世界中の料理を知る舌をも満足させたいと、スパイスとハーブで捻りを加え、いつもと違う少し不思議な世界を体験できるフレンチ「J’apprends(ジャプォン)」が2023年4月、東京・西麻布にオープン。店舗デザインは、森田恭通氏と聞き、訪ねてみた。
ホログラムのドアに浮かぶ金の石
西麻布の路地裏にホログラムに輝くドアが出現。ドアの中央の丸窓に顕微鏡で覗いたように、不思議な金の物体が浮かび上がっている!? これが噂のSFフレンチ(少し不思議なフレンチ)かと早くも胸が高まる。
レストラン名はジャプォン。店内はカウンターが7席、奥にテーブル4席の個室がある。
「激戦区といわれるこのエリアに新しくオープンしたこの店の期待値は未知数。西麻布であえてゼロから勝負をしようという、オーナーの思いに僕からの応援の気持ちも込めたデザインです」と語るのは、レストランのデザインを手がけた森田恭通。
オーナー自ら集めてきた約150個もの石から、森田が佇まいの良いものを選び、京都の金箔の老舗「堀金箔粉」で24金の金箔で石を包んだ。
カウンターの目の前には、左官で仕上げた土壁に、金箔貼りの石がリズミカルに配され、ダイナミックで美しい世界を創り出している。
「河原の石が金箔に包まれてデザインされると、新たに価値を持つオブジェとなる。石はひとつとして同じ形がないので、どれも唯一無二の存在です。この店もそんな風に、お客さまから愛される店になってほしいですね」
スパイス、ハーブが作り出す、唯一無二のフレンチ
料理は全10品のコースのみ(品数は時期によって変更あり)。素材は、オーナー自らが富山や高知など日本中の生産者らと直に顔を合わせて仕入れるなど、厳選されたものばかり。
富山・桝田酒造「満寿泉」の仕込み水や、中近東などで買い付けた珍しいスパイスも登場する。今回我々が最初に食したアミューズは富山県氷見の放牧豚のリエットをはさんだマカロン。
下に敷き詰めたのはワイルドペッパーでキャラウェイの葉がアクセントという、まさにジャプォンらしいシグネチャーの一品。
続いて「オリーブ・ファルシ」や前菜の「パンペルデュ」を始め、真鯵やリードヴォー、鰆などが“新しい出合いとも言える味”で次々と舌を楽しませる。
ひと口食べるごとに、カウンターで皿を仕上げるシェフに隠し味のスパイスや使っているハーブを尋ねたくなるのが、また楽しい。
飲み物はシャンパン、ワイン、日本酒(満寿泉、IWAなど)、カルバドスやブランデー、ウイスキーなどをラインナップ。ソムリエが選んだペアリング(¥10,000)も可能だ。
季節の食材に合わせて月ごとに内容が変わるコースのほか、日によって21時以降はワインを飲みながら、気軽にアラカルトで注文できる。
少し不思議なフレンチ、“SFフレンチ”を体験してみてはいかがだろうか。
ジャプォン/J’apprends
住所:東京都港区西麻布1-4-23 アルゴ西麻布
TEL:03-4360-3627
営業時間:18:00〜23:00(コースL.O.20:00)
座席数:カウンター7席、個室(4名まで)
料金:コース¥17,000〜