ビジネスの最前線で闘うリーダーやスペシャルな人の傍らには、仕事に活力を与え、心身を癒やす、大切な愛用品の存在がある。それらは、単なる嗜好品にとどまらず、新たなアイデアの源となり、自らを次のステージへと引き上げてくれる、最強の相棒=Buddyでもあるのだ。今回紹介するのは、慶應義塾大学大学院教授・岸博幸さんの2匹の相棒。特集「最強の相棒」
我が家に愛を運んでくれた相棒たち
大学院教授や内閣官房参与のほか、複数の企業のアドバイザーやテレビのコメンテーターを務めるなど、超多忙な日々を送る岸博幸氏。自宅でも仕事に費やす時間が長いというが、張り詰めた心と頭脳に安らぎを与えてくれる存在がハリネズミの〝ハリーちゃん〞だ。
「夜中、机に向かって仕事をしていると、ハリーが近づいてきて僕の腕を乗り越えていく。あの短い手足とぼってりとした身体で。その姿を見て、こんな小さいハリーが頑張っているんだから、僕ももっとできるはずだと気合いが入るんです」
ハリネズミを飼い始めたきっかけは、まったくの偶然。子供のためにペットショップへハムスターを買いに行ったところ、ハリネズミにひと目惚れ。結果、ハリーが家族の一員になった。
「ハリネズミはハムスターよりも小さく、弱い動物。思いやりの心を育むには、かえってよかったんじゃないかと(笑)。それと、想像以上に育てやすい。夜行性なので、日中は寝て、夜に遊んでくれる。ビジネスパーソンのペットに向いているのでは」
しばらくして、今度こそハムスターを買おうと再び訪れたペットショップ。だが、岸氏の心を摑んで放さなかったのはネコの〝ソマちゃん〞だった。
「昔、気になっていた野良猫に似ていて……。ネコは気分屋で、人間の思いどおりには動いてくれない。ソマは僕と子供に、忍耐の大切さを教えてくれます」
当初は「ハリネズミとネコがうまく共存してくれるかが心配だった」と話す岸氏。だが、その心配は無用に終わった。
「ハリーがちょこちょこと歩きだすと、ソマが心配そうにあとを追っていく。一緒に暮らしていると、動物にも思いやりの心が生まれるんだな、と。我が家に愛を運んでくれた2匹の相棒に、心から感謝しています」
慶應義塾大学大学院教授
岸博幸
1962年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。2021年7 月に内閣官房参与に任命され、成長戦略や規制改革などを担当。エイベックスGH顧問など、企業の相談役も務める。