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2021.04.13

最強のチームをつくる、話題のマネジメント理論 「識学」の活用術

SHIKIGAKU

経営危機のチームを立て直す!

人が事象を認識し、行動にいたるまでの思考の働き=意識構造に着目した組織マネジメント理論「識学」。この組織論でコンサルタントする同名の会社は、設立後わずか4年目で東証マザーズに上場。「識学」は、現在約2000社が導入するなど、高い実績を誇る。それをスポーツ界で活用しているのが、識学の西田創氏である。

「『識学』を知ったのは、2018年、母校の立教大学ラグビー部でヘッドコーチを務めていた時でした。トップチームで10年やってきた自分の経験を伝えられれば、きっと結果が出ると思っていたのに、なかなか上手くいかなくて。マネジメントに問題があるのかもしれないと模索し、出合ったのが『強い組織をつくる』と話題になっていた『識学』でした」

話を聞きに行った西田氏は、「これこそ自分が求めていたものだ」と確信。当時の勤務先を辞めて『識学』の講師に転向、ヘッドコーチとの二足の草鞋(わらじ)を履く。その翌シーズン、立教大学ラグビー部は、対抗戦BグループからAグループへの昇格を果たす。

「『識学』で大切なのが、分解するという作業。選手に対して曖昧な話はせず、ひとりひとりにどんな役割が求められるのか、細分化し、具体的に提示します。起用の基準も明確なので、選ばれなかった選手は、『自分が、そのレベルに達していないからだ』と納得し、他人や環境のせいにすることはありません。むしろ、与えられた目標をクリアするにはどうすればいいか、自分で考え、行動するようになるんです。その流れができれば、あとは自然と強いチームに成長します」

ルール・位置・利益・結果・成長に絞ったマネジメント

西田氏は、’20年5月からバスケットボールBリーグ2部所属、福島ファイヤーボンズの運営に携わっている。ここ数年成績が低迷し、財政難に見舞われているクラブを再建すべく、白羽の矢が立ったのだ。とはいえ、西田氏はバスケットボールに関しては素人。そのため、競技面は、監督やコーチ陣に「識学」の理論を理解してもらったうえで任せ、主に運営を担当しているという。

「競技も運営も、『識学』が唱える『ルール・位置・利益・結果・成長』という5つのポイントに絞ってマネジメントしています。『ルール』であれば、チームの移動時の服装や挨拶、事務所の清掃など、誰もが当たり前に守れるようなものを定めると同時に、個々の役割を明確にし、役割=責任=権限だという共通認識を持たせる。組織での立場を意味する『位置』については、部下から上司に報告をあげ、申請し、権限を主張するなど、下から上へという流れを基本にします。そうすれば、上司の作業は“承認”だけになり、部下とのコミュニケーションに腐心せずとも、効率よくマネジメントできます」

同様に、「この組織にいることで成長できる」「正当な評価が得られる」など、“利益”の有無で人を動かし、「アイツは人一倍頑張っている」といった主観が入りこみやすい“プロセス”ではなく、誰もが公平に判断できる“結果”だけに着目するという。

「チームづくりは人づくりです。人が育たなければチーム運営の意味がないとすら思っているんです。なので、私は社員や選手に安易に迎合せず、彼らの『成長』につながると判断すれば厳しく接するようにしています。また、希望だけでなく恐怖(ストレス)を意識させることも必要です。人は希望に向かって進んでいきますが、背面に恐怖がないと加速していきませんし、手を抜くこともできますから。特にスポーツ選手の場合、希望=勝利と、恐怖=敗北のどちらに偏りすぎてもパフォーマンスが下がってしまう。そのバランスをとることが大切だと思います」

「識学」のマネジメント方法は、このように体系だっているため、どんな組織にも応用が可能。上司のリーダーシップの有無や部下との相性といった“不明瞭な要素”に左右されることもない。効率的に効果が出せる反面、ドライなようにも思えるが、西田氏からは、リーダーとしてのポジティブな熱量が伝わってくる。

「はい、すごく楽しいです(笑)。スタッフや選手の士気も高まっていて、つくづくいいチームだなと思います」

昨年12月には、電球交換や買い物代行といったシニア層の生活全般をサポートするソーシャルフランチャイズ事業、「まごころサポート」にクラブが加盟するなど、新たな試みもスタート。

「私もお手伝いに行きましたが、地域のニーズや問題が肌でわかり、非常に有意義でした。福島ファイヤーボンズは地域密着型のクラブ。この活動は、収益源のひとつとしてだけでなく、地域貢献やファン開拓にもつなげていきたいと考えています」

地方創生のロールモデルを目指す“チーム西田”の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

 

「識学」で福島ファイヤーボンズを再建!

「私が関わる直前は、スポンサーが前年の138社から20社以上も減り、ユニフォーム前面を飾るメインスポンサーも失っている状態でした」

福島ファイヤーボンズ

それを9ヵ月で189社に増やせた裏にあったのは「識学」のメソッド。過去の実績を元に各営業マンの契約成功率を出し、目標額に照らし合わせて1日の訪問件数を割りだすなど“分解”。やるべきことが明確になったことに加え、各営業マンが役割=責任=権限という認識を持ったのが功を奏した。

地域活性化に貢献

福島県郡山市を本拠地とする福島ファイヤーボンズ。「現在はユースチームの育成に力を入れていますが、今後は学校や高齢者施設での選手による運動指導や地域飲食店連携事業なども企画し、地域活性化に貢献したいと思っています」(西田氏)。

自治体に働きかけ、ふるさと納税を活用したスポンサー集めも行った。「クラブのSNSも、目標フォロワー数に具体的な数字を掲げ、反響を分析し、反映させました」。それが集客につながり、前年12位から昨年末時点で6位にまで上昇した。

 

Policy of NISHIDA

01. 目的意識を明確に持つ

02. チームづくりは人づくりである

03. 希望と恐怖(ストレス)のバランスをとる

 

Tsukuru Nishida

Tsukuru Nishida
識学 経営推進部、識学講師。1983年福岡県生まれ。東福岡高校ラグビー部では全国大会で準優勝し、立教大学ラグビー部では主将に就任。卒業後、NECグリーンロケッツで活躍し、2016年に引退。’16~’20年、立教大学ラグビー部ヘッドコーチを務めた。’18年、識学に入社。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=鈴木規仁

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