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2020.08.27

84歳、写真家・操上和美とタッグを組んだ仕事仲間が明かす、そのズバ抜けた仕事術とは?

トップアーティストたちが心酔する写真家・操上和美と時に喜び、時に苦悩した戦友ともいえる仕事人だからこそ垣間見えた、操上の人間力。業界トップレベルの仕事仲間が語る、最前線で活躍し続けるその卓越した仕事術とは?

スタイリスト・島津由行

Q. 操上さんとの印象的なエピソードは?

A. 「約10年前、夏の九十九里浜で矢沢永吉さんの写真集『FACE』を撮影。足場の悪い砂浜や土手を矢沢さんが走り回り、その動きに操上さんは、反射的にピントを合わせながらついて行きました。ある程度撮影した後、矢沢さんが『もう結構いいの撮れてるでしょ』と言い、撮影終了かと思いきや、操上さんが『さぁ、もう少し行こうか』と号令。スタッフは、またもや写真に写らないように操上さんの後ろで逃げ回る。その光景は、ドリフのコントみたいで、面白かったなぁ(笑)。矢沢さんを長い間独り占めできるのは操上さんだからこそ。その時間を共有できて非常に嬉しかったです。上がりも最高でした」

Q. 操上さんとの仕事で好きな作品は?

A. 「女優の宮沢りえさんをモデルにブルガリのジュエリーを撮影した時のこと。ファッションなどの撮影では外国人のモデルを起用することが多いですが、モデルもスタッフも全員日本人でモードを撮る、という貴重な経験でした」

Q. 操上さんが行なっている習慣で、ご自身でも取り入れていることは?

A.「2つあって、1つは感覚や精神的な反射神経を持っているところ。もう1つはプライベートでも仕事でも直感的な動きと論理的な説明ができること。その両方を兼ね備えることは、なかなか難しいことだと思います」

Q. 操上さんは、どんな仕事人だと思いますか?

A.「永遠のビートな少年」

Q. 心に残っている操上さんの言葉は?

A. 「役者の藤 竜也さん出演の某ビール会社のCM撮影でのこと。早朝、西伊豆の山へロケに行った際、撮影場所に向かう道の途中に足場の悪い土手があり、操上さんは足で土を踏みながらそこに階段を作っていました。僕はスタイリングの準備をした後に遅まきながら手伝いに加わりました。

その時に、『島ちゃん、スタッフも一生懸命みんなやっていて、撮影するだけじゃなく、こういう(怪我のないような)環境をつくるのも楽しいよね」ってひと言おっしゃったんです。

操上さんがそこまでやらなくてもいいのに、役者さんが怪我したら危ないからと思って、自然に自ら階段づくりに取り組み、それを楽しくやっているところが素敵でした。

80歳を過ぎても物事を俯瞰して、そして優しく、楽しくできる精神は素晴らしいなと思います」

Yoshiyuki Shimazu
1959年熊本県生まれ。CM、広告を中心にファッション誌でのスタイリングやクリエイティヴディレクションも手がける。また、ミュージシャンや俳優などのスタイリングも担当する。

ヘア&メイクアップアーティスト・佐藤富太

Q. 操上さんとの印象的なエピソードは?

A. 「ヘアメイクのアシスタントとして働きだす前に、ファッション撮影の現場を見るよう師匠に言われて訪れたのが操上さんの現場。40年以上前ですが、インパクトがすごかったので、私の操上さん像の80%はそこで形づくられました。

35mmのカメラを持つ姿は、まるでライフルを撃つかのようで、ボディをしならせながら写真を撮影していました。服装もブーツにジーンズ、シャツはボタンが2〜3個開いていて、ロックスターのよう。

そんな操上さんが休憩中に『(コーヒーを)君もいただきなさい』と声をかけてくれたんです。今思えば、そのひと言で、現場の一員に加えてもらえたような気がします」

Q. 操上さんとの仕事で好きな作品は?

A. 「約5年前に舞踏家の首藤康之さんを撮影した写真集『DEDICATED』。ふたりの芸術家がぶつかり合うとこうなるんだな、という撮影でした。操上さんは特別な指示を出さないのですが、導かれるように撮影が進んでいきました」

Q. 操上さんが行なっている習慣で、ご自身でも取り入れていることは?

A.「打ち合わせの際の雑談で、操上さんが朝起きて最初にすることを伺った時の答えが『起きて直ぐに窓の外を見る』でした。

水を飲む、トイレに行く、シャワーを浴びる、伸びをするなど身体によい事を予想していましたが、その答えを聞いて、毎朝起き抜けに窓の外を見るという行為から1日が始まる操上さんの画像が目に浮かびました。

私もロケの時など仕事の時だけ天候確認のため見ていたのですが、それ以来、毎朝窓の外を見るようになりました。空模様だけではなく庭の木々、影、風など無常観察と言うんでしょうか。そういったものを感じています」

Q. 操上さんは、どんな仕事人だと思いますか?

A.「高僧」

Q. 心に残っている操上さんの言葉は?

A. 「『いいね、やってみよう』とどんな提案も受け入れてくれます。アクシデントやトラブルがあった時でも、この船は沈没しない、という心強さがあります」

Tomita Sato
1952年北海道生まれ。女性誌・男性誌問わず多彩な雑誌で活躍。また広告のヘアメイクも幅広く手がけ、多くの著名人が厚い信頼を寄せている。写真家として活動する一面も持つ。

TEXT=編集部

PHOTOGRAPH=操上和美

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