決
日本酒に魅せられ、その発展のために活動する中田英寿氏。これまでに日本酒を最良の状態で保管する日本酒セラー、日本酒や酒蔵の情報を多言語で発信する日本酒アプリ「Sakenomy」の開発などを行ってきた。
また、2013年には「十四代」高木酒造の協力の元、海外向けブランド「N」を1000本限定、高価格帯で販売。これはマイナス5度の最適なコールドチェーンをつくるために、ディストリビューターに魅力ある商品が必要であったこと。また、当時1本5000円でも高いと言われていた日本酒マーケットに対し、意図的に高級酒市場をつくることが目的だった。
そんな中田氏が今、「美味しい日本酒を、世界中の人に届ける」べく取り組んでいるのが物流及び販売データ管理システム「Sake Blockchain」だ。
それは徹底した品質管理と販売管理で、流通の最適解を導きだすプラットフォーム。海外進出や販路開拓には関心があるが、「品質・販売管理の懸念が払拭できない」「世界の消費者嗜好がわからない」という蔵元の悩みを解決するためのものだ。
日本酒の海外市場が拡大し、世界中のレストランで状態のよい美味しい日本酒が当たり前のように置いてある、そんな未来を思い描き、中田氏はこれからも活動を続けていく。
日本酒の海外市場拡大のためのサービス「Sake Blockchain」
「Sake Blockchain」は酒蔵からディストリビューター・販売店、飲食店までの流通における情報を可視化。各拠点で日本酒の状態から在庫数、商品回転率がわかることでユーザーのビジネスを最大化する。
今後は日本酒のみならず、焼酎ほか、さまざまな食材に横展開されていく予定。
温度と滞在時間の可視化で品質管理
酒蔵から商品が出荷されて消費者のところに届くまで、「どこで、何日間、何度(℃)で保管されたか」を追うことができる。
データに基づく製造・販売計画の最適化
現地に足を運ぶことなく、商品を取り扱っている世界中の各流通拠点の在庫回転率を確認でき、売上げ予測をすることができる。
市場分析で世界中の消費者嗜好を把握
世界中の国、地域、レストランジャンル、席数、価格帯といった切り口で販売データを表示。市場を分析し、販売計画に活用。
ブランドコミュニケーション
消費者が商品についた販売管理のためのQRコードを読み取ることで、商品ごとのお薦めのペアリングなどの情報を得られる。
「Sake Blockchain」の詳細はこちら
この記事はGOETHE 2024年1月号「総力特集: ニッポンのSAKE」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら ▶︎▶︎特集のみ購入(¥499)はこちら