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2021.07.24

オンライン会議で対面相手と会話を弾ませるヒント

オンライン会議が増えた昨今。対面する相手が、ひとりや数人で全員とコミュニケーションを取りやすい会議もあれば、数十人に対して今自身が手がけるプランをスピーチするような会議もある。多様なシーンを経験し、オンラインへの対応力があがってきているとは思うが、「やっぱりリアルで対面したほうが、相手の表情も分かるし、気持ちを伝えやすい」なんて、心の隅であっても呟いている暇はない。ここでご報告するのは、僕、GOETHE編集長・池上が試みた、話し方のプロフェッショナルにオンラインで対面相手と会話を弾ませるヒントを学んだ、“話し方の自己改造計画”だ。

相手が受け取りやすく伝えるためには“スキル“が絶対必要だ

今回、レッスンをしてくださったのは、中部日本放送アナウンサーを経たのち、NHK衛星放送キャスターをされてきた、阿隅和美さん。『仕事ができる人の話し方』という本の著者でもある。これまで15,000人以上のビジネスパーソンに、話し方、プレゼンテーション、コミュニケーションの研修やトレーニング指導を行ってきた、WACHIKAコミュニケーションズの代表だ。「これからの時代はますます、対面でもオンラインでも、どちらもうまく会話をできる人がビジネスチャンスを手にします。成果につながる話し方にはセオリーがあるんです」(阿隅さん)と、初レッスン時に聞いた言葉が印象的だった。

そもそも今回、僕の学びのきっかけになったのは、約30,000人が視聴するオンラインイベントのため。それは名刺アプリ運営をする「Eight」(Sansan)、「テレビ東京」、「GOETHE」(幻冬舎)の3社が一体となり、2021年5月21日(金)から3日連続にわたって開催したオンラインイベント「Climbers(クライマーズ)」。アスリート、文化人、経営者、政治家ら、各界のトップランナーたちによる人生の特別講義のいくつかで、僕は、MCを担うことになったのである。話を聞いたお相手は、配信2日目に阪神タイガーススペシャルアシスタントの藤川球児さん、配信3日目に読売巨人軍特別顧問、野球評論家の高橋由伸さんという錚々たるお二人。そして、対面相手の人数としては経験したことがない視聴者数約30,000人がモニターの向こうにいる。重責だ。普段、会社で行うオンライン会議とは少し種類が違うものの、その学びのレッスンには、オンラインで対面相手と会話を弾ませるヒントが詰まっていたのは言うまでもない。

藤川球児さんにインタビュー

藤川球児さんにインタビュー。「悔しさは最高のエネルギー。炎のストッパーが見せた逆襲魂」というテーマをもとに講義をしていただいた。

高橋由伸さんにインタビュー

高橋由伸さんにインタビュー。巨人軍の看板選手として輝かしい成績を残された背景にあるのは「変化を恐れず挑戦することが成長の鍵」と語ってくれた。

レッスンで得た5つの初歩的心得

オンラインイベントがゆえ、30,000人という視聴者の顔は見えない。イベント当日は、質問票を準備して万全体制で臨むとしても、お二人に、どのようにインタビューして、どのように会話を進行すれば、うまくモニターの向こうの視聴者に伝わるのか? そんな思いでレッスンを受けた。

今回の短時間のレッスンのなかで、特に効果的だった例をひとつ挙げたい。「お腹に少し力を入れて、相手の4~5メートル先に声を届けるように話す」である。これは、プレゼンにおいて話のメリハリが自然に出る「イメージ話法」というそう。

「実は、特にオンライン時のプレゼンでは、原稿やパワーポイントの単なる読みあげで機械的な話し方になり、熱意が伝わらないことが多々あります。“対面の3割増し”くらい豊かな表現力を発揮する必要があるんです」(阿隅さん)。

そこで、相手に対して自分の発するインタビューを山なりに遠くに放つイメージ、つまりボールを投げるようなイメージで伝えると、自然な抑揚がつき、メリハリが出ると教えていただいた。

短時間のレッスンだったが、以下が、オンラインで対面相手と会話を弾ませるヒントとして、ほか4つの初歩的心得である。

2、話を際立たせたい部分で、わざとらしいくらい、強弱、高低、スピードの緩急、間を使って話す。
3、正しく綺麗な文法通りに話すのではなく、ふだん相手と会話する時のように話し言葉を使う。
4、アナウンサーのように話し手のプロではないので流暢に話せなくてもいい。気持ちを伝えることが重要だ。
5、息をたっぷり使い、意識して口を縦に開けて話すようにする。

5つの心得のなかで、特に「イメージ話法」を意識してインタビューに臨んだことは、“話し方の自己改造計画”の一端を担ってくれたと思う。リアルでもオンラインでも、仕事ができる人の話し方にはコツがある。そのコツを習得することは、今よりも仕事の成果を導く、ひとつの近道なのかもしれない。

 

『仕事ができる人の話し方』

僕がレッスンで得た5つの初歩的心得もしっかり網羅されている、阿隅和美さんの著書『仕事ができる人の話し方』(青春出版社 ¥1800+税)。本書は、商談、プレゼン、会議、面談、スピーチなどのビジネスシーン別に、対面相手とどう話せば効果的なのかを解説したもの。例えば、初対面の挨拶で距離を縮める話の切り出し方、会議でタイミングよく効果的な発言ができる人のテクニック、会議の提案でなぜか了承を得るのがうまい人の法則、など。そこには“うまくない人の話し方”と“うまい人の話し方”の具体的な見本が書かれている。

 

Asumi Kazumi
WACHIKAコミュニケーションズ代表取締役。青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経たのち、NHK衛星放送キャスターとして「ワールドニュース」「マーケット情報」を10年担当。その後フリーとなり20年に渡りTVを中心にスポーツ、経済、情報番組で、のべ3000回にのぼるインタビュー取材、のべ20000人以上の前に立つ。現在は、テレビの現場で培った技術を活かし、のべ15000人以上に対して、ビジネスの現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っているほか、経営者、管理職、エグゼクティブリーダー向けに、プレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施。

「WACHIKA」の公式ウェブサイトはこちら

TEXT=ゲーテ編集部

PHOTOGRAPH=ゲーテ編集部

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