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2022.08.13

【スプツニ子!】幼い頃から”ゼロイチ”を経験させたい――イノベーターの子育て論

アーティスト、大学の准教授、D&Iの推進を目指すCradleの起業と何役もこなすスプツニ子!さん。今回は、2021年秋に出産した第一子の子育てについて語ってもらった。連載「イノベーターの子育て論」とは……

インタビュー中のスプツニ子!

深夜の育児は2部制

スプツニ子!さんが出産したのは、2021年秋、自身が立ち上げた「Cradle(クレードル)」の新規事業リリースに向け、奔走していた時だった。育休は取らず、出産直前まで仕事を続け、出産から10日ほどで、リモートを活用して仕事に復帰。一方、パートナーは、育休を1ヵ月取得したという。

「先日、ロンドンに10日間出張したんですが、その間は、パートナーが育児も家事も引き受けてくれましたし、その逆もあります。娘が夜中に目を覚ますこともあるので、午前3時までは私、3時からはパートナーと、二部制にして、お互い6時間は睡眠を確保するようにしているんです」

ベビーシッターの手を借りることもあるが、基本的に、育児はパートナーと平等に分担。日中は保育園に預けているが、娘にとっても自分にとってもメリットが多いと感じているそう。

「娘は、いろんな人と交流しながら、さまざまな体験ができるし、私は仕事に集中できるし、息抜きもできますから。私自身も保育園に預けられていましたが、両親の愛情を疑ったことはなかったですね。なので、娘を保育園に預けることに、躊躇や後ろめたさはまったくありません」

ニューラルネットワークを”絵本”で学ばせる

理系の英才教育を受けてきたスプツニ子!さんだけに、その教育方針も気になるところ。

「エンジニアは、クリエイティブからビジネス、社会貢献まで、どのジャンルでも、今や必要不可欠な存在。テクノロジーの知識や技術を身に着けることは、今後ますます大切になってくるでしょうから、娘にも、早いうちから、遊び感覚で触れさせたいと思っています」

そこで活用しているのが、”赤ちゃん向け”の理系絵本。STEM教育先進国アメリカで100万部を突破したBaby Universityシリーズで、日本語版は、『そうたいせいりろん』『りょうしりきがく』『ニュートンりきがく』『ロケットかがく』が発売されている。

「何より私、プログラミングをはじめ、理系全般が好きなんです。だから、娘とも早く、科学の話をいっしょにしたい! もしも、科学にまったく興味を示さなかったら? 心で泣きながらも(笑)、彼女がやりたいと思うことを全力で応援します」

子供の選ぶ道が理系であれ何であれ、これからは、決められたことを100%こなせる人ではなく、次の一手を考え、行動できる人が必要とされる時代になる。だからこそ、小さい頃から、遊びを通して”ゼロイチ”の経験を積むのが大切なのでは、とスプツニ子!さん。

「親が、いっしょに何かをつくるなどして、自分で発想することや創造することに慣れさせるといいのではないでしょうか。テストの点数をほめるのではなく、何かをつくったことをほめる。娘に対しては、そんな姿勢でありたいと思っています」

スプツニ子!が娘のために選んだ絵本

スプツニ子!さんは、英語版のBaby Universityシリーズを何冊も用意。難しい理論を、イラストなどを用いてわかりやすく説いているので、大人が見ても楽しめるそうだ。「ビジュアルを通してプログラミングが学びやすい『OpenProcessing』や、MITメディアラボが提供している『SCRATCH(スクラッチ)』など、遊びながら学べるツールがたくさん出ているので、それを活用するのもおすすめです。プログラミングのおもちゃで遊べるようになるのは3歳頃からと言われているので、娘の場合、あと2年。待ち遠しいですね。パートナーは、ブラジリアン柔術を習わせたいと言っています(笑)」。

夫婦間の愛情表現が、子供を愛情深い人に育む

将来を見据え、万全の教育体制を敷いているように思えるが、一番のプライオリティは「優しい人」になってもらうこと。

「人に優しく、愛情を注げる人間でないと、どんなに才能やお金、スキルがあっても、どこか歪んでしまうと思うし、愛情深い人間であれば、窮地に陥った時にきっと周りが手を差し伸べてくれるはず。人は、ひとりでは生きられませんから」

優しく、愛情深い人間に育てるために、親が心がけることは、子供にたっぷりの愛情を注ぐことに他ならない。

「親子だけでなく、パートナー同士の間でもそれは必要。日本の人は照れくさいからなのか、パートナーへの愛情を言葉や態度で示さないことが多いけれど、『”言わない美徳”ってもったいない! 』と思います。私はオーバーに愛情表現したいタイプ」

日本では、思春期になると娘が父親のことを疎ましがることも珍しくないが、こういったケースは、欧米ではあまり聞いたことがない、とスプツニ子!さん。

「実はイギリスやアメリカで、『思春期の娘がお父さん嫌い』ってあまり聞かないんです。両親がオーバーに愛情を言葉で示し合っているからか、娘も、いくつになってもお父さんが好きなケースが多いのかも。もしかして日本では、お母さんが、娘の前でお父さんを悪く言うこともあるんじゃないかな……。子供って、親のすることをマネしますよね。だからこそ、夫婦間の愛情表現をもっと大事にすべきだと思います!」

■「理系の秀才がアートの道を選んだ理由」(Vol.1)
■「今こそ”女性活躍は逆差別”の間違いに気づくべき」(Vol.3)

Sputniko!
1985年東京都生まれ。本名・マリ尾崎。2006年、ロンドン大インペリアル・カレッジの数学科と情報工学科を卒業、英国王立芸術学院入学。MIT(マサチューセッツ工科大)メディアラボ助教授、東大大学院特任准教授を経て、現在、東京藝術大学美術学部デザイン科准教授。「生理マシーン、タカシの場合。」や「ムーンウォーク☆マシン、セレナの一歩」など、テクノロジーやジェンダーなどをテーマにした作品を多数発表している。2019年、ダイバ-シティ&インクルージョンの推進を目指し「Cradle」を設立、代表取締役社長を務める。

過去連載記事

連載「イノベーターの子育て論」とは……
ニューノーマル時代をむかえ、価値観の大転換が起きている今。時代の流れをよみ、革新的なビジネスを生み出してきたイノベーターたちは、次世代の才能を育てることについてどう考えているのか!? 日本のビジネス界やエンタメ界を牽引する者たちの”子育て論”に迫る。

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TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=伊藤香織

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