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2021.10.23

地球と宇宙をつなぐ「宇宙エレベーター」がついに実現に向けて動き出した!

大林組

静止軌道ステーションは、宇宙におけるターミナル駅。実験ユニットや居住ユニットなども備えられている。

宇宙の〝移動〞インフラ革命を巻き起こす!

東京スカイツリー®完成の2012年、建築を手がけた大林組は広報誌に〝タワーの未来構想〞を発表した。地球と宇宙をつなぐ「宇宙エレベーター」だ。基本コンセプトから全体構成図、施工ステップや荷重計算、基地や静止軌道ステーションの建造など30ページ以上にわたって書かれた詳細な構想は、想像を超える反響を世界中で巻き起こした。

「私たちもびっくりしました。インターネット上では、見たことのないような言語でコメントが書かれていたりしました」

こう語るのは、同社未来技術創造部上級主席技師の石川洋二さん。宇宙エレベーターとは、地球と宇宙の間をケーブルでつなぎ、クライマー(乗り物)で往復する交通システム。ケーブルの長さは約10万㎞。地上から宇宙に伸びたケーブルは、地球の持つ引力と地球から離れようとする遠心力によって釣り合うという。直立するのだ。

「考え方は、100年以上前からあるんです。宇宙関係者の間では、よく知られていました」

大林組

宇宙と地球をつなぐ、宇宙エレベーターの発着場「アース・ポート」。台風の発生が少ないことから赤道に近い南の島が理想的だという。

石川さんは東大で博士号を取得後、アメリカの大学の研究員となり、NASAエイムズ研究センターに博士研究員として在籍した経験を持つ。帰国後の1989年、宇宙開発プロジェクトを開始していた大林組に入社。宇宙関連の計画はその後ストップしてしまうのだが、’11年、タワーの未来構想を考えるにあたり、宇宙エレベーター建設構想に関わることになった。

「社内横断的にさまざまな専門を持つ7名が集まり、1年かけて構想をまとめていったんです」

かつては、考え方があっても、実現は不可能だとされた。課題は、両側から大きな張力がかかるケーブルの強度だった。

「ところが、’91年に日本の物理学者、飯島澄男教授によって新材料が発見されるんです。カーボンナノチューブです。この新材料なら検討できるのではないかといわれるようになった」

大林組

約10万kmにも及ぶ宇宙エレベーター。静止軌道ステーションを経由して、火星や木星、小惑星へと移動することも可能だ。

地球のエネルギー問題の解決の糸口にも

宇宙エレベーターが実現すれば、人やモノを大量に運べる。ロケットで静止軌道まで運んでいる衛星の打ち上げも、エレベーターから放出するだけだ。

「静止軌道を越えると、地球から離れる力が働きます。なのでそれより高い高度に宇宙船を運べば月や火星にロケットを使わずに飛ばすこともできる。遠く木星や土星にも低コストで送れます。小惑星から希少な金属や資源を入手できる可能性もある」

エネルギー利用も考えられるという。例えば、静止軌道に太陽光パネルを広げ、発電して地球に送電する宇宙太陽光発電衛星構想があるが、ネックのひとつは材料をどう送るか、だった。

「太陽光パネルは長さが数キロもの大きさになります。ロケットで簡単に送れないんです」

それなら、宇宙エレベーターで運べばいい。宇宙は雨も降らず、24時間、安定的に太陽光発電ができる。地球のエネルギー問題の解決にも役立つのだ。

「あとはもちろん、観光という用途もありますね」

反響の大きさに実用化の検討を経営陣は指示。研究開発チームがつくられ、’19年には新部署・未来技術創造部が生まれ、宇宙関連の部署が誕生した。

「宇宙に行く、住む、使う、の3つの活動を推し進めています」

宇宙エレベーター建設構想の推進も取り組みのひとつだが、実際には課題はまだまだ多い。

「カーボンナノチューブは、まだ数十センチの長さしかできていない。技術のブレイクスルーがいくつも必要になります」

そもそも大林組だけではつくれない。多様な産業の力を結集し、国際的な協調体制も必要だ。ただ、この夢の構想は着実に宙へと上昇している。

『大林組』HISTORY
1987年 宇宙開発プロジェクト部を発足
1996年 宇宙開発プロジェクト部を廃部
2012年 『季刊大林』にて宇宙エレベーター建設構想を発表
2019年 未来技術創造部を発足

ゲーテ11月号は、宇宙の最新事情を網羅した完全保存版!

TEXT=上阪 徹

PHOTOGRAPH=野㟢慧嗣(人物)

COOPERATION=大林組(写真提供)

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