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2019.12.19

【大谷翔平】忖度なしのメディアへの対応――実践的行動学⑥

幾多の試練を乗り越えながら、着実にスーパースターへの階段を上り続けているメジャーリーガー・大谷翔平。彼がアメリカ全土でも絶大なる人気を誇る理由は、その実力だけが要因ではない。ビジネスパーソンが見習うべき、大谷の実践的行動学とは? 日本ハム時代から"大谷番"として現場で取材するスポーツニッポン柳原直之記者が解き明かす。

取材者が誰であろうが受け答えのスタイルを変えない

大谷を取材していていつも感心するのは、人によって態度を変えないところだ。

日々の囲み取材で質問された内容以上のことを極力、答えようとしないのが大谷のスタイル。例えば、左膝の手術明けで11日ぶりに姿を見せた今季総括会見で近況を聞くと「球場にも来ていましたね。家にもいましたし」と答えるのみ。「どんなケアをしていましたか? 例えばマッサージやアイシングとか……」と質問を掘り下げないと具体的な内容はまず出てこない。

言わずもがな、大谷が発する言葉の影響力は大きい。しかも、今やテレビや新聞で世の中に出る前に、囲み取材の数分後にはインターネットでコメント付きの速報記事がアップされる時代。ツイッターであれば数秒後に発信できてしまう。大谷が一言一言に慎重になるのも無理はないし、私も一メディアとしてそんな心情を理解しているつもりではある。

ただ、大谷が凄いのは、取材者がベテランだろうが、若手だろうがそのスタイルを決して変えないところだ。顔なじみの番記者だろうが、“一見さん”だろうが関係ない。もちろん男女問わずだ。テレビや新聞の評論家として訪れるプロ野球界のOBに対してもそのスタイルを崩さないから恐れ入る。上下関係が色濃く残るプロ野球の世界なので、周りで傍観しているこちらが冷や冷やすることもあるほどだ。

Licensed by Getty Images

後輩に厳しく、自分に甘く、先輩にこびを売る。そんな人間が周囲から信頼を得られないのは明白だが、どれをとっても大谷はその真逆の存在といえる。誤解を恐れずに言うと、大谷は決して「取材しやすい選手」ではない。ただ、だからこそ、一言一言に確固たる信念を感じ、その言葉の裏側にある本質にもっと迫りたいと思わせる選手でもある。

スポニチでは毎年、オフに単独インタビューを行っており、今年11月にも米国で受けてもらった。数年前に大谷から「単独インタビューと囲み取材で答える内容は分けている」といったニュアンスの言葉を聞いたことがあるが、確かにその時ばかりはざっくばらんに、尚且つ真摯に答えてくれ、そして聞いた質問以上の内容を返してくれる。

大谷翔平という一人の人間に触れられる、その瞬間はたまらなく嬉しいし、ありがたい。1年に1回は何でも答えますよ――。それもまた大谷が変えないスタイルである。

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