PERSON

2026.05.17

35歳・Kis-My-Ft2玉森裕太「常に120%。でも”満足できない感覚”が大事」

節目とは、到達ではなく、次へ進むための起点である。充実の只中にいながら、玉森裕太は立ち止まらない。その原動力はどこにあるのか。その答えは、揺るがぬ仕事観と、ファッションから見いだされた美学のなかに息づく。【特集 ジェントルマンの流儀】

Kis-My-Ft2の玉森裕太
オーバーサイズのセットアップに、エレガンスを加えるスカーフテクニック。揺れる剣先が、着こなしにモードなエッジを添えて。ジャケット¥579,700、ニット[参考商品]、パンツ¥220,000、ブーツ¥594,000、スカーフ¥80,300(すべてボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン TEL:0120-60-1966)

「未達の部分を、次に進むモチベーションへと変えたい」

35歳という年齢は、多くのビジネスパーソンにとって、キャリアが軌道に乗り、仕事の醍醐味を最も実感できる時期でもある。Kis-My-Ft2のメンバーであり、俳優としても活躍する玉森裕太もまた、デビューから15年という年月を重ね、その地点に立っている。だが彼は、その充実に身を委ねない。満ち足りることなく、なお、自らの未熟さを見つめ続けている。

「僕の感覚では、本当にあっという間でした。デビュー当時に思い描いていた15年後の姿とすべてが重なっているわけではありません。振り返れば、達成できたこともあれば、まだ届いていない目標もある。むしろ、まだ達していない部分が、次へ進むための新たなモチベーションになっている気がします」

試行錯誤の蓄積が自分の輪郭を形づくってきた

10代からエンタテインメントの世界に身を置く玉森にとって、仕事は人生の中心にある存在だ。“仕事ありきの人生”と言えるほど大きな比重を占めながら、同時に“仕事に生かされている”とも感じているという。仕事を通して得る成長の手応えが楽しさへとつながり、次なる挑戦を呼びこむ。努力を続けていればチャンスは巡ってくるという確信が、彼を前へと駆り立てている。

2025年12月、Prime Videoで世界配信されたドキュメンタリー『玉森裕太 MODE』では、ファッションを切り口に、その仕事観の一端が映しだされ、大きな反響を呼んだ。

「今回のようなファッション撮影や国内外のショーなどに触れるなかで、自然と吸収したものが、今の表現に生きていると感じています。2018年からグループのライヴ衣装を監修していますが、制作の段階ではまず色のイメージから入ることが多いです。例えば、6月から始まる15周年のアリーナツアーの衣装では『白×金』というイメージを起点に、そこからデザイナーさんと議論を重ねてきました。特別に流行を意識するというよりも、大事にしているのは、メンバー全員のモチベーションが上がるかどうか、そして、ファンの方々がカッコいいと思ってくれるかどうか。僕はこのふたつを、何よりも優先しています」

ライヴ衣装の制作では明確な美意識を持ちながら、プライベートにおいては必ずしもそれをそのまま体現しているわけではない。そのギャップもまた玉森らしいといえるだろう。モードな装いにも惹かれるが、周囲からどう見られるかを考えてしまい、思い切ったスタイルにはどこか照れが残る、と笑う。

「服そのものは大好きで、ふらりとショップに寄ることもあります。以前、知人の結婚式のためにフルオーダーのスーツを仕立てました。正装に身を包み、街を歩いた時の高揚感はこれまでにない体験でしたし、その感覚は今でも強く印象に残っています」

とはいえ、完全に気を抜いた装いで外に出ることはほとんどない。誰に見られても恥ずかしくない格好でいたいという意識が、自然と彼の背筋を伸ばす。

そうした姿勢は、俳優としてのキャリアにも通底している。これまで多くの話題作に出演し、着実に経験を重ねてきたが、役に向き合う感覚は「数を重ねることで、少しずつ摑めてきた」と語る。慣れではなく、試行錯誤の蓄積が、俳優・玉森裕太の輪郭を形づくってきた。

「最初の頃は、どうやって作品の世界に入っていけばよいのかわからず、とまどうばかりでした。でも、やっていくうちに、こういう感覚なのだと少しずつ理解できてきた気がします。ただ、まだまだ演ったことのない役のほうが多いので、これまでと真逆な役にも挑戦してみたいです。例えば猟奇的な役とか、そういう振り幅はこれから培っていきたいと思っています」

伸びしろを広げることを成長の糧とする思考に

新たな領域へ踏みだそうとする確固たる意志は常に持っている。その根底にあるのは、「満足しない」という感覚だ。

「仕事では、毎回120%の力でやり切るつもりでいます。でも、終わったあとには、もっとこうできたんじゃないかと、どうしても思ってしまうんです。それがずっと嫌だったのですが、ある時に人から『それは伸びしろがあるということだよ』と言われ、なるほどなと。そう考えるようにしたら、この感覚を持っていること自体が大事なのだと思えるようになりました」

やりきったあとに残る後悔。それを否定するのではなく、次へ進むための原動力へと転化する。その思考の在り方こそが、彼を前へと押しだし続けている。 節目と呼ばれる地点に立ちながらも、その視線は過去ではなく、次の可能性へと向けられている。満ち足りることなく、なお、先を目指す。玉森裕太のクリエイションの歩みは、これからも静かに加速していく。

玉森裕太/Yuta Tamamori
1990年東京都生まれ。2011年にKis-My-Ft2の1stシングル「Everybody Go」でCDデビューを果たす。以後、多くの話題作に出演し、グループとしても精力的に活動。2026年グループは15周年を迎え、アリーナツアー「Kis-My-Ft-2 LIVE TOUR 2026 fan IS・・・・・・」が6月よりスタートする。日曜劇場「GIFT」(TBS系)へ出演中。

【特集 ジェントルマンの流儀】

この記事はGOETHE 2026年6月号「総力特集:ジェントルマンの流儀 Tied-Up or No-Tie?」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=畠山里子

PHOTOGRAPH=伊藤彰紀(aosora)

STYLING=櫻井賢之

HAIR&MAKE-UP=カスヤユウスケ

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