11月6日(金)公開の映画『十二単を着た悪魔』で主演をつとめるのは、女優・三吉彩花。モデルとしても活躍する傍ら、ドラマや映画の出演作が続く彼女に迫る。
自信はないけど、自分を信用してあげる
「仕事が楽しければ人生も愉しい」という本誌のキャッチコピーに対し、三吉彩花は艶のある落ち着いた声で「素敵ですね」とつぶやいた。
「仕事はすごく大事です。自粛で2〜3ヵ月仕事がなかった時に、何をしていいかわからなくなってしまって。『早く仕事がしたい!』という衝動がギュイーンと芽生えました」
14歳でファッション誌の専属モデルになってから、「こんなにも休んだことはなかった」と話すように、モデルとして、俳優として、走り続けてきた。
「お芝居の仕事は、間が空いてしまう時期もあるんですけど、そこはモデルの活動とバランスを取りながら前のめりでやっています。モデル以外に、映像制作のようなクリエイティヴな仕事にも興味があります。もっと視野を広げたいので、30歳までに留学もしてみたいです。ファッションではいずれ、ブランドの立ち上げなど、自分のアイコニックになるものとか作れたらいいなと思ってるんですけど、タイミングが来たらという感じでしょうか」
やりたいことがたくさんあるけれど、焦らずに、戦略を練りながら、機を狙う。その"表に出ない時間"も楽しんでいる様子が、映画『十二単衣を着た悪魔』で彼女が演じた弘徽殿女御(こきでんのにょうご)に重なる。『源氏物語』の悪役が、本作では自分の信念を貫くカリスマ的なキャラクターになったのは、三吉自身の媚びない、すがすがしい人柄が大きい。
「そう言っていただけるとありがたいです。私は、媚びずにナチュラルに人に接することが相手に対して誠実だと思っていて。すると地声が低いので、愛想が悪いと受け止められる。なかなかの難しさがありますし、ぶつかることもありますが、信用できる人と、信用できるものをインプットして、自分を保つようにしています」
弘徽殿女御の「傷つかぬように生きるなど小者のすることです」という台詞は、言いながら刺さるものがあったという。
「自分をガードする殻を外さないと人との信頼関係は築けないと思います。もしも失敗したとしても、それを糧にすれば成長できる。自分に自信があるわけではないけれど、自分を信用してあげる。自分の意見をちゃんと言うこと、自分の選択に責任を持つこと、失敗を怖がらないことを大事にしています」
眼差しや肉体から放たれる、彼女の堂々としたオーラの源が少しだけわかった気がした。
『十二単衣を着た悪魔』
監督:黒木 瞳
原作:『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』 内館牧子/幻冬舎文庫
出演:伊藤健太郎・三吉彩花・
伊藤沙莉・田中偉登・沖門和玖・
戸田菜穂・細田佳央太・ラサール石井・
伊勢谷友介・山村紅葉・笹野高史
11月6 日(金)全国公開
黒木 瞳が愛読していた内館牧子の同名小説を、監督として念願の映画化。優秀な弟に引け目を感じているフリーターの青年・伊藤 雷(伊藤健太郎)が、『源氏物語』の世界に迷いこんで陰陽師となり、成長を遂げていく。
Ayaka Miyoshi
1996年埼玉県生まれ。2012年『グッモーエビアン! 」で映画デビュー。本年は主演作『犬鳴村』、『Daughters』が公開。12月10日より「今際の国のアリス」がNetflixで全世界配信開始。