大人の見栄張良品 星野リゾート 代表 星野佳路氏


マインドを変化させ、停滞を打破する実践と挑戦

数多の旅館やリゾート施設の再生・運営を手がけ、国内ホテル業界に絶大な影響を与えてきた星野リゾート。その代表を務める星野氏は、仕事で身につけるもので見栄を張ることはほとんどなく、ほぼすべてが実用重視。その最たるものが眼鏡だ。

「会社が注目されはじめ、私自身の露出も増えた時期、とにかく社名を覚えてほしくて、取材時は印象に残りそうな眼鏡をかけるようになった。すると、眼鏡が自分のなかの"モード"を変えてくれることに気づいたのです。以来、今ではシーン別に6本を使い分けるようになりましたが、気分を変えたい時や気合いを入れたい時にとても役立っています。自己暗示のようなものかもしれませんね」

見栄とは、周囲を巻き込んだ自己暗示ともいえる。そういった意味では、星野氏にとって眼鏡は多忙な日常に合わせてマインドを切り替え、鼓舞してくれる、いわば"実践的な見栄"なのだ。だがそんな星野氏も唯一、紛れもなく見栄を張る分野があるそう。それがスキーだ。

昨年購入したというヴェクターグライドの板。「パウダースキーの魅力は無重力のような浮遊感」だそうで、年間60日はスキーを滑ることに決めているという。

「今使っているパウダースキー用の板は、おそらく私の実力以上のもの。いわばチャレンジであり、鼓舞されるというよりもむしろ緊張感が増すものなのです。それでも見栄を張ってトライするのは、仕事は80歳までできるかもしれませんが、こうした板は70歳になったらもう乗れないからです。パウダースキーは40代中頃に始めたのですが、普通そんな歳で挑戦するものではなく、エクストリームな感覚が刺激的でとても楽しい。それほどスキーにのめり込んでいますが、チャレンジし続けること、そして物事に費やすエネルギーの度合いが衰えていないことを実感できるのです」

気持ちを切り替える眼鏡も、挑戦心を育むスキーも、星野氏のマインドを刺激し、変化させるもの。停滞していた日本の旅行業を新鮮な運営で刺激し、変化させてきた星野氏は現在57歳。エネルギッシュな実践と挑戦は、まだまだ続くのである。

星野佳路(よしはる)

1960年長野県生まれ。軽井沢で老舗温泉旅館「星野温泉」を営む星野家に生を受け、慶應義塾大学卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院を修了。帰国後に家業を継ぎ、日本屈指のホテル運営会社へと発展させた。