師匠か、恩師か、目をかける若手か、 はたまた一生のライバルか。 第23回は、セガゲームス代表取締役社長COO、松原健二氏とサイバード代表取締役社長、内海州史氏のおふたり。中学・高校の同級生時代から、再会を果たしたきっかけとは?
松原健二が語る、内海州史
バレー部なのに、なぜかバスケットがうまかったんですよ、彼は。体育の授業の試合で、遠くからシュートを決めまくる。強烈な印象でした。大学時代には一度、映画館でばったり会って。彼は覚えていないみたいだけど、その時『普通の人々』を上映していたのを覚えています。
お互い正反対なんです。僕のいたバスケ部は練習が厳しかったけれど、彼のいたバレー部は緩め。僕は理系で彼は文系。最初に就職したのも、お堅い日立とお洒落なソニー。ところがアメリカのビジネススクールに行って、お互い転職を重ね、20数年ぶりに同じゲーム業界の人間として会うことになったわけです。
プレイステーションをアメリカに広げたサムライのひとりで、「キングダム ハーツ」の仕掛け人。有名人でしたが、国籍問わず人とすぐに仲良くなるフランクさがあって。それでいて、新しいことにどんどん斬りこんでいく感性鋭いチャレンジャーでもある。彼がかつて過ごしたセガに今いるのも、不思議な縁です。
(これよりWEB版限定テキスト)
勘も鋭いんですよ。覚えているのは、コーエーの社長を打診されていたとき。たまたまサンフランシスコでイベントがあって一緒に食事したんですが、何も言っていないのに「社長になれ、と言われたんだろ?」といきなり。なんでわかったのか、本当にびっくりしました。
理系は堅い人間が多いんですが、彼はまわりと打ち解けるのが早いんですよね。外国人ともあっという間に仲良くなってしまう。日本人離れしているんです。ハグひとつとっても、日本人っぽくないですからね。一瞬で人を惹きつけるヤツです。今度会うときは、中高時代の集まりで(笑)。
内海州史が語る、松原健二
中学時代、特に親しかったとか、そういうことではないんです。でも、どういうわけだか、ちょこちょことニアミスをしていたんですね。バレー部とバスケ部は同じ体育館で練習するので顔を合わせますし、授業のバスケの試合で盛り上がったり。就職が同じ電機業界だったり、アメリカのビジネススクールに留学したり、転職を重ねたり。タイプはまったく違うのに、何かがよく被るわけです(笑)。
同じ感覚で会話ができるというのは、極めてレアなことでして。体験しないとわからないことというのは結構あるんです。留学然り、転職然り、社長業然り。彼がゲーム業界にやってきて20数年ぶりに会って、存在の貴重さが改めてよくわかりました。それからですよね、「最近どうよ」と気さくに会っていろんな話をするようになったのは。利害関係なしで話せますしね。
ときどき食事したりして、いい刺激をもらっています。今は遊び上手のテニス部の集まりにも、なぜかふたり呼んでもらっています(笑)。
(これよりWEB版限定テキスト)
なんといっても印象的なのは、記憶力のよさですね。しかも、深く、細部まで覚えているんです。話をしていると、驚愕することが多い。「あの時のイベントの基調講演は……」なんて、どうして覚えているのか不思議でしょうがない。どういうメモリー量になっているんでしょうね(笑)。それはもう驚かされるばかりです。
そしてそんな頭のよさの一方で、常に攻め続けている。ゲーム業界に来た時も驚きましたが、外資のゲーム会社にも飛びこんだりもして。堅いと思いきや、軸をちゃんと持ち、大きな視点とスケールでもって攻めの姿勢を崩さない。お互い刺激し合いながら、ゲーム、エンタテインメント業界を盛り上げ、貢献していきたいですね。
Shuji Utsumi(右)
サイバード代表取締役社長。1961年生まれ。ソニー、SCEアメリカ、セガアメリカ、ディズニー・インタラクティブ、ワーナーミュージック・ジャパン社長などを経て、2016年より現職。
Kenji Matsubara(左)
セガゲームス代表取締役社長COO。1962年生まれ。日立製作所、日本オラクルを経て2001年コーエーへ。’07年コーエー社長、’11年ジンガジャパン社長などを経て’17年より現職。