35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」第132回!
penny-pincher=ケチな人!?
日本語と英語がペラペラのフランス人の方と、先日オンラインでお話しました。
その方が日本語を忘れないようにするための練習にお付き合いしたのです。
その際に『Radin!』というフランス映画がすごく面白い、と言っておられました。
フランス語のタイトルを聞いただけでは、意味がわからず、どういう映画か見当もつきません。
「英語のタイトルは確か『Penny Pincher!』でしたね。主人公はこのタイトル通りの性格なんです」
そう説明してくれましたが、英語で言われても「ペニーピンチャー」がわからないので、やっぱりどういう話か予想できませんでした。
けれども、強がって「ああ、英語で言われてやっと意味がわかった」みたいな顔をしながら、こっそり調べたら、こういうことでした。
penny-pincher=ケチな人
「節約が生きがいの独身バイオリニストの話です。デートで行った高級レストランの食事をビニール袋につめて持って帰ろうとして彼女に驚かれるシーンが面白いんですよ」
ということで、ケチな人を描くコメディのようでした。
“penny” とは、イギリスの1円程度のお金で、アメリカの1セントコインのこともこう呼ぶみたいです。“pinch”は「つまむ」という動詞ですから、“penny-pincher”を直訳すれば「1円をつまむ人」となります。お金を大事にしすぎて、財布から注意深く1円をつまんで取り出す、そんなイメージからきている言葉だそうです。
日本語で「ケチ」と使う時はだいたい悪口ですが、この“penny-pincher”もそうなのでしょうか。後日英語教師に聞いてみると、こう言っていました。
「“mise”と似ている言葉だけど、ただ単に予算がないから節約しようとしている人っていうニュートラルな意味でも使われるよ」
“mise”を辞書で引いたら「守銭奴」と出て来ました。“penny-pincher”は「守銭奴」とも似ている言葉だけど必ずしも悪口ではない、ということなので日本語で言えば「倹約家」といったところでしょうか。“penny-pincher”の同義語で調べるとこのような言葉がでてきました。
Tightwad
Cheapskate
Skinflint
どれも聞いたことがなかったのですが、メリアムウェブスターの辞書によればどれも「財布の紐がかたい人」というような説明でした。ケチのことを“Stingy”というのは、学校でも習った気がしますが、同義語に“Stingy”が載っていないところを見ると、必ずしも「ケチ」という直接的な悪口ではないのかなという印象です。
「主人公は、“penny-pincher”だから、調味料も数年賞味期限が切れたものを使っているんだ。で、元カノとのデートで、何十年も使用期限が切れたコンドームを使っていたから、別れてから実は自分に娘がいたことを知るんだけどさ」
そして、突如現れた娘にも倹約を強要する、というストーリーだそうです。
なんだかすごく面白そうですが、この映画、日本では公開されておらず残念ながら観ることはできません。英語タイトルがあるということは、英語字幕ではどこかでDVDが作られているはずなので、いつか国外で出合うことがあれば、見てみたいです。
Illustration=Norio