小康状態になったとはいえ、まだまだ油断ならない新型コロナウイルス。自宅でゆったり過ごす人もいれば、ホームパーティに赴く人もいるはず。そんな時にぜひお供にしたいワインを、レアモノや高級銘柄など、一流の味を知るワインジャーナリスト・柳忠之氏が厳選! 今旬のテーマ別にセレクトしたワインを3日間にわたりお届けする。今回は【セレブ/熟成古酒編】。
セレブがプロデュースするワイン
映画監督のフランシス・フォード・コッポラを筆頭に、ワイン好きが高じてワイン造りにまで走るセレブのなんと多いことか。単なる名義貸しのブランドも少なくないなか、ここに挙げる3人のセレブは本気も本気。ワインの品質はすこぶる高く、ギフトにも最適だ。
①Y by YOSHIKI カベルネ・ソーヴィニヨン オークヴィル ナパ・ヴァレー 2018
YOSHIKIプロデュースの最新ワイン
X JAPANのリーダーYOSHIKIがプロデュースするワイン。それが「Y by YOSHIKI」。オーパス・ワンを生み出したロバート・モンダヴィの孫、ロブ・モンダヴィをパートナーに、妥協を許さず徹底した完璧主義で醸造される。このワインは最高級プレミアムレンジの最新ヴィンテージ。あのオーパスともタメをはる余韻の長さ。
②フルール・ド・ミラヴァル・ロゼ NV
ロゼワインの次は超高級ロゼ・シャンパーニュ
ハリウッドセレブのブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが南仏プロヴァンス地方にシャトー・ミラヴァルを買い、ワインを造り始めたのが2012年。毎年、夏至の日にリリースされるロゼが大人気だ。そして新たにブラピが始めたのがロゼ・シャンパーニュ。醸造は名門RMのピエール・ペテルス。エレガントで深みのある味わいだ。
③イル・パラジオ シスター・ムーン2016
スティングの名曲を聴きながら味わいたい
イル・パラジオはミュージシャンのスティングが、妻で女優のトゥルーディー・スタイラーとともにイタリアのトスカーナ地方に所有するワイナリー。2000年からブドウを植え替え、オーガニックで栽培。彼の名曲と同名のワイン「シスター・ムーン」は、サンジョヴェーゼにカベルネとメルロをブレンドしたスーパータスカン。
早飲みが過ぎるというあなたに飲み頃ワイン
技術の進歩で若いうちから飲みやすいワインが増えているのも事実だけど、世界中でワインが飲まれるようになった結果、古酒の数は減るばかり。熟成したワインには若いワインにはない奥深さがある。是が非でも手に入れたい熟成古酒を2本見つけた。
①パイパー・エドシック オール・セリィ 1971
’70年代にばびゅんとタイムスリップ
オール・セリィとは雑誌なら別冊、物語りなら番外編という意味で、イレギュラーなキュヴェを指す。これはシェフ・ド・カーヴのエミリアン・ブティヤがセラーの中で偶然見つけた1971年。気泡は目視できないものの、口に含むとわずかな発泡を感じる。活力があり、フレーヴァーは重層的。’70年代にタイムスリップするシャンパーニュ。
②ミシェル・ゴヌー ポマール プルミエ・クリュ グランゼプノ 1997
妖艶にして官能的なブルゴーニュ古酒
ボルドー以上に入手困難なのが熟成したブルゴーニュ。ところがポマールの造り手ミシェル・ゴヌーは、今でも’90年代や’80年代のワインをセラーに保管。クライアントのオーダーに応じて出荷する。古典的な造りなので、飲み頃が訪れるまで時間がかかる。もともとパワフルなポマール。ようやくこなれた1997年は、円熟した艶香が漂う。
Tadayuki Yanagi
GOETHE本誌でもお馴染みのワインジャーナリスト。1000円未満のデイリーワインから、100万円以上のグランヴァンまでを網羅する。先日、モエ・エ・シャンドンに招かれ渡仏。1921年までの18ヴィンテージを試飲し「100年前のモエは身悶えするほど美味しかった」のだとか。