プロフェッショナルが追求する"最高峰の視点"とは。第3回はミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」を創り続ける田中達也さんに密着。独特の感性で日常を切り取る田中さんが目的とするのは、クスっと笑える小さな幸せを与えることだった。
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【第2回「漫画家・鳥飼 茜」編はこちら】
Instagramのフォロワー270万人
田中さんの肩書は、ふたつある。ひとつは「見立て作家」。もうひとつが「ミニチュア写真家」である。ミニチュアを被写体として、それを日常の風景や状況に"見立てる"アイデアを生み出すのが前者。そして、それを自ら撮影し、Instagramで日めくりカレンダーのように毎日更新し続けるのが後者である。
Instagramは、なんとフォロワー270万人という驚異的な人気ぶりだ。約7割が海外からのフォロワーということからも、世界中で注目されていることがわかる。ではなぜ、自らが作品を発表する主戦場が、SNSなのだろうか。
「そもそも、SNSで発信することによって僕の作風は生まれたんです。どうやったら"いいね"が増えるかを考えていくうちに"見立て"という形になった。見る人の傾向に合わせるうちに、みんなが知っている風景や状況に見立てるという作風になってきた。
だから、僕の原動力は、"いいねの数"や"コメント"など皆さんの反応なんです。リアクションがあるからこそ毎日続けられる。多くの人に見てもらえるから、やれる。それをはっきり実感できるからSNSはいいですね」
3000日以上、とにかく毎日更新し続ける理由
当初は鹿児島のデザイン会社でアートディレクターをやりながら、帰宅後にミニチュアを撮影していた。だが、次第にSNS上で大きな反響を呼びはじめ、大手広告代理店との連載企画も始まったため独立。ミニチュア一本で勝負することになった。
2011年から毎日作品を更新し続けること3000日以上。既存メディアでの作品発表やクライアント案件とは違い、アップしても一銭にもならない"Instagram毎日更新"を何よりも自身の最優先事項にしているという。
「毎日やるというのは、アイデアを広げていくためです。引き出しがたくさん増えないと、面白いアイデアはでない。だから、毎日やるぐらいじゃなきゃだめなんです。必要に迫られて、毎日の締め切りを何とか乗り越える。アイデアがなくなった次のアイデアはもっと面白いと思っています。
例えば、ホッチキスの芯を見立てに使うことがあるのですが、同じ芯を題材にするにしても、昔と今では違います。当時は思いつかなかったアイデアを今では形にできる。アイデアを枯らした後の次に出てくるアイデアがもっと面白いと思っています。
限界を超えるには、脳の筋トレが必要です。1日さぼるとだめになる。定期的に毎日やることが大事。いつか連続更新が破れてしまう日は来るかもしれないけど、時間の制約によってそれが潰されるのはいや。破ってもいいと思うほど他に大事なことがでたら、そこで一回記録をとめるかもしれませんが、今のところはないですね」
目から刺激を受けて発想に繋がる
そんな田中さんにとって、"目"は作品作りにおいての生命線だという。見立てに使う日常の風景や状況を日々見つめ、ネタを発見するたびにスマートフォンにメモ。映画、漫画、本なども、着想を得ることもあるという。目で見つめることによって、日常を掛け合わせ、ミニチュアを使った作品に落とし込み、カメラで撮影し、パソコンで仕上げてInstagramにアップする。
「細かい作品を作るよりは、パソコンで作業する方が目に疲労がたまります。目から肩まで凝ってくる。視力は良い方ですが、目薬は欠かせない仕事道具です。とにかく目が疲れていると何もできません。自分の中では目の状態が良くないと見立てを生み出すことができないですし、目から刺激を受けて、それが発想に繋がります」
田中さんは自らのアイデアについて、「100歳まで生きても、すべてのアイデアを作品として使い切ることはできない」と断言する。そう言い切れるのは、約10年もの間、毎日作品を更新し続けてきた人間だからこその信念があるからだ。
「アイデアって、自分が経験したものの組み合わせでしかないんです。だから、その引き出しを組み合わせるパターンを増やすことが大事になる。料理にもよくたとえますよね。じゃがいもと人参があった時、素人はカレーしかできないと思うけど、引き出しが豊富な人は砂糖を加えてケーキを作ろうと考えるかもしれない。同じ材料で30品作る人もいれば2品しか作れない人もいる。その差だと思います。いかに掛け合わせるパターンと方法をたくさん知っているかが、アイデアの量と比例する。
見立ても、シチュエーションを掛け合わせることだと思います。だからいろんなものを買って集めておいたり、いろんな映画や漫画を見たりするのは大事です。完全に無の状態からハッと思いつくというのは、ないですね。結局、ハッとアイデアが降りてきたと思ったとしても、それは実際には以前にメモしていたり、経験していたりするので」
Google マップにブロッコリー!? ミニチュア写真家の先にあるもの
意外なことに田中さんは、ミニチュアだけにこだわっているわけではないという。ひそかにかなえたい野望を持っている。
「街中にも"見立て"をたくさん作りたいんです。今、僕がミニチュアで表現しているものは全部、モノを実物大に大きくすれば成立するもの。たとえば公園の木を、大きなブロッコリーで見立て、上から俯瞰で見ると遊具がまな板と包丁になっていれば面白い。Google マップで見たら、なぜか公園にブロッコリーがあったらクスっと笑えるでしょう。小さな幸せを与えるためには、ミニチュアという枠を外れてもいいんです。これからも、いろんな掛け合わせでアイデアを形にしていきたいですね」
Tatsuya Tanaka
1981年熊本県生まれ。ミニチュア写真家・見立て作家。2011年、ミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたアート『MINIATURE CALENDAR』を開始。以後毎日作品をインターネット上で発表し続けている。国内外で開催中の展覧会、『MINIATURE LIFE展 田中達也見立ての世界』の来場者数が累計100万人を突破("19年11月現在)。主な仕事に、"17年NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバック、日本橋高島屋S.Cオープニングムービー、森見登美彦著『熱帯』の装画など。Instagramのフォロワーは269万人を超える(2020年10月現在)
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