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2022.09.16

福山雅治が語る、こだわりの酒「なぜか男っぽい色気がある」

大人の男として上手に年を重ねるということは、酒の愉しみ方を深めていくことなのかもしれない。俳優として、そしてミュージシャンとして、輝かしいキャリアを積み上げてきた福山雅治氏は、ゆっくりシングルモルトを味わう時間を大切にしている。【特集 情熱の酒】

福山雅治氏

ジャケット¥482,900、パンツ¥165,000(すべてルイ・ヴィトン/ルイ・ヴィトン クライアントサービス TEL:0120-00-1854)

ただゆっくりとシングルモルトと向き合いたい

これまでに数々の人気作品で主演を務めてきた福山雅治氏。そのなかでも当たり役といえるのが、『ガリレオ』の天才物理学者、湯川学だ。今秋、映画シリーズの第三弾『沈黙のパレード』が公開されるが、実はこのシリーズは酒を飲むシーンが印象的に使われることが多い。

例えば2008年に公開された『容疑者xの献身』では、湯川学が17年ぶりに旧友に会う時にシングルモルトウイスキーのボウモア17年を持参したシーンが印象的である。2013年に公開された『真夏の方程式』でも、居酒屋で地酒を楽しんでいる。そして『沈黙のパレード』では、酒場に集う人々が物語の骨格をつくっている。

「(演じる)湯川さんは、わりとお酒を飲むんですよね。お酒を飲むからどうこうっていうよりは、湯川学という人物は理系の世界で“変人”や“天才”だといわれてるけど、その地域の食やお酒を楽しめる“文化的な人間”でもあるということを表している。それによって、キャラクターに奥行きが出ているんじゃないでしょうか」

福山雅治氏

では福山氏にとって、酒はどういうものなのだろうか?

「お酒はよく飲むので、『飲みたい』と思えることが、自分にとっての健康のバロメーターかと。逆に飲みたくなくなるほど、しんどくなったら気をつけます」

今、凝っている酒はシングルモルトだそう。

「1990年代はワインが好きで、その後は芋焼酎や日本酒と、その時々で飲むお酒は変化してきました。ウイスキーに興味を持ったきっかけは、友人たちとの北欧旅行です。スウェーデンの北極圏の近くにあるアビスコ国立公園キングスレーデンにトレッキングに行きました。春でも雪が残っていると聞き、その北極圏の雪解け水でウイスキーの水割を飲んだら美味しそうだと思い、寝台列車に乗る前に駅のキオスクでザ・フェイマスグラウスというブレンデッドウイスキーを買いました。

目的のロッジに着くと、友人や他の宿泊客たちは開催中のサッカー欧州選手権を見て盛り上がっている。そこで僕はひとりで森に入りこみ、雪解け水の流れる川で割るウイスキーを楽しみました。雰囲気も含めて、とても美味しかった。真夜中でしたが白夜の時期だったので、明るく、周囲には誰もいない。そんななか、雪解け水で割ったウイスキーを飲んでる俺、かっこいい、と(笑)。気がついたらロッジを出てから一時間以上が経過していて、遭難したと思った友人が探しにきました」

福山雅治氏

まるで映画のワンシーンのような光景だが、その体験が福山氏をウイスキーの世界に誘った。帰国後は自分なりのウイスキーを学び、シングルモルトを飲むようになったが、先輩からも楽しみ方のイロハを学んだ。

「タモリさんに銀座の老舗バーに連れていっていただき、1930~’40年代の希少なマッカランなどを飲ませていただきました。そこでタモリさんがおっしゃったのは、いろいろなタイプのウイスキーを飲んでみたいと思うかもしれないけど、それは不要だと。先人たちが認めたものには理由があるから、そういう人たちが薦めるウイスキーだけを飲めば答えがわかると。おっしゃる通りだと思いました。とはいえ、そういったウイスキーは美味しいのですが、手に入らないし凄まじく高い!」

世界的なウイスキー人気で、原酒が不足しており、銘柄によってはプレミア価格がついているという話もある。希少なウイスキーを楽しむのが難しい時代になりつつあるが、全国ツアーなどで地方に行った際には、ウイスキーの名店を訪ねて知見を広げているという。

「好きなのは、終売になってしまったアードベッグのオールモスト・ゼア。そして2009年や2010年のアードベック スーパーノヴァ。シチュエーションは特に問わず。お酒の味そのものを楽しみたい。酔い方や酔い覚めも含めて自分に合う酒、長い時間飲んでいられる酒が理想です。そういう酒に出会うと、酔ってるけど酔ってないみたいな状態が続きます。逆に終わりがなくなって酒量が増えてしまいますけどね(笑)」

<img src="https://goetheweb.jp/wp-content/uploads/2022/09/Masaharu_Fukuyama_02.jpg" alt="福山雅治氏" width="601" height="820" class="alignnone size-full wp-image-84370" />

以前はワインも飲んでいたが、最近は控えているともいう。

「食事に合わせてワインやシャンパンを飲むこともありますが、酔い方が重い。なのでシーンに応じて飲む酒を変えています。酒との時間を長く楽しみたい時は間違いなくウイスキーです」

しかしなぜここまでシングルモルトに惹かれるのだろうか?

「シングルモルトの魅力は、味と酔い方はもちろんのこと、麦だけで作るというそのストイックな生産過程。とはいえ、ワインや日本酒も地域やつくり方、つくり手によって異なる味わいになるし、つくり手の表情や個性がある。ただウイスキーという酒にはなぜか男っぽい色気がある。勝手なイメージですが、“ウイスキーを飲みこなせる”ようになると、一流の飲み手として煩型の酒飲みに認めてもらえるような。酸いも甘いも噛み分けた大人になれたような気分になる。そこが魅力ですかね」

福山氏は、酒の向こうにある文化も一緒に味わっている。

 

『沈黙のパレード』
9年ぶりとなる映画『ガリレオ』の第三弾は、天才物理学者・湯川学(福山雅治)と警視庁捜査一課の刑事・内海薫(柴咲コウ)が再びタッグを組んで、夏祭りの日に起きた難事件に挑む。9月16日より全国ロードショー。

 

Masaharu Fukuyama

Masaharu Fukuyama
1969年長崎県生まれ。’90年に「追憶の雨の中」でシンガー・ソングライターとしてデビュー。ミュージシャン、俳優、ラジオパーソナリティなど多方面で活躍。KOH+のEP『ヒトツボシ 〜ガリレオ Collection 2007-2022〜』が9月14日にリリース。
コート¥576,400、ジャケット¥432,300、タートルネックニット¥174,900(すべてザ・ロウ/ザ・ロウ・ジャパン TEL:03-4400-2656)

【特集 情熱の酒】

TEXT=篠田哲生

PHOTOGRAPH=操上和美

STYLING=二村 毅、石川英治

HAIR&MAKE-UP=新宮利彦

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