宿泊予約サービス「Relux」から、未体験の旅を提案する特別宿泊プラン「Inspire by Relux」が、群馬県みなかみの別邸 仙寿庵で限定開催された。2夜限定で振る舞われた特別なディナーの中身を全品完全公開する。【限定イベント「Inspire by Relux」でお披露目されたサウナはこちら】
2年の準備期間を経て完成させた至極のメニュー9品
「宿泊体験を変え、自由に日本旅館を楽しむ日」というテーマのもと、旅と食のスペシャリスト本田直之氏がプロデュースした今回の『Inspire by Relux』。群馬県みなかみの日本旅館、別邸 仙寿庵で、2022年9月3日〜5日の2日間に渡り開催された。
その料理を任されたのはパリの1つ星レストラン「Restaurant PAGES(レストラン パージュ)」の手島竜司オーナーシェフ。2年前から本田氏と手島シェフでこの日のためにアイディアを練り、パリの手法と、みなかみの地の野菜をかけあわせたメニューを完成させた。
パリからみなかみに到着した手島シェフは、まず地元の八百屋や農家を回り旬の野菜をセレクト。さらにメインとなる仔豚は、2年前から三重県でこの日のために飼育していたという。手島シェフとみなかみの地、そして別邸 仙寿庵が生みだした、もう2度と食べることはできない特別なディナーコース。その1品目は──。
1.今まで味わったことのない!? 複雑な風味のスープ
まず最初に登場したのは「しじみと鶏のスープ」。
中央に浮いているのは、彩り鮮やかな3種の香りオイル。グリーンはハーブ、赤はパプリカ、そして紫はマー油。香りオイルがスープに混ざると、滋味深いしじみと鶏のスープにさらなる奥行きを与え、これまで味わったことのないような複雑な味に変化する。
ペアリングのワインは「フィリップ コラン シャサーニュ モンラッシェ プルミエ クリュ レ ショーメ2018」。果実感と酸、ミネラルのバランスに優れ魚介や肉、両方に合うので、しじみと鶏の味わいとの相性も抜群だ。
2."テーマは発酵"。日本酒とキャビアを合わせる贅沢
2品目は、「イカとキャビアの発酵ソース」。
発酵した白菜でイカとキャビアを包み、ヨーグルト状のクリームソースをまとっている。合わせるのは、江戸時代の熊本在来種の稲、穂増(ほませ)で仕込んだ希少な日本酒、花の香酒造「産土 2021 穂増 HOMASE」。微発泡のこの酒が、発酵をテーマにしたキャビアの料理に複雑なニュアンスを与える。
3.パリも驚いたUMAMIのソース
続いては「ハタのソースパージュ」。
ハタのフリットに、「日本の旨味をパリで再構築した」と手島シェフが語るパリの店でも人気「ソース PAGES」を合わせた。イタリアのオレンジワイン「ヨスコグラヴナー リッボラ2011」は、ソースとハタの凝縮した旨味がベストマッチ。
4.鰻を、手でつまんでいただく新感覚
今回のメニューのなかでもっともチャレンジングだったと手島シェフが語るのが「鰻とブリオッシュのコンテチーズソース」。
「鰻を手で食べるメニューを作りたい」と、別邸 仙寿庵の厨房スタッフとともに編みだしたのは、天然に近い状態で養殖されている鹿児島の泰斗商店の鰻に、バターをたっぷり含んだパン、ブリオッシュをあわせた1品。
表面の水分が少なく旨味がたっぷりつまったコンテチーズと鰻の相性も抜群だ。日本酒の一種である貴醸酒「仙禽オーガニックナチュール 2022 〈W:kijoshu〉貴醸酒」と合わせてその濃厚な味わいを多くのゲストが楽しんだ。
5.檜の香りが食欲をそそる、大胆なしかけ
「パリで人気のオマールエビを日本のテイストで」と手島シェフが考えたのは、「オマールエビのすべて 檜の香り」。ゲストの目の前で、オマールエビを檜の葉で蒸す手法で、部屋には煙が立ち込め驚きとともにその香りで、テーブルの前のゲストのさらなるリラックスを誘った。
またこの檜の葉は、手島シェフ自らが別邸 仙寿庵の厨房スタッフとともに集めたもの。合わせたのは、丁寧に栽培、手摘みでぶどうを収穫するなどしてつくられた「ドメーヌ・パヴロ コルトンシャルルマーニュ・グランクリュ 2018」。
6.地元の野菜を使った、彩り豊かなサラダ
6品目に供されたのは、手島シェフがみなかみの農家をめぐり、オクラやフルーツトマト、オリーブといった新鮮な野菜を数々入手、パリから持ち込んだビネガー、オリーブオイルで味付けした「地元野菜のサラダ」。
手島シェフが「土地のものだけで表現をしてみたかった」と語るとおり、別邸 仙寿庵の厨房スタッフにも、どこにどんな野草や野菜があるなどアドバイスを受け、選りすぐりを盛り付けた。
7.この日のために肥育された最高級豚
肉料理は、この日のために肥育された三重県・菰錦豚の仔豚を、8時間かけてじっくりローストした「特別肥育の仔豚のロティ」。ローストの際には、手島シェフの地元である熊本の「赤酒」が幾度も塗りこまれ、深い味わいと香りを纏った。
こちらも手島シェフが自ら摘んできたニラの花と、キャベツ、みなかみで育った雪割茸を添えて。ともにいただくワインは「アンベール・フレール ジュヴレ シャンベルタン プルミエ クリュ2014」。仔豚の柔らかい身質に繊細な果実感と余韻の長いミネラル感を合わせた。
8.ゴージャスなTKGで鮮やかな〆を
〆はなんと「トリュフTKG」。トリュフのかかった熱々ご飯で、トリュフバターを溶かし、卵とカシューナッツをかけていただく、TKGすなわち「たまごかけごはん」。
やまわさびとトリュフのスープとともに濃厚なトリュフの風味を感じながら、最後までトリュフを味わい尽くす。そこに赤ワイン「ドメーヌ リショーム レ・テラス2015」を合わせていただくことで、より一層贅沢にトリュフを堪能した。
9.デザートは別腹! パリの味をそのままに
デザートはパリの店でも出しているという「生姜風味のマンゴーライムのソルベ」。「本当は一緒に来日する予定だったパティシエの思いも込めて作りました。パリの風を感じていただきたいです」(手島シェフ)。シャーベットの上にはクリーム、ドライフラワーがあしらわれたプレートが。猿田彦珈琲のイエメンの浅煎りコーヒーとともに。
以上、夢のような9品が別邸 仙寿庵での夜、ゲストたちの前に舞い踊った。手島シェフと本田氏いわく、「あえて料理は少し多めにお出しし、満腹になって、最高の寝床でゆっくりと眠ってほしかった」ということ。このディナーを食すことのできた幸運な36組72名は、その狙い通り、満足満腹で眠りに落ちていった。
■限定イベント「Inspire by Relux」でお披露目されたサウナはこちら
Naoyuki Honda
レバレッジコンサルティング代表取締役。オンラインサロンHonda Lab.主宰。ハワイと東京に拠点をかまえ世界中を旅する。2019年に第1回「Inspire by Relux」をプロデュース、佐賀の日本旅館、御宿 竹林亭と日本料理 傳のコラボレーションを実現した。
Ryuji Teshima
1976年熊本県生まれ。19歳から地元熊本でフランス料理の修行を始め23歳でソムリエの資格を取得。26歳で渡仏、3つ星レストラン「Lucas Carton」で修行をしたのち、精肉店などで食材を学ぶ。2014年「Restaurant PAGES」をオープン。ミシュランガイドで1つ星を獲得。
別邸 仙寿庵
住所:群馬県利根郡みなかみ町谷川614
TEL:0278-20-4141
Restaurant PAGES(レストランパージュ)
住所:4 RUE AUGUSTE VACQUERIE-75116 PARIS
TEL:+33 (0)1 47 20 74 94