いつの時代も既存の壁を打ち破ってきた起業家が世界を変えてきた─それは時計選びにもいえること。数ある時計のなかから個性を腕元で愛でる起業家たち。仕事と人生が煌めく個性派ウォッチの魅力とは?
会社経営者moto氏「希少時計を気負わず使えば揺るがぬ個性になります」
起業家仲間の勧めもあり、一昨年からパテック フィリップを買い始めたmoto氏。
「最短距離で時計の頂点に到達したね、とよく言われます。パテック フィリップは、品質やデザイン、資産性、メンテナンス体制なども含め、手にする価値がある。好きが高じてジュネーブの本社を訪問し、パテック フィリップ ミュージアムを見てとても感動した。ストーリーとヒストリーの両面で、パテック フィリップに惹(ひ)かれています」
これだけ一気にパテック フィリップを集めてしまうmoto氏は、十分に個性的な時計偏愛家であるが、本人はいたって冷静。
「時計愛好家からは絶大なる人気のブランドですが、悪目立ちもしないし、過度な主張もない。でも、もし相手が時計好きだったら、ビジネスの場が盛り上がる。だからこそ仕事や普段使いも気負わず使えます。パテックフィリップは“見た目の派手さはないが、ブランドが確立され、手放せない”という唯一無二の存在感こそ、仕事における自分の在り方の目標でもあります」
パテック フィリップへの揺るがぬ信頼があるからこそ、希少時計を日常使いする。それもまた個性的な時計嗜好(しこう)である。
moto
1987年長野県生まれ。本名は戸塚俊介。ベンチャー企業に勤めながら副業で会社を経営。著書に『転職と副業のかけ算-生涯年収を最大化する生き方-』。
会社経営者M.T氏「腕時計を通じた個性を日々楽しんでいます」
若かりし頃、正規時計宝飾店カミネへの来店をきっかけに、機械式時計の魅力にのめりこんだM.T氏。
以来、全幅の信頼を寄せるカミネでの腕時計購入が毎月のルーティンとなり、その本数は58本を数える。
「自分なりのブームを楽しみながら収集しています。最近は、妻と時計を兼用するのがマイブーム。仲間ともかぶることもありませんし、会食などで個性を演出する手段としてはある意味究極。もちろん、大事な商談では控えめな時計をつけています」
そう話す氏の腕元を飾るのは、バゲットダイヤモンドがちりばめられたパテック フィリップの「アクアノート・ルーチェ・ハイジュエリー」。38.8㎜径という絶妙なサイズ感も相まって違和感は感じられない。
「ハズし技としてNBAの名選手シャキール・オニールとコラボしたオーデマ ピゲ ロイヤルオーク・オフショア クロノグラフもよく使うひとつです。背番号の“32”にちなんで3と2の数字位置が異なるのですが、実は家内の誕生日でもあるため大切にしています(笑)」
独自の審美眼から厳選されたM.T氏の個性派時計は、仕事と私用で、らしさを表現するための武器となっている。
M.T
1973年兵庫県生まれ。大学卒業後に起業し、製造業を営む。20代後半から時計収集を始め、幅広いジャンルに関心を寄せる時計愛好家。
カミネ代表取締役社長 上根 亨氏が愛用している個性派ウォッチとは?
上根代表が愛用する個性派ウォッチの1本として挙げたのは、昨年発表され、世界で7本のみ製造されるNAOYA HIDA & Co.のデビュー作『NH TYPE 1B』。
「伝統的なスイス時計製造を奥深く知り尽くした飛田直哉氏が、日本が誇る世界最高水準の製作技術で完成させたタイムピース。世界中を見渡しても類を見ない独特の趣と完成に至るまでの妥協なきこだわりに惹かれました」
Toru Kamine
兵庫県生まれ。1906年創業の正規時計宝飾店カミネ4代目社長。神戸市内で6店舗を展開する。時計界の目利き的存在で、媒体出演も多数。