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2024.03.29

【ロジェ・デュブイ】斬新な傑作クロノグラフを生み出す、“サヴォアフェール”の凄さ

デジタル全盛の時代になぜ機械式時計をつかうのか。その答えをロジェ・デュブイが教えてくれているような気がする。鍛え上げられた職人の技術によって生みだされる美しき時の流れ。そこにはデジタルでは持ちえないロマンが詰まっている。

ロジェ・デュブイ「エクスカリバー スパイダー レヴェルト フライバッククロノグラフ」

老舗ブランドに負けない存在感

ロジェ・デュブイといえば、時計好きはみな独創的なデザインを思い浮かべるだろう。機械式時計というクラシックな世界にありながら、未来を想像させる大胆でパワフルなデザインは、他ブランドと一線を画し、固有の世界観を漂わせている。

ブランドの創業は1995年。18世紀、19世紀に創業した老舗ひしめく高級時計の業界においては、まだまだ“新参者”といえるかもしれない。それでもロジェ・デュブイが存在感を放っているのは、機械式時計の新しい可能性を切り拓いてきたからに他ならない。

“フルスケルトン”に込められた矜持

ロジェ・デュブイ「エクスカリバー スパイダー レヴェルト フライバッククロノグラフ」

デザインのインパクトが強すぎるため、つい見逃されがちだが、その斬新なデザインを支えているのは、時計作りの確かな技術だ。デビューから4年後の1999年には早くも自社開発のムーブメントを製作。2001年にはジュネーブ郊外にマニュファクチュールを建設した。

ロジェ・デュブイの多くの時計は、フルスケルトンで作られており、正面からも裏側からもムーブメントの美しい動きを眺めることができる。そのために彼らは0.1mmほどのネジから直径2〜3mmの歯車まで丁寧に意匠を施し、丹念に磨きあげる。

そこに息づくのは妥協なき“サヴォアフェール”。フランス語で鍛錬を重ねた職人たちによる匠の技術という意味を持つ。虫眼鏡どころか電子顕微鏡で拡大して見なければわからないような細かい部分まで彼らの“サヴォアフェール”は行き届いている。凄まじいほどの伝統技術の集積によって、美しく近未来的な機械式腕時計が作られているのだ。

驚愕の最新クロノグラフ

ロジェ・デュブイ「エクスカリバー スパイダー レヴェルト フライバッククロノグラフ」

このロジェ・デュブイの神髄を体現しているといえるのが、最新コレクション「エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ」だ。スポーティでアグレッシブ、複雑なレイヤーが組み合わされ奥行きを感じさせる文字盤は、シンメトリーで建築的な美しさを感じさせる。さらによく見て、触ってみると、この時計にとんでもない技術が詰め込まれていることがわかってくる。

高級時計の世界において、クロノグラフも、クロノグラフ秒針が瞬時にゼロ位置に戻るフライバック機能も珍しくない。だが、実際に操作して驚いたのは、まずその使いやすさ。こういう言い方をしてしまうと身も蓋もないのだが、高級時計におけるクロノグラフは、「実際に使うためのものではない」と思っている。クロノグラフ機能はあるものの、ボタンが小さかったり、固くて押しにくかったり。数百万円の時計をストップウォッチ代わりに使う人は、そうそういないだろうから、それがスタンダードだと思っていた。

だが、「エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ」のクロノグラフは実用的だ。ボタンも大きく、スムーズに押すことができる。それだけでブランドがこの時計の強度、耐久性に自信を持っているのが伝わってくる。

さらに驚きをもたらしたのは、正確に作動する垂直クラッチと特許申請中だという「クロノグラフ ブレーキングシステム」だ。クロノグラフをリセットするとき、多くのクロノグラフウォッチではリセット時にかすかに針がブレる。ロジェ・デュブイはそのブレを抑えるブレーキシステムを開発し、この腕時計に搭載した。

ブレといってもほんの小さなものだ。ブレ幅は0.01mm程度、時間にすると0.01秒もないかもしれない。でも実際にピタッと針が止まるのを見てしまうと、とても気持ちよく、それが当たり前のように思えてくる。そしてその当たり前を実現するために、どれほどの技術が詰め込まれたかに思いいたり、嘆息せざるをえない。

3時位置に設置された「120°回転式のミニッツカウンター」は特許取得の技術。小さなスペースで30分を計測するアイデアは斬新であり見事。6時位置にはコラムホイールを配置。その美しい造形を眺めることができる。9時位置の12°の傾斜をつけたバランスホイールによって、重力の影響を軽減、トゥールビヨン同等の安定性を獲得しているという。

ジュネーブ・シールの信頼感

ロジェ・デュブイ「エクスカリバー スパイダー レヴェルト フライバッククロノグラフ」

見るたび、触るたび、知るたび、この腕時計が驚愕の技術の集積だということがよくわかる。しかも他の多くのロジェ・デュブイの腕時計と同じようにジュネーブ・シールを獲得している。細かいひとつひとつのパーツの精度、意匠、仕上げまで厳しく審査され、認められた名機なのだ。

大胆なデザインだけに目を奪われてはならない。ロジェ・デュブイはウォッチメーカーとして、マニュファクチュールとして、確実に進化している。伝統を重んじ、サヴォアフェールを積み重ねて未来を作る。「エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ」は、そんなブランドの意志と意地を感じる歴史的逸品といえるだろう。

エクスカリバー スパイダー レヴエルト フライバック クロノグラフ
ブティック限定88本。自動巻き、C-SMCカーボンケース、径45mm。¥15,125,000(ブティック限定販売)
エクスカリバー スパイダー フライバック クロノグラフ
自動巻き、C-SMCカーボンケース、径45mm。¥14,300,000(ブティック先行販売中、今春より全国発売)

問い合わせ
ロジェ・デュブイ銀座ブティック TEL:03-5537-5317

TEXT=川上康介

PHOTOGRAPH=五月女幸希

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