“キング・オブ・ダイヤモンド”と称されるニューヨーク発祥のジュエラー、ハリー・ウィンストン。その美しくも複雑な時計の魅力に迫る。今回は、スタイリスト・櫻井賢之氏に「HW エメラルド・オートマティック 33㎜」の魅力について聞いた。
複雑な煌めきのなかに、ハリー・ウィンストンの歴史的意味が隠れている
老舗ファッション誌の編集者だった時代には、時計担当としてスイスに新作時計の取材に行った経験もあるという櫻井賢之氏。そこで、ハリー・ウィンストンのとある時計と衝撃的な出合いを果たす。
「2001年に始まった、ハリー・ウィンストンと独立時計師によるコラボレーションシリーズ『オーパス』を現地取材しました。『オーパス1』はフランソワ-ポール・ジュルヌ氏が手がけましたが、伝統的な機械式時計のなかでここまで創造的かつ複雑な表現ができるのかと、強烈な印象を受けました」
その後独立し、ファッションディレクターを経てスタイリストとなるのだが、やはり腕時計とファッションは切り離せないものと考えている。
「他のスタイリストよりは時計には一家言(いっかげん)ありましたし、出身媒体がスーツ系だったこともあって、メンズファッションは最後に時計で決まるっていうのがセオリーとして染みこんでいる。時計があることで、その人のキャラクターが立ってくることも多い。ただし僕が気をつけているのは、時計だけが突出しないこと。足し算と引き算のバランスがファッションでは重要です」
だからハリー・ウィンストンの腕時計は、ずっと気になる存在であり続けた。
「時計のデザインや形には、一定のルールがあります。そこから逸脱せずに、どう新しさを打ちだしていくか。長く愛されるようになるかを、ブランドは深く考えている。この『HW エメラルド・オートマティック 33㎜』のケースは、スクエアでもレクタングルでもありませんが、ハリー・ウィンストンの創始者が愛した“エメラルドカット”のシルエットをデザインに落としこんでいるという正統性がある。美しいだけでなく、意味があるデザインは強いですよね。
個人的にも時計は、王道ではなくどこかに新しさを感じるものを選びたい。この時計はまさにその典型で、センターセコンドの自動巻きという点では古典的ですが、デザインや表現で挑戦しようという姿勢を感じます」
ラックから服を取りだして、スーツなどを並べ始める櫻井氏。
「この時計はネイビーダイヤルにネイビーストラップと同系色でまとめていますが、ダイヤルが複雑な煌めきを放っていて、インデックスもキラッと光るので単調にはなっていない。王道ですが、ネイビースーツのワントーンコーディネイトに合わせたいですね。デザインが凝っていて色気があるので、カジュアルなスタイルに合わせるのもいいと思います」
ハイ・ジュエラーならではのエレガンス、そして独特のオーラや色気。ハリー・ウィンストンの時計はまさに、唯一無二の存在なのだ。
HW エメラルド|インデックスのカットやダイヤルの表情など、ディテールまで美しい
左:HW エメラルド 33㎜
ベゼルとラグに、合計94個(約1.57ct)のラウンド・ブリリアントカット・ダイヤモンドをセッティング。“キング・オブ・ダイヤモンド”と称賛される美しい煌めきを楽しめる、別格のドレスウォッチだ。クオーツ、18KWGケース、39.3×33.3㎜。¥3,333,000
右:HW エメラルド 33㎜
クオーツモデルだが、秒針がないので静かに時が流れる。ミニッツトラックもないため、エメラルドカットのシルエットを模したダイヤルの繊細なサンレイ仕上げが、さらに際立ってくる。細部まで楽しめる時計だ。クオーツ、18KRGケース、39.3×33.3㎜。¥2,079,000
■建築家・石上純也氏が語るハリー・ウィンストンの魅力編はこちらから