師匠か、恩師か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりの姿をご紹介。連載「相師相愛」第42回は、経営者とミュージシャン。
LUNA SEA / X JAPAN SUGIZOが語る、宮河恭夫
初めてお会いした時に、ロックの話で大いに盛り上がりまして。サンライズ社長がロック少年だったんだ! と驚いて、そのままビビビッとつながってしまいました(笑)。
僕は10歳の時にテレビでガンダムがスタートした、超リアルタイム世代。世界観にすっかりハマりました。とても好きだった作品なので、宮河さんから『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のテレビ化で曲の依頼を受けた時は、正直目が点でした。
でも、おかげさまで僕の音楽人生でも最重要トピックスのひとつになりました。ただ、世界中に幅広い年齢層のコアなファンを持つのがガンダム。曲作りでは多大なプレッシャー、あらゆるファンを納得させる、という観念を途中で諦めました。僕は誰よりファン歴は長い、だからその感覚に自信を持って作曲に勤しもう、と。
宮河さんとはよく食事をご一緒しています。1年ほど前、音楽評論家の立川直樹さんをご紹介したくて、3人で箱根に行き、温泉で裸の打ち合わせをしたりも(笑)。
手がけられているプロジェクトの規模や質がケタ違いなのが、宮河さん。毎月のようにいろんな国にも行かれている。これだけの仕事をまさに頂点でしている方なんですが、根っこにあるのは、今もロック小僧だった頃の感覚なんだと感じます。それがかっこいいんですよね。こんな60代になりたいです。
これからも一緒にものを創っていけたら、すごくうれしい。宮河さんの理想とする音楽の生み手になれたら、こんな光栄なことはありません。海外に出る夢も、焦らずも確実に、ぜひ一緒にやっていきたいです。
バンダイナムコ宮河恭夫が語る、SUGIZO
2020年に横浜で実物大ガンダムを動かそうという、「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」では、いろんな方に関わってほしいと思っていました。もともと妻と息子がLUNA SEAのファンで、かっこいいなぁと僕も聴くようになったんですが、SUGIZOさんはガンダムが好きだと公言されていた方だったんです。
5年前にプロジェクトを発表した時、記者会見とパネルディスカッションに出てもらおうとお願いしました。
その後、映画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』をテレビ化する際、オープニング曲などを直接、お願いして。明け方にメールで曲が送られてきた時には、聴くのが本当に楽しみでしたね。あっ、こう来ますか、とけっこう衝撃で(笑)。こんなところに、あの年代を彷彿とさせる、これ入れますか、とか。古い音楽にも、SUGIZOさんはものすごく詳しいんです。
ゲームやアニメは知られていますが、僕は日本の音楽を世界に出したくてしょうがない。これからもともに新しい挑戦をしていきたいです。
また、SUGIZOさんは音楽以外に、ボランティア活動や環境保護活動などを積極的に行われています。難民キャンプで演奏したり、ボランティアで現地に入って作業をしたり。なかなかできることではない。しかも、ギタリストですから、手を傷つけたりしたら大変です。
年は一回り下なんですが、70年代のブリティッシュロックやYMOなど、けっこう好きなバンドが似ているんですよね。会えばいつも音楽談義になります。この間も、ザ・フーの話で盛り上がりました。また、ご飯に行ったり、一緒に温泉に行ったりしましょう。
Miyakawa Yasuo
1956年生まれ。’81年、バンダイ入社。『機動戦士ガンダムSEED』ほか多くのアニメを手がける。サンライズ代表取締役社長を経て、2019年より現職。
SUGIZO
1969年生まれ。ロックバンドLUNA SEA及びX JAPANのギタリスト&ヴァイオリニストであり、多岐にわたる活動を展開しているソロアーティスト。