ゲーテのハワイ特集で常連ともいえる稲本健一さんと本田直之さん。2022年5月、約2年ぶりのハワイへ。そこで気づいたハワイの本当の魅力―。【特集 涙するハワイ】
やっと実現したハワイへの渡航!
かつて1年の半分をハワイで過ごしていたレバレッジコンサルティング代表の本田直之さん。そして渡航回数はゆうに100回を超えるゼットン創業者の稲本健一さんが、約2年ぶりにハワイの地で再会を果たした。場所は1927年開業、ロイヤルハワイアン ホテル。ハワイにどハマりして現地に居を構え、食に精通するふたりだからこそ感じたハワイの今の姿を聞いた。
稲本健一 やっと来れたね、ハワイに!
本田直之 2019年の12月以来初めて来たんだけど、イナケンさんは?
稲本 実はナオよりひと足先の3月に一度来たんだけど、その前は2020年の2月が最後。空港に降り立った瞬間の香りがたまらなかった。
本田 プルメリアと何かが混ざったような、独特の香りだよね。
稲本 思わず胸が詰まって。その後、空港でレンタカーを借りて、H-1でワイキキと書かれた緑の看板とか何車線もある道を見て、そこにラジオから聞こえるDJの声が重なった瞬間、何かこみ上げるものがあったよ。
本田 わかるなあ。俺は飛行機の中からオアフの景色が見えた瞬間、見慣れているはずなのにグッと来て、思わず写真まで撮っちゃった(笑)。あとはイナケンさん同様、降り立った瞬間、香りがのった風にやられたね。
稲本 ハワイの風はやさしいね。これだ!って思ったよ。
本田 2年間ずっと日本にいて、自分は日本とハワイを往復することで心のバランスが取れていたんだと改めてわかった。日本も好きだけど、ずっといたら疲れちゃって。
稲本 俺はハワイに行けない気持ちを紛らわそうと、離島にサーフィンに行ったりして足掻(あが)いてみたわけ。でもハワイを思い出すばかりで、ハワイの代わりにはならなかった。昔惚れた女性を追い求めながらいろんな人と付き合ったけど、納得できないみたいな(笑)。
本田 別れて、よりありがたみがわかったわけだ(笑)。
稲本 そう、そんな感じ(笑)。それにしてもワイキキはすごい人だね。サーファーも増えたね。
本田 ハワイ州政府が健康推しの政策を出したせいもあってか、トレッキングやサーフィンを始めたメインランドのアメリカ人やローカルが多い。だからビーチや公園の駐車場がものすごく混んでる。渡航の規制が緩和されて、ハワイに来る際のPCR検査はなくなったけど……。
稲本 インフレと円安のダブルパンチで、ハワイ好きな人たちも旅の仕方を変えるだろうね。
本田 確実に変わるね。
稲本 頻繁に往復していた人も、航空運賃の値上がりでロングステイするようになるだろうね。一方で、ハワイはリーズナブルに行ける海外旅行先でなくなるんじゃないかな。そういう意味で、日本人とハワイに経済的な距離ができてしまった気がする。
本田 円安がどうにかならないと、そこは難しいよね。
食通のふたりが見た、ハワイの最新食事情
稲本 久しぶりに来て、食の情報で感じたことはある?
本田 有名シェフの移籍があった。『セニア』のクリスがカイムキにひとりで新しい店を出して。あとは『バー レザーエプロン』のジャスティンが、三つ星を渡り歩いたサンフランシスコ出身のシェフと組んで始めた『バー・マゼ』は、ものすごくセンスがよくて美味しい。
稲本 カカアコに移った『NOBU』はクローズしたね。
本田 『アラン・ウォンズ』もなくなった。でもハワイはバブルなんだよね。先日『すし匠』の中澤さんと話したんだけど、メインランドからの観光客で連日店は満員だって。
稲本 だから店から日本語メニューがなくなったんだ。居酒屋でも、日本人が好きな枝豆や浅漬けがメニューから消えていた。
本田 仕方がないことだとは思うけどね。『ハマダジェネラルストア』も、ロックダウンでイートインスペースを潰してテイクアウト専門店にしたら、むしろ駐車場が空くことで、店の回転率が上がって売り上げが伸びたらしい。
稲本 ハワイにはもともと持ち帰り習慣があるから、観光客も目線を変えて、弁当を買ってアラモアナビーチで食べる気持ちよさを楽しんでほしいな。
本田 俺も2年ぶりのハワイでは、毎朝ラナイに座ってぼーっと海を眺めて、気持ちいい風を感じて過ごした。以前はやらなかったのに(笑)。
稲本 久しぶりにハワイでゲーテに(撮影で)呼ばれて、ナオが「アロハ着てきて」って言った理由が納得できたよ。しばらく離れて、改めてハワイのよさがわかった。離れられない。
本田 涙するハワイだもの。ハワイに敬意を表するなら、アロハとロイヤルハワイアンでしょ。
稲本 おっしゃるとおり! やっぱりハワイは最高よ。
COORDINATE=Mike Kelly