GOURMET

2022.10.11

美味しいものを少しずつ食べ放題で! 京都・祇園のジビエ料理店

紹介者がいなければ訪ねられない店が京都にはある。同じ価値観を持つ店主と客がつくる空間は心地よく和やか。伝手(つて)を探して訪れたい。【特集 京都の秘められしスポット】

Gibier MIYAMA

「鹿肉のパテ」は、最初の4品のひと皿。エストラゴンやチャービルなど無農薬で栽培された香草をたっぷり添えて。

時間を忘れ寛げる路地奥の店「Gibier MIYAMA」

花街・祇園のなかでも、とりわけ風情のある石畳の路地を進むとたどりつくのが「Gibier MIYAMA」。京都・美山のジビエや野草などを使ったコース料理を味わえる紹介制のレストランだ。L字型のカウンター前には炭焼場があって、食材が焼ける様子だけでなく、香りや焼ける音など、五感で料理を楽しめるライヴ感もいい。

Gibier MIYAMA

「月の輪熊のしゃぶしゃぶ XO醤ソース」。月の輪熊のスライス肉をコンソメ出汁にくぐらせ旨味を封じこめて。

オーナーシェフの神田風太さんは、花街のワインバーなどで調理やサービスを経験した人物。幼い頃から出身地・美山のジビエや野草に親しんだこともあり、それぞれの特徴はもちろんのこと、旬や味わい、個性の引きだし方にも長けている。

「料理人の使命は、顔の見える生産者から仕入れたポテンシャルのある食材にひと手間かけ、その味わいを際立たせること」だと言う神田シェフ。そのコースは、4品のおまかせ料理の後、30種類の小皿料理から好きなものを好きなだけ選べるもの。美味しいものを少しずつという花街スタイルを貫く。

Gibier MIYAMA

祇園北側の路地奥。夜になると行燈(あんどん)が灯り、より花街の雰囲気に。

Gibier MIYAMA

芸舞妓さんの団扇が飾ら
れる。

「今日行きたい、明日食べたいとおっしゃる花街のお客様に応えるためにも、ずっと予約が詰まるような店にしたくはなかったんです。気心の知れたお客様に安心して、時間を気にせずゆっくり食事をしていただきたいと思ったことが紹介制にした理由です」

この場所での出合いを大切に、人と人、人と食材など、さまざまなものをつなげることも、自分の役目なのだと意気込む。

Gibier MIYAMA

L 字型のカウンター席。不揃いのアンティークチェアが並ぶ。

Gibier MIYAMA(ジビエ ミヤマ)
場所:京都市東山区祇園町北側
※紹介制 予算¥28,000~

【特集 京都の秘められしスポット】

TEXT=中井シノブ

PHOTOGRAPH=竹中稔彦

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