師匠か、恩師か、目をかける若手か、 はたまた一生のライバルか。 第 24 回は、業界の枠を飛び越えたふたり。
加藤友康が語る、中西健夫
8年前、渋谷の映画館を再生して音楽劇場にできないか、と考えていた時、この人に相談しなさい、と紹介されたのが中西さんでした。日本のナンバーワンプロモーターだから、と。
以来、ハッとするアドバイスを何度ももらえただけではなく、いろんな方をご紹介くださって。みんな中西さんのことを「出会いの神様」って言うんです。自分の利益をまったく考えずに人をつなぐ。私にとってのエンタテインメントの師です。
最も印象深いのは、やはり東日本大震災後です。直後にふたりで飲む機会があって、今こそ音楽の力でできることをやらないといけない、とおっしゃって。それが布袋寅泰さんと吉川晃司さんのコンプレックスの再現であり、あのプリンセス プリンセスの再結成であり。絶対に中西さんにしかできないことだし、本当に多くの人に勇気を与えたと思います。その思いを、おそらく初めて聞いたのは私なんです。生き方が、本当にかっこいいんです。
(これよりWEB版限定テキスト)
これからホテルやレストラン、リゾートなどのレジャー事業とエンターテインメント事業との融合が、もっともっと日本には求められてくると思っています。生意気なんですが、そういうものの見本を作れたら、とずっと考えています。そこで、中西さんと一緒に何かができたらいいな、と思っているんです。人生の先輩の後姿をもっともっと追いかけたいし、お返しもしていきたい。
実は縁あって、私の息子ともお会いいただいたようでして。親子ともども、お世話になってしまっております(笑)。
中西健夫が語る、加藤友康
沖縄にものすごく気になるリゾートがあったんですが、それを造っていたのが偶然、加藤さんの会社だったんですよね。もちろん、「つるとんたん」はよく行っていましたし。
それで紹介を受けて、あぁ、この人も同じだ、と思ったんです。独り占めして儲けようとする人は山のようにいるんですけど、面白くないんですよ。お金の話ばかりするし。加藤さんは、みんなで考えよう、みんなで世の中をよくしていこう、楽しいことをやっていこう、という意識を感じました。世の中のためこそ自分のためなんです。それが事業の端々にでている人ですよね。
KPGが運営している熱海の旅館に行って、感動したことがありました。左利きの方がいて、チェックインの時、左手でサインをしたら夕食でご飯を食べる時にお箸が左側にあったそうです。おもてなしが本当に細やかで驚きました。
個人的には、究極のB 級グルメの店を作ってほしいですね。だから、加藤さんが絶対に行かなそうな店を、密かに探しているんです(笑)。
(これよりWEB版限定テキスト)
これからは高齢化がもっと進みます。これは加藤さんにもお話していますが、僕の夢は面白い特区を作ること。おじいちゃん達が自分のレコードを持ち寄って、ミュージックライブラリーで昔の音楽を聴いて話すとか、若い人が1日店長で食事のメニューを作るとか、みんなで新しいスポーツをやるとか。高齢者も若者も、とにかく楽しく過ごせる場にする。楽しく余生を過ごしたいじゃないですか。
そうそう、加藤さんの息子さんとも飲んだんです。自分がよく知る人の息子が親を語る。とても新鮮でした。お父さんのこと、とてもリスペクトしてましたよ。詳しいことは、また今度(笑)。
Tomoyasu Kato(左)
カトープレジャーグループ代表取締役 兼 CEO。1965年生まれ。23歳で父親の後を継ぎ社長に。破綻したリゾートの再生や多角的な事業を展開。「麺匠の心つくし つるとんたん」をはじめさまざまな事業に成功。
Takeo Nakanishi(右)
ディスクガレージホールディングスグループ代表。1956年生まれ。ミュージシャンとしてデビュー後、アルバイトとしてディスクガレージ入社。音楽プロモーターとして頭角を現し、数多くの実績を誇る。