PERSON

2020.07.17

憧れの84歳写真家・操上和美の愛用品を一挙公開!

世の評価や流行とは無関係。偶然と直感で手にしてきた操上が愛する私物には、創造の源泉が垣間見える。

感性を表す愛すべきモノたち

「僕にとってモノを選ぶことは、写真を選ぶことと同じです。決めるのは、好きか嫌いかに尽きる。その意味では服も家具も、または海岸で拾った流木や石ころさえも、自分のなかでは同等の価値がある。すべて好きで選んだのですから」

好きか、嫌いか。これほど明快な基準はないが、ゆえに操上の愛用品にはその感性が明快に表れている。それはまさに好きな瞬間を捉えた写真作品に通底するもの。自分の感性に従い、好きを突き詰めること。それが力強く普遍的な作品を生むのだ。

「恋愛と同じで、出合い頭にフォールインラブするモノがほとんどです。好きか嫌いかを瞬時に決める能力を養う点では、モノ選びは仕事にも通じる大切なこと。それとモノには、出合った場所や時間の記憶が宿っている。それらに囲まれて暮らすことに、幸福を感じるのです」

クールに過ごす真夏の定番ワードローブ

夏の普段着はTシャツかハワイアンシャツがほとんど。右側のものはかなり古いヴィンテージで、修繕しながら着ています」。左側3列はお気に入りのブランド、ワコマリアのもの。

名店の逸品には長年付き合える理由がある

「20年以上は愛用しているウルフズヘッドのスタッズベルト。時折店に顔を出すと磨いてくれます」。スタッズが丁寧に留められ、裏の爪が引っかかったりしないのも素晴らしいという。

メッセージを添えたTシャツはもはや作品

操上自身の写真作品を使用して製作したという、希少なオリジナルプリントTシャツ。「写真に添えるメッセージも、その時々の気分で自分が考えたものを入れています」

愛するほど手放せない唯一無二の美しさ

「革靴は履くほどよくなる。ソールを何度も張り替えて履き続けています」。愛用のレッド・ウィングのワークブーツ(右)とダナーのトレッキングブーツ(左)は美しい艶を帯びる。

ファンならずとも欲しい生ける伝説の肖像

「僕が撮影したキース・リチャーズのポートレートをプリントしたもの。写真に存在感があるので、コピーは入れませんでした」。操上のスタジオ「キャメル」50周年記念に製作。

モードからヴィンテージまで自由に選択

「好きで結構持っていますが、ブランドにはあまりこだわらないですね」というライダーズジャケット。サンローラン(右)やショット(左)のヴィンテージと、そのチョイスは幅広い。

ウィットの利いたメッセージがクール

これも自身の写真をプリントしたオリジナルTシャツ。「私の心臓は右側にある内臓逆位なのですが、右のTシャツはそれがモチーフ。左胸を撃っても、私は殺せないよと(笑)」

生涯履くに足る、まさに紳士靴の最高峰

靴フェチを自称する操上が、とりわけ好きなブランドがジョンロブ。「これは30年近く履いていると思う。カジュアルだけでなく、ドレッシーな服にも合う。一生履けるブーツです」

数多所有して気づいた名作ウォッチの魅力

多くの腕時計のなかでも、最近よく使うのは白蝶貝文字盤のロレックスのデイトナとブルガリのオクト。「デイトナはスポーティに、オクトはフォーマルに、と服で使い分けます」

毎日使うモノにこそ普遍的な美しさを追求

「朝から美しいモノに触れられるので、何十年と使っています」というティファニーのシルバー製ヒゲ剃り。その流麗なフォルムはデザイナー、エルサ・ペレッティによるものだ。

自然と惹かれる、時代に流されない存在感

エルメスの象徴である馬モチーフのペーパーウェイトは、球体部分が天眼鏡(てんがんきょう)になった逸品。「こういった長年使えるモノが僕の愛用品には多いと思う。仕事机に置いて使っています」

多くの時間を共有した、旅に欠かせない伴侶

「アシスタントを帯同せず、ひとりで行く撮影旅行で使うカメラケースです。たまたま見つけたルイ・ヴィトンのトランクの内装をアレンジしました」。経年変化した真鍮や革が美しい。

ストイックにキープする健康管理の必需品

ドイツ・ツェーンレ社の体重計は毎日乗るそう。「約45年間、健康のため自分で決めたベスト体重55.5kgをキープ。食事やジム通いで±0.5~1kgにコントロールしています」

植物との対話に欠かせない美しきツール

「握り心地がよく、20年以上使っています。用途別に何本かありますが、これが一番活躍しています」というエルメスの剪定鋏(せんていばさみ)。屋上庭園で好きなハイビスカスなどの鉢植えに用いる。

風を感じられる生涯の愛車との出合い

長年乗り継ぐポルシェフリークの操上が、最も長期間乗っているという911カレラ4カブリオレ。「自由に風を取りこめるし、普段の運転もしやすい。一生愛そうと思っています」

TEXT=竹石安宏(シティライツ)

PHOTOGRAPH=操上和美

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