1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウエアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた熱き男たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「男を起動させる眼鏡#5」。
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「タケオキクチ」クリエイティブ ディレクター 菊池武夫
ラウンド型の眼鏡こそは、ファッションデザイナー・菊池武夫を象徴するアイコンのひとつ。そのフレームを通し発せられる動じない視線は、あたかも物事の奥を見通そうとする強い気概のようでもある。
「僕は以前から、自分が生まれる前に活躍した偉人の伝記や写真を見るのがひとつの趣味。ポートレートなどを見るにつけ、彼らがいかに自分の仕事と同様に、風貌にも確固たる美意識を持っていたかを感じます。そんな彼等への畏敬の念も相まって、クラシカルなラウンド型を愛用しています」
ただし時を経て新たな考えも抱くようになった。
「丸眼鏡は確かに自分のスタンダード。しかしすべてのシーンや服装にマッチするものではないということ。その経験を踏まえ、40代では四角も含め本当にいろいろなデザインを試しました」
また、男の風貌において40~50代はひとつの鬼門と指摘する。
「顔が少し緩んでしまうんです。仕事も軌道に乗って金も回りだす。いろいろなことがルーティーン化してマヒしてしまうのでしょう。眼鏡はそういった緩みを矯正する効果もあるのです」
さまざまな眼鏡遍歴を経たデザイナーが、80歳の境地で今回選んだのが、コンビネーションのラウンド型。
「このモデルはブラウンの色調から顔へのフィットまで、すべてにおいてパーフェクト。最初はレンズにカラーを入れ強さを出そうと考えました。しかし試着の時にその必要がないフレームだと思い、素通しレンズを選びました」
Takeo Kikuchi
1939年東京都生まれ。'70年にBIGI、'75年MEN'S BIGI設立。'78年にパリでコレクションを発表、世界に知られる。'84年にワールドへ移籍し「タケオキクチ」を発表。2012年、一度は退いた「タケオキクチ」のクリエイティヴディレクターに再就任、自身の感性を次世代に伝承する。
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