日ましに春めいてくると、ファッションをもっと楽しみたい気持ちが、むくむくと湧き上がってくるはず――。そんな気持ちを刺激してくれるエキシビション「Kimono:Kyoto to Cat walk」が、2月29日からイギリス・ロンドンにあるヴィクトリア&アルバート(V&A)博物館で開催中。今回このエキシビションに、あのYOSHIKIが手掛ける着物ブランド「YOSHIKIMONO」の作品が展示され、話題を集めている。
伝統と革新が融合する着物「YOSHIKIMONO」
「Kimono:Kyoto to Cat walk」は、日本のシンボルのひとつ“着物”に焦点をあてた大規模展覧会で、その展示内容がとにかく豪華である。人間国宝の森口邦彦氏が手掛けた着物や、歌手・ビョークがアルバム『Homogenic』のジャケットで着用したアレキサンダー・マックイーン作の衣装、ハリウッド映画『SAYURI』の衣装、ジョン・モロとトリシャ・ビガーが着物をベースに作った『スターウォーズ』の衣装など、著名なファッションデザイナーの作品がずらりと並ぶ。
この展覧会に、なぜYOSHIKIの作品が抜擢されたのか。じつは、YOSHIKIは呉服屋の長男。家業を継ぐ代わりに音楽のキャリアを選び、約10年前に着物ブランド「YOSHIKIMONO」を立ち上げている。
2015年に『Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO』のグランドフィナーレで本格的デビューし、その後も2016年、2019年に新作を発表。“伝統と革新の融合”をテーマに掲げ、着物業界に革新的なデザインを持ち込み、業界全体の活性化に貢献してきたのだ。
今回展示されるのは『Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2016 S/S』で発表された作品で、伝統的な着物にロックの要素を混ぜ、「和」の新しい世界を表現。日本で開催されたショーでは、ランウェイ中央のステージでYOSHIKIがピアノ演奏した演出も注目を集めた。
「Kimono:Kyoto to Cat walk」に出品するにあたり、YOSHIKIは、「この展覧会に参加できて光栄です。私のブランドであるYOSHIKIMONOが選ばれたことももちろんですが、着物業界全体が注目を浴びることに感謝しています。着物は、日本において最も伝統的なものの一つです。私はその伝統を守るのと同時に、業界が作った、自分たちの領域に閉じ込めてしまっている決まりごとを破りたいと思っています」と語っている。
このエキシビションのキュレーター、アナ・ジャクションは、「YOSHIKIは彼のロックンロールなセンスを活かして、着物の世界に新しい風をくれました。彼の作品を展示できることがとても楽しみです。特にYOSHIKIが取り入れた画期的なスタイリングは着物がいかに多彩な表現が可能かを示すことになると思います」と話し、「YOSHIKIMONO」の魅力を本エキシビションで伝える喜びが伝わってくる。
また、会場となるヴィクトリア&アルバート博物館は、芸術とデザインにおけるコレクションの質と豊富さは世界最高峰といわれる場所。歴史深い空間と「YOSHIKIMONO」がどのように融合し、着物の新たな楽しみ方を発信してくれるのか、ぜひロンドンで体感したい。
「Kimono:Kyoto to Cat walk」
会場:ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)
期間:2020年2月29日~6月21日