文化庁による「芸術選奨文部科学大臣賞」の今年度受賞者が発表され、本誌創刊15周年特別号の4月号で表紙を飾った宮本浩次が、大衆芸能部門において大臣賞を受賞した。30年以上に及ぶエレファントカシマシのボーカリストとしてのバンド活動に加え、ソロ活動を開始した希代のロックシンガーにますます注目が高まっている。
誠実で真摯な歌への取り組みを評価
文化庁が発表した宮本の「大衆芸能部門・文部科学大臣賞」の受賞理由が印象的である。
アルバム「宮本、独歩。」において幅広い音楽性に取り組んだ後、自身の音楽的なルーツでもある昭和歌謡の女性歌手曲を収録した「ROMANCE」を発表。同作において曲への深い洞察を見せ、巧みに心情を表現。音楽性こそ異なるがバンド活動における実直な歌唱同様、誠実で真摯な歌への取り組みが説得力をもたらし、見事な成果を生んだ。
選考経過報告書によると、文部科学大臣賞候補者として9名の推薦があった。その選考の中でポイントとなったのは「コロナ禍という状況にも関わらず顕著な成果を上げた」ことだった。選考委員が議論を繰り広げた結果、カバーアルバムと初のソロアルバムの2作品を発表し、大衆性や聴衆への説得力を評価された宮本に、大臣賞を贈ることが決まったという。
芸術選奨には「芸術各分野において優れた業績をあげた者」に加えて「その業績によってそれぞれの部門に新生面を開いた者」という選考趣旨がある。アルバム「ROMANCE」で女性歌手の曲や心情への深い洞察力を表現した姿は、まさに、大衆芸能の新生面を開拓。これまでの業績だけでなく、そうした開拓者としての一面が評価されたのではないだろうか。
勝負アイテムはセリーヌのネクタイ
ゲーテ最新号の4月号では、創刊15周年記念の総力特集として、総勢32人の人生に寄り添う勝負アイテムや勝負メシを取材。宮本はその特集のトップバッターとして登場し「50代、シンガーとして新たなステージで勝負する象徴」としてセリーヌのネクタイを勝負アイテムに挙げてくれた。これまでずっと黒のジャケットに白のシャツ、ノーネクタイで歌ってきたというが、今回はあえてネクタイを選択。それは、50代となっても「まだ勝負できる」と新たな境地を求めたロックシンガーとしての"精神"そのものだった。
パイオニアとして進化し続ける54歳。現状に妥協せず、常に新しい境地を求めている人物だからこそ、作り出すものから目を離してはいけない。
創刊15周年特別号 GOETHE2021年4月号
創刊15周年特別号の表紙は、エレファントカシマシのボーカリストであり、現在ソロ活動中の宮本浩次。総力特集は「勝負」にフォーカス! アグレッシブに仕事に打ち込む者たちの傍らには、活力を与え続けてきた勝負アイテムがある。闘う仕事人たちの相棒と、その勝負論に迫る! そのほか「勝負下着」特集や「時計特集」、新連載「JRA競走馬の成長秘話 走れ! ゲーテ号」も必見だ。ご購入はこちらから!