裕福ではなかった幼少期を経て、今や北海道で多くの賃貸マンションを所有する「ギガ大家」となった不動産投資家の末岡よしのり氏。収入を左右するのはすべての選択にあるという考えのもと、成功者の物事の捉え方を伝授。末岡よしのり著『金持ち列車、貧乏列車 成功者だけが持つ「切符」を手に入れる方法』から一部を引用してお届けする。
仕事は10倍頑張るより、10分の1に減らす
「自転車」の馬力は何馬力だか知っていますか? 0・2〜0・3馬力だそうです。5人で漕いで、ようやく馬一頭と同じくらいということになります。
50ccの「スクーター」は5〜7馬力程度、750cc「大型バイク」は75馬力前後です。
つまり、小さなスクーターでさえ馬5頭分、大型バイクならば馬75頭以上の力を持っていることになります。だから、あれだけのスピードが出るのです。
このように道具を使うと、人間は筋力を何十倍にもパワーアップできます。
これはお金を稼ぐときにも使える方法です。
「一日8時間働いて1万円稼ぐ人」が「一日1時間で1万円稼げるようになる」と、7時間の余裕が生まれます。その時間は、さらに新しい価値を作り出すチャンスになります。お金持ち列車に乗る人は、創造的な時間に最も価値があることを知っています。具体的な例で説明しましょう。
たとえば、あなたがフリーマーケットで、不用品を売ったとしましょう。この場合、丸一日会場に座っていても売上は1万円くらいです。ところが、これをネットショップで売ります。すると、扱える商品の量も顧客も一気に広がり、売上は一日10万円になります。
さらに発送業務を外注すれば、ネットショップを10店舗持つことも難しくはないでしょう。売上はどんどん増えて、一日100万円を超えます。最終的に、不用品を売りたい個人向けにネットショップのような「売り買いの場」を提供したらどうなるでしょうか? そこまで行けば、自分の時間をほとんど使わなくても、メルカリのような上場企業が誕生します。
日本の高額納税者番付1位に輝いたこともある銀座まるかん社長の斉藤一人さんは、「ひとりの人が10倍仕事をすることはできないが、その仕事を10倍簡単にすることはできる」と言っています。お金持ち列車に乗ることを目指すなら、ぜひ「10馬力の仕事術」を考えてみてください。
タクシー会社が自動車保険に入らない理由
トラックやタクシーなどを扱う運輸会社の多くが、実は保険に入っていないことを知っていますか?
ここでいう「保険」とは、テレビで盛んにCMをしている「任意加入の自動車保険」です。たとえば、トラックを1600台保有している運送会社の場合、もし保険に加入するなら必要な保険料は年間約6億8100万円と試算されました。
一方、この会社で実際に対人・対物の事故賠償で使われた金額は年間約1億6200万円だったのです。つまり、保険料を支払わずに単純に積み立てておき、事故の際にはそこからお金を払うようにすると、なんと年間5億円以上も節約できるのです(柳原三佳『自動車保険の落とし穴』朝日新書)。
ですから、多くの運輸会社は自動車保険に入りません。わざわざ高い保険に加入しなくても、お金を積み立てていれば事故が起きてもはるかに安くつくからです。
同じように、あなたが住宅ローンを組んで家を買ったとすると、生命保険に入る必要はありません。住宅ローンを組む際は自動的に、「亡くなった時点で住宅ローンが完済される」という特殊な生命保険に加入させられます。
つまり、あなたに万一のことがあれば数千万円の価値がある不動産が家族に残されるわけですから、無理に高いお金を払って別の生命保険に入る必要はないのです。
家のローンを払い終わった後も、生命保険に入る必要はありません。
残された家族にお金が必要なら、その家を売却すればいいからです。
とにかく、日本人は保険が大好きです。生命保険から医療保険、最近は年金保険や収入保障保険といったものまで毎日のようにテレビCMで流れています。その結果、日本人のおよそ80%が生命保険に加入しているという状況になりました。
海外の生命保険の加入率は、アメリカで約50%、イギリスは約25%、ドイツは約40%といいますから、日本の加入率がいかに高いかわかるでしょう。
お金持ちはありえないくらい人を大事にする
「お金に羽は生えているけれど、足は生えていない」とよく言います。これは、「お金は知らない間に使ってしまって飛んでいくが、向こうから歩いてあなたのところにやって来ない」という意味です。
昔はお金のことを「おあし(=お足)」と呼んでいました。
人に感謝される商売をしていると、人が歩いてやって来てお金を払ってくれます。
まさに「人=お金=お足」と言えるでしょう。
だから、お金持ちは人を大事にします。お金を運んでくるのは人だからです。お金が人を動かしているのではなく、人がお金を動かしているのです。
言い換えれば、人の心が動いて初めてお金が動くのです。
お金持ちはこの原理がわかっているからこそ、人をとても大事にしているのです。
そして、お金も、人の心を動かせる人のところに集まります。
私は何人かの社長さんと食事をした後、カバンに付けておいたストラップが外れてなくなっていることに気がつきました。妻から結婚記念日にもらった大切なストラップだったのですが、ある社長さんは値段を聞いてきて、「なんだ、安物なら買ったほうが早いよ」と言いました。もうひとりの社長さんは、「大切な品なんですね」と心配してくれましたが、それで終わりです。最後まで残った社長さんが、「駅までの道を歩いて捜しましょう」と提案し、彼は私と一緒に捜してくれたのです。
結局、ストラップは見つからなかったのですが、私の「探し物」は見つかりました。
人は「自分を大切にしてくれる人と付き合う」という習性があります。
「世界一のメンター」と称されるジョン・C・マクスウェルは講演会の中で、
「社員は自分の価値を最も認めてくれる上司の下で働く」と言っていました。
うわべだけの付き合いではなく、本音で語れる経営の友がいることが私の財産です。