本誌が三代目 J SOUL BROTHERS特集を前回行ったのは2020年4月号のこと。それから約1年半が経過。この期間に、最も大きな“挑戦”を世に出したのは、おそらく岩田剛典になるだろう。ファンミーティングを中心とするソロプロジェクト「Be My guest」を始動し、その一環として9月15日にはソロデビューシングル『korekara』をリリース。この挑戦は世間を大きく驚かせた。大胆に活動の幅の広げた背景には、どんな決意があったのだろうか。
「ひとつには、マルチに活動できるフィールドが欲しかったんです。表現を生業(なりわい)にしている人間にとっての欲みたいなものを、全部出せる場所がつくりたかった。歌もそのなかのひとつで、ただ歌いたかったわけじゃなく、好きな音楽があるんだから、それを表現したいなって。もうひとつには、ファンの方と生でコミュニケーションをとれる機会が全然足りていないという僕自身の想いがありました。例えば僕が出た映像作品を見てファンになってくれても、生で応援しようと思ったらグループのライブを見に来るしかないわけで、それだけじゃ全然満足させられない。だから、そのための空間をつくろうというのが『Be My guest』です」
今後のライフワークとなるプロジェクトの立ち上げが10周年という節目と重なったのは、ある種必然。これまでの積み重ねが、これを可能にしたと岩田は考えている。
「ずっとチャレンジしたいことではありましたが、手を挙げたからといって『じゃあどうぞ』とはならない世界ですから。キャリアを築いて発言の説得力が身についた今だから提案できたことだと思っています。三代目は大きくいえばLDHのプロジェクトであって、僕はあくまでそのなかにいる存在。自分の手で自分が表現したいものを純粋に発信することって、実はデビューしてからしてこなかったんですよね。10年以上たって、やりたいことをやれるようになった。そういう自分に成長するまで時間がかかったともいえますね」
マルチにやるのは当然であって普通のこと
パフォーマーから始まり俳優、そして歌手と、肩書が増えてゆく。日本の芸能界とそれを観る視聴者の間には、マルチに活躍するよりもひとつの道を極めることをよしとする空気がいまだ漂っていることは否定できない。
「特に歌に関しては、僕はダンサーとして会社に入っているわけで、これまでのLDHのセオリーから考えてもびっくりされることだと思います。『結局何がしたいの?』と思う人もいるでしょうね。でも自分自身、まったくブレていない自信があるんですよ。というのも、デビューしてからずっと僕は『スーパースターになりたい』と言い続けてきました。最近は敢えて口には出さなくなったけれど、想いは変わりません。例えばアジア圏に目を向ければ、歌も演技もダンスもアクションも全部できてこそのスターじゃないですか。広い目で見れば、マルチにやるのは当然であって普通のこと。それに、僕が俳優を始めた時には驚いた人もいたかもしれないけれど、今はもう違いますよね。じゃあ歌手だったら?って考えると、そこに違いはないと思うんです」
岩田は抱き続けた夢に向かって、不退転で歩みを進めてゆく。
「ある意味で、腹を括ったんだと思ってほしい。言い換えれば、芸能界で食っていくって決めたということなんですよ。やりたいことはまだまだあります。グループの活動と並行して、これまで伝えてこなかったことを、自分自身で届けていきたいですね、これから」