AND MORE
2024.05.09
【ヒトラー・悪の出世学】統括者になれば、実績は得意分野でのみ作る。他は部下に丸投げ
権力を握ることは悪ではないが、激しい闘争を勝ち抜き、のしあがった者に“ただのいい人”はいない――。最強にして最悪といわれる3人の独裁者、ヨシフ・スターリン、アドルフ・ヒトラー、毛沢東。彼らの権力掌握術について徹底的に分析した『悪の出世学』(中川右介著)から、ヒトラー部分の一部を抜粋。第3回。→ 第1回から読む

あえて無能な者に留守を任せる
ヒトラーの獄中生活は逮捕から数えても一年ほどで終わった。1924年12月には釈放されてしまうのだ。
その間、ドイツの中央政府は新通貨に切り替えることでハイパーインフレを脱した。そう決断させたのには、間接的にヒトラーの一揆が影響しているのかもしれない。さらにロンドンで国際会議が開かれ、ドイツを救済することも決まり、アメリカから多額の資金が融通された。賠償金問題も解決しインフレも解決したので、ドイツ経済は快復していった。
ヒトラーの入獄中、ナチスの党運営はアルフレート・ローゼンベルク(1893~1946)に任せられた。この人物は反ユダヤの論客として知られ、彼の代表作『二十世紀の神話』こそがナチス思想の基本となった。こんにちでは、まともな本とされていないが、ゲルマン民族の優位性を解説したこの本はミリオンセラーとなり、ドイツ民族主義、反ユダヤ思想のテキストとなった。
しかし本を書く能力と、政党の管理運営の能力とは別である。ローゼンベルクが指導者となると、党は大混乱に陥った。ヒトラーの人事は失敗したのだろうか。
ヒトラーにはローゼンベルクが知名度はあっても実務的には無能であることが最初から分かっていたようだ。ヒトラーはあえて無能な者に留守を任せたのである。自分の留守中に党が拡大してしまったら、その者に権力と権威が渡り、ヒトラーが出獄してきた時には乗っ取られているかもしれない。
ヒトラー自身が他人が作ったナチスを乗っ取った男である。それゆえに、党首という立場がいかに脆いものかを知っていた。ヒトラーとしては、自分が出獄して鮮やかに再建するためにも、留守中の党は低迷し混乱していないと困るのである──と、そこまで考えていたのかどうかは確証はないが、そういう説がある。
いまならばインターネットもあり、たとえ海外にいても即時に連絡がつくが、ちょっと前までは企業トップが長期出張に出る場合、留守中の権限を誰に委ねるかは重要な課題であった。
有能な者に留守を預ければ、乗っ取られる恐れもある。といって、あまりにも無能な者に任せて組織そのものが潰れてしまっては、元も子もない。
ナチスの場合、結果としてヒトラーが党の再建に成功したからいいようなものの、危険な賭けであった。
ヒトラーはローゼンベルクに全権を委ねると、彼との接触も避けるようになった。『我が闘争』の口述に集中していたのだ。
ヒトラーはナチスにおいても、後には国家全体においても「独裁者」なのだが、何から何まで自分で決めるタイプではなかった。大きな方向は決めるが、その後は部下に丸投げしてしまい、一切、口出ししない。自分の興味のあることにしか関心がなかった。部下の段階で決定しかねる問題があれば、いろいろな意見を出させた上で決断していた。その点においては、下の者からすると、「理想の上司」だったのかもしれない。だが、自分にとって邪魔になる者は容赦なく、粛清した。
PICK UP
-
WATCH
PR2026.4.24
信頼のアフターサービスを約束する「ロレックス ブティック 大丸神戸」 -
WATCH
PR2026.4.24
現役を終えたスノーボーダー竹内智香、リシャール・ミルと歩んだ妥協なき道のり -
WATCH
PR2026.4.24
歌舞伎・中村隼人が纏う、ジャガー・ルクルトの新作時計「魔力が宿うような魅力がある」 -
PERSON
PR2026.4.24
「指輪や時計は付けない」ピアニスト・清塚信也唯一のアクセサリーとは -
LIFESTYLE
PR2026.4.24
【6/27体験会開催】エグゼクティブの新しい嗜み、プレミアム電動ジェットボード「awake」 -
LIFESTYLE
PR2026.4.24
THE RAMPAGE・武知海青、韓国「インスパイア・エンターテインメント・リゾート」に潜入 -
LIFESTYLE
PR2026.4.27
マセラティ新型「MCPURA」初披露。三上博史「ちょっと狂気が入ってる感じ」【1日試乗権進呈】 -
LIFESTYLE
PR2026.4.30
熊本・天草で1泊2日。ランボルギーニと過ごす極上ステイ【7/3-4特別招待】 -
LIFESTYLE
PR2026.5.15
ベントレーで熱海を駆け抜け、海中熟成ワインと美食に酔いしれる。「UMITO 熱海 別邸」での至高の休日【ラウンジレポート】
MAGAZINE 最新号
2026年6月号
会員制への誘い
仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ6月号』が2026年4月24日に発売となる。総力特集「会員制への誘い」では、最新の会員制クラブをご紹介。ファッション特集「Tied-Up or No-Tie?」では、Vゾーンに着目したお洒落の流儀をお届けする。表紙はKis-My-Ft2・玉森裕太。
最新号を購入する
電子版も発売中!
GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ
忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。



