男性こそ読んでほしい、フェミニズムとジェンダーへのリアルな考察
言わずと知れたフェミニストの大家、上野千鶴子さんと、元AV女優で作家の鈴木涼美さん。親子ほど年齢の離れたふたりが「結婚」「恋愛とセックス」「承認欲求」「仕事」など、毎回違うテーマで往復書簡を交わしているのが本書です。その場で言葉を交わす対談記事と違い、お互いがじっくりと時間をかけて考え手紙を送り合うこのスタイルによって、「読み応え」とひと言で片付けてしまってはもったいないほど、濃〜いやり取りが繰り広げられています。
’80年代生まれの鈴木さんは私と同世代。女子高生ブームなどで昔はもてはやされてきたこの世代も、すっかり「おばさん」と言われる域にさしかかっており、ひと回りも下の若者たちの勢いもひしひしと感じる……。
鈴木さんが「限界」を感じるこれまでのやり方や若い世代との考え方のギャップ、いくつになっても逃れられない母との関係性への苦悩には、思わず共感してしまいました。また、上野さんがそんな彼女の話を受け入れながらかけていく言葉の数々が、厳しくも愛があって、とても温かい。
限界の地点から考えるフェミニズムとジェンダー。ふたりの本気のやり取りが詰まった1冊、男性の方々こそ必読です!
『往復書簡 限界から始まる』
上野千鶴子 鈴木涼美 著 幻冬舎 ¥1,760
Mayuko Saeki
ヴィエリス代表取締役。全身脱毛サロン「メンズキレイモ」等を60店舗以上展開。1600人の従業員とともに、SDGsの実現にも積極的に取り組む。移動時間はすべて読書に費やす読書家。