H.モーザー初のクロノグラフとして2020年に発表されたストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック。コロナ禍の時勢に振り回されるかと思えば、これが世界中で大ヒット。そんなH.モーザー社を執り仕切る CEO エドゥアルド・メイラン氏へのオンラインインタビューが実現。話題の最新モデルについて話を訊いた。
開発に時間をかけた意欲作
19世紀、スイスとロシアを股にかけて活躍した時計師・起業家ハインリッヒ・モーザーの名を継承するH.モーザーは、2020年の新年早々、『ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック』という新作を発表した。
これがその後に起こったコロナ禍のなかにあって大ヒット。100本の限定モデルは即座に完売し、8月には三針モデルを発表。さらに11月にはファンキーブルー・ダイヤルの新色のクロノグラフがリリースされた。
「2020年1月に発表した『ストリームライナー・フライバック クロノグラフ』は、2012年にH.モーザーの経営者になった頃から構想していたモデルです。ただし、どうせ作るならH.モーザーらしさを出さなければ、と開発に時間をかけたのです」と、語るのはH.モーザーCEOのエドゥアルド・メイラン氏。
メイラン家は“複雑時計の揺り籠”と呼ばれるスイス・ジュウ渓谷に長く続く時計の名門一家。父のジョージ・ヘンリー・メイラン氏は某高級時計メゾンの社長を努めた経歴の持ち主だが、その薫陶を受け、子供の頃から世界トップクラスの時計に触れて育った“時計界のサラブレッド”がエドゥアルド氏だ。
そのエドゥアルド氏の思いが詰め込まれた『ストリームライナー・フライバック クロノグラフ』とはどんな時計なのか? これを確かめるべく、新作の発表にちなみオンラインでのインタビューを試みた。
「H.モーザーは実用性とミニマムなデザインで定評があるので、それを実現した新しいクロノグラフを作りたかったのです。そこで昔から好きなクッション型ケースをモダンに再解釈し、ケースとブレスレットが一体となってしなやかに腕にフィットする形状が生まれたのです。
当社の代表作『パーペチュアルカレンダー』のように、シンプルでも複雑な機能を表示できる画期的なムーブメントを搭載したかったのですが、独自に質の高いクロノグラフを自社で開発するには時間がかかりすぎます。そこで独創的なムーブメント開発で定評のあるジュネーブのアジェノー社との協同開発を選んだのです」
こうして完成したのが430個以上もの部品で構成されたフライバッククロノグラフだった。
“ミニマリズム”というコンセプトデザイン
「ミニマリズムこそH.モーザーが目指すもの。インダイアルや小さな針がなくても、一目でクロノグラフだとわかるシンプルな表示を目指しました。ダイアルも60という数字がトップにあり、『これが60分積算計だ』とすぐわかる。プッシャーやリューズも1960年代のストップウォッチにインスパイアされた極力シンプルな造形を採用しました」
最初に発表されたグレーフュメ・ダイヤルのモデルは、年末に発表された2020年の「ジュネーブ・ウォッチ・メイキング・グランプリ(GPHG)」のクロノグラフ部門で最優秀賞を獲得。この受賞と同時期に発表された『ストリームライナー・フライバック クロノグラフ』の最新作では、ファンキーブルーというH.モーザーを代表する色がダイヤルに採用されている。
「これは限定版ではありませんし、将来的にはH.モーザーを代表するコレクションになってくれればと思っています。しかし、まだ序章にすぎません。まったく異なるムーブメントの搭載も計画していますし、すでに永久カレンダー・モデルの開発も動き始めていますから」
H.モーザーの新作攻勢を思わせるエドゥアルド・メイランCEOのコメント。ますます楽しみなH.モーザーから目が話せない。
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エグゼス TEL 03-6274-6120
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