PERSON

2023.07.08

【Eco-Pork 社長×ユーグレナ 社長】起業家の共通項は、モジモジしないこと!?

すべてが普通じゃないと言われるEco-Pork代表取締役社長・神林隆と、絶対に芯がブレないと言われるユーグレナ代表取締役社長・出雲充。大学のサークルで出会ったふたりのエピソードを紹介。連載「相師相愛」とは……

Eco-Pork代表取締役社長・神林隆(左)とユーグレナ代表取締役社長・出雲充(右)。

国際交流支援サークルで出会ったふたりが持つ、ずっとブレない強い思い

出雲 学生サークル「アイセック・ジャパン」の同期として出会いました。神林さんは当時、髪型が超サイヤ人みたいだったんです(笑)。

神林 中学1年からずっとロン毛だったんで。

出雲 それをずっと続けるというのが普通じゃない。とにかく何ひとつ普通のことがなかった。

神林 出雲さんは当時からすごい存在感でした。熱量も視野も違ってた。国際交流を支援するサークルでしたが、途上国からの留学を助成するための協賛金を企業から次々に集めていて。

出雲 200件も当たれば、1、2件はもらえます。10社から協賛金が欲しければ、2000件当たればいいんですよ。でも、みんなモジモジしてやらない。やる前から、そんなの無理と思ってしまっている。でも、神林さんは自ら進んで協賛金を集めていたよね。

神林 僕は環境問題に興味があって、プロジェクトを立ち上げて協賛金を集めようと思いました。出雲さんがやっているなら僕もやっていいんじゃないか、と思っただけで(笑)。

出雲 環境についても、当時は誰もが問題だと思ってた。でも、みんな何もやらないんですよ。語るだけの人が多かった。電話でアポを断られたところで、命を取られるわけではないのに。

神林 出雲さんは絶対に起業すると思っていました。世界を変えるようなことをやるはずだ、と。途上国や食料問題への思いは、とても強かった。だから、銀行に就職すると聞いたときは、本当にびっくりして。

出雲 僕は神林さんがコンサルティング会社に行ったのはびっくりしなかったけど、髪を切ったことにびっくりした(笑)。

神林 でも、やっぱり出雲さんは起業して、やりたいことを始めて。創業期に一度、六本木で会いましたよね。

出雲 実は一番苦しかった頃。人生で最も大変だったときに、話を聞いてくれる人がいるだけでも嬉しかった。いい話しかしなかったと思うけど、それは自分に言ってたんだと思う。

神林 そんなふうには全然見えなかった。その後の華々しい活躍を、まぶしく見てました。

出雲 それでしばらくしたら、神林さんが起業したのを知って。僕にひと言の相談もなく。しかも、事業内容はデータを用いた循環型豚肉経済圏の共創。やっぱり環境ですよ。絶対こんなふうになると思ってた。神林さんはブレてない。就職で髪を切ったときだけは、ブレてたけど(笑)。

神林 そういえば、六本木で会ったときは、またロン毛にしてたかもしれない。

出雲 ほら(笑)。だったら、就職で切らなきゃ良かったのに(笑)。でも、あのときの髪の毛以外は予想通りです。

神林 コンサルティングの仕事で資金をつくり、自費でMBA留学しました。帰国してまたコンサルティングの仕事をして、子どもが生まれて、ふと思ったんです。子どもが大きくなったとき、どんな姿を見てもらいたいかな、と。

出雲 いいですね。この話、ぜひ書いてもらわないと(笑)。

神林 僕の好きな歌に「マイウェイ」があるんですが、人生のカーテンが閉まるとき、やりたいことをやっていなかったら、「I did it my way」とは言えない。それでは、死んでも死にきれない、と。子どもが生まれたら普通、守りに入るんですけど、僕は逆でした(笑)。

出雲 やっぱり変な人です(笑)。

神林 当時、AIを使った人事のプロジェクトを手がけていました。言ってみれば、「社畜」を育てるプロジェクト。でも、心の中では、もっといいAIの使い方ができないか、と考えていて。それで思い浮かんだのが、環境問題であり、食料問題だったんです。豚肉だ、と。あ、家畜です。

出雲 いやはやもう、飛躍がすごすぎるでしょ(笑)

神林 人々が文化的にも経済的にも豊かだったといわれている古代ローマ時代には、趣向をこらしたさまざまな豚肉料理が、時間を持て余していた暮らしに彩りを添えていたそうです。

出雲 今度は古代ローマ…? 

神林 現代において、AIは人々の暮らしを豊かにすべき。AIによる生産性向上で時間や気持ちにゆとりができて、私たちは再びお肉を自由に楽しめる。

出雲 本当に変な人(笑)。でも、こうして学生時代の志を2人とも貫けている。嬉しいことだし、やっぱりこうなるんだな、と思っているんです。

出雲充/Mitsuru Izumo
1980年広島県生まれ。東京大学卒業後、2002年に三菱銀行(現三菱UFJ)入行。’05年、ユーグレナ創業。世界初の微細藻類ユーグレナ食用屋外大量培養に成功。

神林隆/Takashi Kambayashi
1977年神奈川県生まれ。東京理科大学卒業後、外資系コンサルティングファームへ。2017年テクノロジーを活用した養豚産業を支援するEco-Porkを創業。

■連載「相師相愛」とは……
師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ、相“師”相愛ともいえるふたりの姿を紹介する。

過去の連載記事はこちら

↑ページTOPへ戻る

TEXT=上阪徹

PHOTOGRAPH=河内彩

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2024年12月号

昂る、ソウル

東方神起

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2024年12月号

昂る、ソウル

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ12月号』が2024年10月24日に発売となる。今回の特集は“昂る、ソウル”。最高にエンタテインメント性に富んだ国、韓国をさまざまな方向から紹介。表紙は東方神起が登場。日本デビュー20周年を目前に控えた今の心境を教えてくれた。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる