人気の高級時計をつけていると、「これって、中古だと〇万円なんでしょ」という会話になる。それほど高級時計の2次マーケットが拡大しているのだが、それとともに存在感を増しているのが、世界最大規模の高級時計専門マーケットプレイス「Chrono24(クロノ24)」だ。この会社で日本アジア太平洋地域代表を務める真木可奈さんに、これからの時計市場について聞いた。
高級時計マーケットプレイス「Chrono24」で時計をディグれ!
「当社のECサイトの場合、セラー(売り手)とバイヤー(買い手)のどちらもお客様になるのですが、日本の場合はセラーが増えていて、登録店数は世界3位です。かなりの数の商品が日本から販売されているということは、多くの時計が日本国内にあるということ。つまりは日本国内に時計好きが多いということでもあります。しかしバイヤーはまだまだこれからですね」
基本的にバイヤーは「国内から商品を買いたい」という傾向があるそうなので、日本のセラーが増えればバイヤーも伸びてくることは間違いないだろう。
「日本には何千という数の時計店があり、数千点もの時計を抱える企業も少なくない。そのため競争が激しくなり、値付けにも競争が起きる。ゆえに海外からの需要も高いのです」
しかしECで時計を買う場合、真贋(しんがん)問題は避けられない。高価な時計を買うのだから、ナーバスになるのは当然だ。
「登録を希望する販売業者に対しては、財務だけでなく、時計をどういうところから仕入れているか、これまでの販売実績はどうかなど、細かく審査します。しかしそれだけでは完璧ではないので、弊社が“仲介業者”というような形で、いったんバイヤーから購入代金をお預かりし、バイヤーが時計を確認し、ご納得したら、弊社からセラーに代金を支払います。
またドイツ本社では、バイヤーから事前に希望があれば専門チームがチェックするサービスを始めました。我々はユーザーインタビューを頻繁に行い、例えばサイズ感を知りたいという声に対しては、アプリ内でバーチャルショールームという選んだ時計が腕上にあるように見せるARのサービスを始めました」
オンラインでの購入体験を、オフラインに近づけている。
「本社CEOのティム・シュトラッケは自身も時計好きであるため、ユーザー目線でサービスを提供することには頑固で、テクノロジーを担うスタッフとたまにぶつかっています(笑)。私も時計好きなので気持ちはわかります。機械的な部分の面白さだけでなく、この時計はどういうタイミングで手に入れたのか? など物語がありますからね」
Chrono24は時計を売買するサイトだが、それ以上に「時計の楽しさを広げる入り口である」ことを強く意識する。
「ECサイトには、コスト削減や収益率の向上というメリットもあります。しかし時計ビジネスは、そういう観点だけで割り切れるものではない。趣味の要素が大きいですし、時計を選び、購入することは“楽しみ”でもあるべき。
例えば生まれ年の時計が欲しいとなった時に、時計店に足しげく通って探すのは、なかなか難しいでしょう。しかしChrono24の場合は、世界中の約50万本以上のストックのなかから探しだすことができる。また希少なモデルや知られざるブランドも扱っていますから、旅先でヴィンテージマーケットを覗くような宝探し感覚で、サイトを使ってほしいですね」
時計好きによる時計好きのためのサイト、今後に注目だ。
Kana Maki
Chrono24 Japan 合同会社 日本アジア太平洋地域代表。学生時代に時計に魅せられ、時計修理を行う店舗でアルバイトを経験。ドイツ系ソフトウェア企業を経て、2021年より現職。
Chrono24
ユーザビリティにこだわり、ブランド、モデル名、製造年などから時計を検索できる。セラーの詳細情報も明記することで、安心かつ安全に時計を購入できるようにしている。
設立:2003年
本社:ドイツ・カールスルーエ
サイト訪問者数:53万人
日時計出品数:約50万本
年間取引高:20億ユーロ(2020年)
www.chrono24.jp/