2021年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる"活きのいい"モデルを厳選! 連載第59回は、カルティエの「タンク マスト」を紹介する。
姿を変えることなく生まれ変わった「タンク」ウォッチ
1917年の誕生以来、カルティエのウォッチメイキングを支え続けきた「タンク」。独創的なケースデザインは、第一次世界大戦における最大の会戦であったソンムの戦いで軍事史上はじめて投入された戦車からインスピレーションを得たものであり、今日では最も有名な角型の腕時計のひとつとして世界中で愛されている。
「『タンク』を身に着けるのは時間を見るためではない。実際に、巻き上げたことすらない。タンクを身に着けるのは、身に着けなければならない時計だからだ」と一大コレクターであったアンディ・ウォーホールが語ったように、「タンク」はいつの時代もスタイルを優先することで進化を遂げてきた。
「タンク」の歴史を彩る重要なコレクションである「マスト ドゥ カルティエ」は1977年に登場した。当時の最先端を走るクオーツ式ムーブメントの導入、ヴェルメイユ(金メッキを施した純銀)のケース、バリエーションに富む文字盤と、そのどれもが当時の高級時計の常識を覆すものだった。その革新性に多くの人々が魅了され、偉大なクチュリエ兼スタイリストであるイブ・サンローランも愛用者のひとりとしてその名を連ねていた。
2021年の新作「タンク マスト」はその文脈を受け継ぐ腕時計である。ここでは、3つのスタイルの中から先鋭的なソーラーダイアルを搭載したモデルをフォーカスする。
このモデルの特徴は、電池交換が必要ない長寿命クオーツとソーラーダイヤルと開発に約4年を費やした「ソーラービート™」ムーブメントとの連動によって、「タンク」らしいデザインコードを一切損なわずに革命を起こしたことにある。
偉業を成し遂げた立役者であるスイスのラ・ショー・ド・フォンに拠点を置くカルティエのマニュファクチュールでは、時計製造の伝統と現代のテクノロジーを融合することを目的に常日頃からさまざまな実験が行われている。「タンク マスト」に採用されたソーラーダイアルはその結実であり、ダイアル上のローマ数字をくり抜くことで、開口部からソーラーエネルギーをダイアルの下にある光電池に届かせる仕組みを実現させた。ムーブメントは約16年の耐久年数を持つ。これらはすべてカルティエが目指すサスティナブルな時計製造の理念に基づいて行われている。
革新的な試みはストラップでも確認することができる。採用した新素材は、40%以上をスイス、ドイツ、イタリアの農産物加工産業用に栽培されたリンゴの廃棄物で組成されており、カーフスキンストラップの製造と比較すると資源やエネルギーの消費量を大幅に削減することに成功している。
新しい時代の価値観に寄り添う「タンク マスト」はメンズ、レディスサイズの用意があり、ストラップのカラーはブラック以外にもライトグリーンとブルーの用意がある。ペアウォッチとして楽しめることも長年にわたる「タンク」の伝統であることを最後に付け加えておこう。
問い合わせ
カルティエ カスタマー サービスセンター TEL:0120-301-757