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2022.07.05

猛暑が経済に与える影響は? 気温とお金の関係について

新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載「アフターコロナのお金論」では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。Vol.50。【過去の連載記事】

連載「アフターコロナのお金論」

暑い夏から考える経済のこと

今年は6月から非常に暑い日が続いています。気象庁は6月27日、関東甲信地方と東海地方、九州南部が梅雨明けしたと発表しました。関東甲信地方がこんなに早く梅雨明けするのは1951年の観測開始以降最速となるそうです。平年の梅雨明けは7月19日ごろなので、平年より約3週間早く夏となっています。もうクーラー全開という方も多いのではないでしょうか。

お金のトレーニングスタジオ「ABCash」の生徒さんは全国各地からオンラインでお金のトレーニングを受講しています。ですので、まだ梅雨明けをしていない地域にお住まいの生徒さんもいたり、猛暑の地域にお住まいの生徒さんもいたりとさまざまです。ただこの猛暑は日本中どこにいてもお金にも影響があるものです。

ちなみに、そんなものすごく暑い日を英語でDOG DAYSというそうです。

ニュースでも猛暑を要因としたいろいろなニュースが飛び交っています。今回は暑い夏と経済の関係を紐解いていきます。気温とお金は一体どのように関係しているのでしょうか。

早速ですが、お金のトレーニング。猛暑は会社の業績にも影響を与えます。例えばダンボールメーカーの企業の場合、猛暑は好影響、悪影響どちらとなるでしょうか?

答えは好影響です。暑さの影響で飲料などの消費が増えることはイメージしやすいと思いますが、さらにそれらを包装する商材を扱っているメーカーも好影響を受けるためです。また、この他にも猛暑が経済に与える影響はさまざまですが、気温や日照時間と個人消費には密接な関係があると言われています。もちろん業界によって好影響を受けるものと、悪影響を受けるものにわかれます。

まずは猛暑で好影響を受けるもの。その代表的な業界としてはエアコン関連や飲料関連があります。また、日焼け止めなどのスキンケア関連、冷菓関連、日傘・虫除け関連といった業界は、猛暑の年には業績が好調になりやすいです。イメージしやすいと思います。さらに、飲料の販売比率の高いコンビニ、猛暑による消費拡大効果で広告代理店の受注も増加しやすくなります。また、缶・ペットボトルやそれらに貼るラベルを製造するメーカー、原材料となるアルミニウムメーカー、それを包装するダンボールメーカーなども続けて好影響を受けているのです。そして消費拡大効果で荷動きが活発になる運輸、猛暑で外出しにくくなることにより販売が増える宅配関連なども、猛暑で業績が上がっています。

その一方、悪影響を受ける業界はどこになるのでしょうか。まずわかりやすいのは例えばテーマパーク関連です。暑すぎる状況では、日差しの強すぎるエリアがメインとなるテーマパークなどへの外出を避ける傾向にあるためです。それからガス関連もシャワーで済ます人が増えたり、そもそも水温が高いので少しのガスでお湯が沸くため悪影響を受けることが多いです。

また過去の気象の変化から、家計消費への影響を全体的に見てみると、気温上昇や日照時間が増加したときには、実質家計消費が増加する傾向になっています。単純に家計消費と気温や日照時間の関係だけを見ると、暑さは家計全体にとっては消費を押し上げているのです。

しかし、暑さという事実だけを見ても経済全体の正確なトレンドはわからないと言えます。例えば気温で見てみると30度前後の晴天であれば、行楽地の人出が増えて観光、宿泊などの対面型サービス業に大きな需要をもたらすことになります。ただしそれが35度以上の「猛暑日」となりそれが続くようなら、逆に観光地の人出は抑制され、外出を控えることになります。さらにそのため身の回り品の購買にも行かなくなり、個人消費が下押しされることになるのです。

他にも平年よりも早い梅雨明けと猛暑の影響で冷房需要が想定以上に高まったこともあり、電力需給が平年よりも逼迫する懸念も出てきています。資源エネルギー庁がまとめた2022年の電力需給に関する資料によると、10年に1度の猛暑となった場合に東京、中部、東北の電力の予備率は3.1%に低下するという見立ても出ています。そのため節電の要請も広くされており、実際にABCashが本社を構えている東京都渋谷区のオフィスビル、渋谷マークシティでもビル全体で節電対応をしている旨の館内アナウンスが流れています。

それでは、お金のトレーニング。猛暑の年には、秋以降は経済成長はプラス、マイナスどちらに転じる傾向があるでしょうか?

答えは、マイナスです。猛暑の年は、夏が過ぎた後の10-12月に反動がくる可能性が高いです。過去の例ではも記録的猛暑となった年は、夏に大幅プラス成長を記録した後、10-12月で個人消費主導でマイナス成長に転じている傾向にあります。つまり、猛暑特需は一時的に個人消費を実力以上に押し上げる可能性がありますが、その後の反動が大きくなる場合があるのです。したがって、今年も猛暑効果で夏に過剰な出費がなされれば、秋以降は家計が節約モードに入る可能性が十分にあります。

このように梅雨明け、猛暑などの一般的なニュースから、経済のことがさまざまな角度で読み解けますし、未来を予測することもできます。ABCashではマンツーマンでお金のトレーニングを提供していますが、「ニュースの見方トレーニング」というプログラムがあります。正しい金融リテラシーを身につけるために必要なニュースの紐解き方をマスターしてもらうお金のトレーニングプログラムで人気です。ニュースから世の中の動向を正しく捉えて、自らの金融リテラシーも日々高めることができると、世の中の未来を予測し、そこに事前に備えることができるのです。

日々テレビで目にする当たり前のニュース。ただその見方を変えるだけで、お金のプラスの側面とマイナスの側面が見えてきます。それを自分の生活やお金と紐付けることができれば、世の中がまた違って見えてくるはずです。世の中の動きを正しく知るということ、そこから世の中の未来を予測するということは、重要なお金のスキルのひとつなのです。

Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。

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