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2022.08.21

柳田悠岐、吉田正尚、佐々木朗希の、知られざるスター前夜談【まとめ】

2022年シーズン、大混戦が続くパ・リーグで活躍を続ける、柳田悠岐、吉田正尚、佐々木朗希がスターとなる前夜談をご紹介。連載「スターたちの夜明け前」とは……。 ※過去のGOETHEの掲載記事を再編。

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ソフトバンク・柳田悠岐|未完の大器の圧倒的脚力

広島経済大時代の柳田悠岐 Photograph=岡沢克郎/アフロ

日本シリーズ4連覇中のソフトバンクで不動の中軸として活躍しているのが柳田悠岐だ。シーズンMVP2回、首位打者2回、最多安打1回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞5回など数々のタイトルを獲得し、総合力では現役の野手でもナンバーワンという声も多い。そんな柳田だが、高校では名門の広島商に所属していながらも全く名前の知られた存在ではなかった。チームは柳田が1年の時に夏の甲子園にも出場しているが、本人はベンチ入りしていない。筆者がそのプレーを初めて見たのは2年秋の広島県大会、如水館戦。柳田は背番号5をつけて代打で出場しヒットを放っているが、そのプレーについては全く何の印象も残っていない。名門校出身ながら首都圏や関西圏の大学ではなく、県内の広島経済大に進学しているというところにも、当時の評価がよく表れていると言えるだろう。

柳田のことを初めて私が意識したのは大学3年で出場した全日本大学野球選手権だ。大学野球最大の全国大会で、今年も6月7日に開幕したばかりだ。この大会前に行われた広島六大学野球のリーグ戦で柳田は打率.528をマークしており、その成績もあって下級生ながら注目すべき選手の1人ということで注目していた。しかし結果から先に書くと、柳田はプロ注目の創価大のエース大塚豊(元日本ハム)の前に空振り三振、ファーストゴロ、力のないライトフライと完璧に抑え込まれ、ほろ苦い全国デビューとなっている。187㎝、85㎏と体格は立派だが、大塚の緩急を使った攻めには全く対応できておらず、典型的な未完の大器という印象が残った。

柳田は翌年も全日本大学野球選手権に出場。1回戦の三重中京大戦ではヒットを1本放っているが、リリーフで登板した則本昂大(楽天)にはノーヒットに抑え込まれている。大塚、則本ともにドラフト2位でプロ入りしており、大学球界ではトップクラスの投手だったが、そのようなレベルの投手に対してはまだまだ通用しないというのが率直な感想だった。

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オリックス・吉田正尚|高1で4番の別格ヘッドスピード

現在のプロ野球で最も安定した打力を誇る選手と言えば、多くの人が吉田正尚(オリックス)と答えるのではないだろうか。プロ入り当初は腰痛に苦しんでいたが3年目の’18年からは全試合に出場して3年連続で打率3割をマーク。昨年は初のタイトルとなる首位打者を獲得すると、今年も前半戦終了時点で打率、出塁率、安打数でパ・リーグのトップを走っている。

豪快なホームランも放ちながら、三振の数は規定打席に到達している打者では最少となる19と、まさに長打力と確実性を高い次元で両立している打者と言えるだろう。現在行われている東京オリンピックでも不動の中軸として見事なバッティングを見せている。

そんな吉田のプレーを初めて見たのは’09年6月6日に行われた高校野球春季北信越大会、対桜井戦だった。吉田は北陸でも屈指の強豪である敦賀気比にあって入学直後の1年生ながら4番、レフトで先発出場。第1打席でセンター前へ鋭く弾き返すタイムリーを放ち、チームの勝利に貢献している。

当時のノートには「1年生でまだまだ体つきは小柄だが、明らかに他の選手と比べてヘッドスピードが違う」という記載が残っており、当時から将来性の高さが感じられたことはよく覚えている。この後の夏の福井大会でも6割を超える打率を残して甲子園に出場。1回戦で帝京に敗れたものの、チーム唯一の得点を叩き出すレフト前タイムリーを放って存在感を見せている。しかしノートにもあるように当時のプロフィールを見ると170cm、67㎏と小柄で、翌年春にも選抜高校野球に出場しているが、当時はプロで中軸を打つような選手になるというイメージは湧かなかった。

そんな吉田の印象が大きく変わったのは青山学院大進学後だ。大学で最初にプレーを見た’12年5月1日の対中央大戦では1年生ながら6番、DHで出場し、鍵谷陽平(巨人)からいきなりライト前ヒットを放ったが、そのスイングの強さと打球の速さはレベルの高い東都大学野球の中でも目を見張るものがあった。高校3年夏は福井大会で敗れて甲子園出場を逃しているが、体つきも明らかに大きくなっており、大学進学までの期間にしっかり鍛えてきたことが伺えた。

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ロッテ・佐々木朗希|令和の怪物の歴史に残るピッチング

毎年多くの新たなスターが誕生するプロ野球の世界だが、今年、最も飛躍が期待できる選手の1人と言えるのが佐々木朗希(ロッテ)ではないだろうか。1年目の’20年は体作りに専念して二軍でも公式戦登板なしに終わったが、昨年は5月に一軍デビューを果たすと、クライマックスシリーズでは第1戦の先発を任されるなどエース格へと成長。レギュラーシーズンの成績は3勝2敗ながら防御率は2.27をマークし、イニング数を上回る三振を奪うなどとても20歳とは思えない結果を残した。シーズン終盤の状態を1年間維持することができれば、今年はタイトル争いに加わってくることも十分に考えられるだろう。

プロ入り前から高い注目を集めていたため、筆者も高校時代の佐々木を現地で4度見ているが、甲子園はおろか東北大会に一度も出場していない選手としてはかなり多い部類と言える。初めてそのピッチングを見たのは2年夏の岩手大会、対盛岡三戦だ。この試合で背番号20をつけた佐々木は先発のマウンドに上がると、試合開始の初球にいきなり153キロのストレートを投げ込むと、2回には当時の自己最速となる154キロをマーク。8回以降は疲れからか少しスピードが落ちたものの、9回を完投して100球以上を投げながらもストレートの平均球速は147.5キロとプロでも上位の数字を残したのだ。

スピードだけではなく189㎝(当時)の長身と長いリーチを持て余すことなく使えるフォームも素晴らしく、もしこの年のドラフトで佐々木が高校3年生だったとしても1位指名を受けていた可能性は極めて高いだろう。結局、次の試合で佐々木が登板せずにチームは敗れたが、この試合を機に佐々木の注目度は一気に高まることとなった。

そして佐々木の怪物ぶりが最も発揮された試合として強く印象に残っているのが、翌年春の2019年3月30日に行われた作新学院との練習試合だ。この日は佐々木の最終学年での実戦初登板ということもあって、会場となった矢板運動公園野球場には日米18球団、45人のスカウトが集結し、テレビ局のカメラまで訪れる物々しさだった。対戦相手となった作新学院の岩嶋敬一部長の話では当初学校のグラウンドで試合を予定していたが、スカウトと報道陣からの問い合わせが殺到したため急遽球場を確保したとのことで、高校生の練習試合として異例中の異例と言える。そしてそんな大注目の中で見せた佐々木のピッチングは前年夏のインパクトを更に超えるものだった。

試合が行われた時間帯の気温は8度と投手にとってはかなり厳しい環境だったにもかかわらず立ち上がりから150キロ台のストレートを連発すると、2回にはこの日最速となる156キロをマーク。この年のドラフト候補に挙げられ、現在は中央大でレギュラーとして活躍している石井巧との対戦でもストレート3球で空振り三振を奪ったが、バットに当たりそうな気配すら感じられなかった。

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連載「スターたちの夜明け前」とは……
どんなスーパースターでも最初からそうだったわけではない。誰にでも雌伏の時期は存在しており、一つの試合やプレーがきっかけとなって才能が花開くというのもスポーツの世界ではよくあることである。そんな選手にとって大きなターニングポイントとなった瞬間にスポットを当てる!

Norifumi Nishio
1979年愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。在学中から野球専門誌への寄稿を開始し、大学院修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

過去連載記事

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TEXT=西尾典文

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