日本でもおなじみの、アジア太平洋地域に広がる世界屈指の高級時計専門店、The Hour Glassがシンガポールで「IAMWATCH」を開催。世界で名を轟かせる独立時計メーカーと熱狂的な時計愛好家たちが直接コミュニケーションできる華やかな会場には、活気と情熱が漲っていた。
エンスージアストに向けた一歩先行く時計の祭典
シンガポールの熱帯の空の下、2024年10月17日から20日にかけて、The Hour Glassが主催する「IAMWATCH」が開催された。
このイベントは時計愛好家にとってまさに楽園。会場となったのはラグジュアリー感漂うザ・シンガポール・エディションホテル内のボールルームで、一歩足を踏み入れると、そこは時計という名の花が咲く華やかなボタニカルガーデンのようだった。
IAMWATCHは、独立時計メーカーの創造性と情熱を凝縮した4日間の祭典だ。参加者は、時計の心臓部を覗きこみ、職人たちの技と革新的なデザインを間近で見ることができる。まるで時計が語りかけてくるようなそんな体験が待っていた。
JC BIVERの現代と古典の双方を融合させたデザイン、AKRIVIAの洗練された美しさ、URWERKの独創的な構造、REMY COOLSの遊び心、GIRARD-PERREGAUXの伝統と革新、ULYSSE NARDINの革新的なデザインなど個性豊かなブランドの粋を感じる。さらに新たなる才能を秘めたメーカーも加わり、会場の熱気を高めていた。
人生を彩る新たな時との出会い
各ブースでは、熟練の時計職人たちが自らの手でつくりあげた芸術的な時計を丁寧に紹介してくれる。時計愛好家たちはただ時計を眺めるだけでなく、時計職人との直接的な交流を楽しむことができる。
自分の腕に合う時計を探す真剣な表情、時計の歴史について熱心に質問する姿、新しい時計との出会いに喜ぶ、すべての参加者たち。職人の情熱と知識に触れ、時計が単なる時間を測る道具ではなく、人生そのものを豊かにする芸術作品であることを具現していた。
IAMWATCHは単なる展示会を超え、時計愛好家たちのコミュニティが育まれる場所であり、熱狂と創造性に満ちた場所。そして時計が人生を彩る芸術作品であり、自分自身を表現するツールであることを教えてくれる。ここで出会った新たな時計や人は、きっと参加者すべての心に深く刻まれ人生をより華やかに彩っていくことだろう。
時計づくりの“面白さ”ってなんですか?
革新を目指す時計界のオピニオンリーダー6人の答え
革新を目指す時計界のオピニオンリーダー6人の答え
1.JC BIVER
時計は人生そのもの
「時計づくりは、小さな部品を組み合わせてひとつの美しいものをつくり上げること。そうして完成した時の喜びは格別だ。大変なこともたくさんある。しかし時計を通して、今までたくさんの人と出会ってきて、時計は私の人生を豊かにしてくれた。時計づくりは単なる仕事ではなくて、歴史と未来をつなぐ創造的な旅。時計は永遠の時間を刻む。だから時計づくりは、自分の名が永遠に残るものをつくっているようなもの。時計は私の人生そのものなんだよ」
Jean-Claude Biver/ジャン-クロード・ビバー
ファウンダー&ウォッチメーカー。1949年ルクセンブルク生まれ。かつてブランパン、ウブロ、タグ・ホイヤーなど数々の高級時計ブランドを率いた伝説的人物。2023年、自身の名を冠したブランドJC BIVERを設立。時計界に革命を起こし続けている。
2.AKRIVIA
不完全な美しさを愛している
「完璧な時計なんて存在しないと思っています。むしろ不完全さが、そこにある歴史や人間の温もりを物語っている。私はそんな不完全な美しさを愛している。時計を通して私は世界とつながり、自分自身を見つける。古きよき時計づくりの技術を大切にしながら新しいことに挑戦したい。それは伝統と革新の融合であり、自分自身の成長でもある。自分の魂を込めた時計が誰かの手元に渡り、その人の人生の一部になる。そんな瞬間が何よりも嬉しいんです」
Rexhep Rexhepi/レジェップ・レジェピ
ファウンダー&ウォッチメーカー。1987年コソボ生まれ。若くしてスイス時計界へ。2012年、AKRIVIAを設立。伝統と現代を融合した独創的な時計で注目を集め、ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリなどを受賞。独立時計師として世界で活躍。
3.URWERK
実験であり、冒険
「機械式時計の心臓が刻むリズム、複雑な歯車の噛み合わせ、それを覆う美しいデザイン。それらすべてが、私にとって小さな宇宙であり果てしない探求の対象。時計づくりは私にとって実験であり、冒険です。伝統的な技術をベースに、常に新しいものを生みだすのが私と私のチームの情熱なのです。時計づくりは孤独な作業であると同時に、多くの人々との出会いをもたらします。時計を通して人々に驚きと感動を与え続けたいと考えています」
Felix Baumgartner/フェリックス・バウムガートナー
コ・ファウンダー&ウォッチメーカー。1969年オーストリア生まれ。スカイダイバーとして成層圏からダイブする世界記録を樹立。その後、時計への情熱を傾け、URWERKの共同創設者に。革新的な時計デザインで知られ、時計業界に新たな風を吹きこむ。
4.GIRARD-PERREGAUX
壮大な物語を紡いでいける
「時計づくりは、歴史と革新、伝統と未来が織りなす壮大な物語を紡ぐこと。私たちがつくる時計は、過去の匠たちの情熱と技術、そして未来への私たちのビジョンが凝縮された、いわば生きている芸術作品です。例えば、ロレアートやブリッジのようなアイコンモデルは、単なるデザインではなく、時計製造の歴史における重要なマイルストーンを刻むもの。ブランドが持つ歴史やストーリー、そしてそこに込められた情熱が大切だと思っています」
Patrick Pruniaux/パトリック・プルニエ
CEO。1972年フランス生まれ。タグ・ホイヤー、アップルを経て、2017年にユリス・ナルダンのCEOに就任。2018年からはジラール・ペルゴのCEOも兼任。ソーウインドグループのCEOとして両ブランドの独立と発展に尽力。
5.ULYSSE NARDIN
SNSを通じたコミュニケーションツール
「時計は精密機械であり芸術作品であり、今やSNSを通じたコミュニケーションツールにもなっています。特にフリークエントシリーズは私たちの挑戦の象徴です。SNSでも大きな話題となり、若い世代からも多くの支持を集めています。SNSは私たちと顧客をつなぐ大切なツールです。ハッシュタグの#UlysseNardinをつけて、皆さんの腕時計の写真をシェアしたり、交流したり、議論したり。世界的なコミュニティをもっと築いていきたいですね」
Matthieu Haverlan/マチュー・ハヴァラン
マネージング・ダイレクター。1977年フランス生まれ。高級時計業界で長年の経験を積む。2017年よりユリス・ナルダン マネージング・ダイレクターに就任。伝統と革新を融合させたブランド戦略で、ユリス・ナルダンのさらなる成長に貢献する。
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アワーグラス銀座 TEL:03-5537-7888