「九州の魅力をもっと多くの人に知ってほしいんです」。黒木啓司さんのそのひと言でスタートしたのが本連載”啓印(ケイジルシ)”だ。宮崎出身であり、2017年には九州発のエンタテインメントプロジェクト「THE NINE WORLDS」を立ち上げた九州ラバー・黒木さんが九州各地を訪問。そこで出会ったさまざまなヒト・モノ・コトに太鼓判(=啓印)を押していく。
第五回 “ストリート陶芸家”が挑む伝統文化のアップデート
力強さを表現した、全く新しい焼き物
福岡を拠点に活動する陶芸家・古賀崇洋さん。どこかストリート文化を感じさせるその作品は見る者に、既存の陶芸のイメージとはまったく異なる、極めて斬新な印象を与える。
「縄文時代から続く焼き物という伝統文化へのリスペクトが、自分のなかで大きな柱となっています。だからこそ、器としての機能を守りつつ、自分にしかできないやり方で焼き物の新しい魅力を発掘、表現していきたい。近年は〝モノが持つ力を可視化したい〞という強い思いがあって、スタッズをモチーフにしたさまざまな作品を展開しています」(古賀さん)
「伝統という重みのあるものをこんなにも軽やかに変化させるのは、きっと容易ではないはず。反骨心をはらんだパンクな作品群は、見ているだけで感性が刺激されます」(黒木さん)
続きはこちら
第六回 脱・霜降り! 極上赤身の宮崎”都萬牛”
宮崎の自然が育む極上の和牛
国内屈指の黒毛和牛の産地宮崎県で、”美味しい和牛=霜降り”という価値観に対して挑戦を続けているのが「ミート工房拓味」。その代表を務める矢野拓也さんは、霜降りばかりを追い求める和牛肥育方法と味に疑問を感じ、獣医の父親とともに、健康で美味しい「都萬牛」の開発をゼロから始めた。
宮崎の暖かな気候と長い日照時間、緑豊かな自然環境のもと、地場産のビタミンとミネラル豊富な飼料を食べて育つ都萬牛は、低脂肪かつ肉色が濃い赤身が特徴。霜降りが抑えられているので、噛めば噛むほど肉の旨味が溢れでてくる。
続きはこちら
第七回 焼酎文化の継承と革新に挑む宮崎県の黒木本店
老舗酒蔵の若社長、新しい焼酎開発に挑戦!
日照に恵まれ、豊かな緑と水を誇る宮崎県児湯郡。明治18年に創業した黒木本店は、地域に根ざして自然循環農法にこだわった焼酎造りを続け、「橘」「中々」「爆弾ハナタレ」「百年の孤独」など、生みだした銘柄の数々は全国で親しまれている。
「先代が築いてきた歴史や精神を引き継ぎながらも、今の時代でしかできないことをやりたい」と話す黒木信作さん(32歳)は、銘柄の醸造法をアレンジしてひと味違う限定版を造ったり、焼酎原料だけでなく野菜やハーブの栽培も行うなど、伝統を活かしつつ新しいものを柔軟に生みだそうとする気鋭の若社長だ。
現在は”町の蔵”黒木本店で継承した昔ながらの焼酎を、”山の蔵” 尾鈴山蒸留所で時代に合った革新的な焼酎を造っている。
続きはこちら
第八回 パリ経由、福岡発の美しきガストロノミー
若き天才シェフの挑戦!
2011年にパリにオープンした店「Sola」が、わずか1年3ヵ月でミシュラン1つ星を獲得!
気鋭のシェフ・吉武広樹さんが日本に帰国後、新たな出店の地に選んだのは、東京ではなく福岡だった。
「僕は佐賀出身で、もともと九州には思い入れがありましたし、福岡には九州中の上質な食材が集まってきますから」(吉武さん)
オープンキッチンの一角には、試作やケータリングに対応するラボ機能を併設。平戸の魚や糸島の野菜など、主に地域の食材を再構築、イノベーティブな試みを発信する。
「どこか化学の実験っぽい感じがします」と言う黒木さんに、吉武シェフも頷く。
「コースターなどの備品も自分たちで作ってるんです(笑)」
供されたメインディッシュは「和牛のパイ包み」。クラシックなフレンチのスタイルを踏襲しつつも、軽やかさと上品さを追求した1品だ。
続きはこちら