アートとサウナによる新しいカタチの展覧会「チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」が、3月22日から8月31日までの半年間限定で東京・六本木にて開催。いまだかつてない特別なアート体験をレポートする。
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サウナに入り、超自然現象的アートと一体化
今やすっかりその人気が定着した感のあるサウナ。
そんななか、最近よく耳にするようになったのがサウナ用語の「ととのう」だ。これはどのような状態のことを言うのか。医師で日本サウナ学会理事、「医者が教えるサウナの教科書」の著者、加藤容崇氏はこう解説する。
「『ととのう』とは、サウナ、冷水浴、休憩のプロセスのうち、冷水浴直後の休憩のときに感じられる心地よい通常とは異なる感覚のことを指します。医学的には、サウナ、冷水浴中の交感神経優位の状況から、休憩時間中に反動をつけて大きく副交感神経優位になる状況のこと。さらに、サウナにより『ととのう』と、深くリラックスし、創造性が増し、感覚が研ぎ澄まされ、頭がスッキリと感じられるようになります」
では、サウナ、冷水浴後の休憩時に、アート鑑賞を行うとどうなるのか、そんな特別な体験をできるのが、3月22日から8月31日まで東京・六本木で開催される「TikTok チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」だ。
会場は、サウナエリア、冷水エリア、アート浴エリアの3つで構成。まずは男女別の更衣室で水着に着替え、温水シャワーを浴びる。そしてサウナ室へ。体験方法は、サウナ室で汗をかき(5〜10分)、冷水シャワーを浴び(1〜2分)、そしてアート浴エリアで作品を見ながら休憩するというのが1セット。アート浴エリアでは3作品を体験することができるので、その順番を3セット繰り返して体験するのがおすすめだ。
サウナエリアには女性専用を含め、計7種類のサウナ室を設置。スタッフによるロウリュが行われるサウナ室もある。また、焚き火や水琴窟(すいきんくつ)、洞窟の川、森の風にインスパイアされた環境音や音楽が流れており、ほうじ茶(九州・嬉野のEN TEA)や、白樺、松、ジュニパー、シナモン&ジンジャーなどのアロマの香りが漂っている。中温多湿から超高温ドライまで、様々な温度・湿度のサウナを体験できる。
ふたつの冷水エリアでは、チラー(冷却器)によって冷やされ、温度が一定に維持された冷水シャワーを完備。直径30cmの超大型シャワーヘッドを頭上と肩口に設置する。水風呂でなくても、頭から大量の冷たい水を浴びられるので、存分に冷水浴が可能。なお、ここでは霧状となった水に、禅における書画のひとつ「円相」をモチーフにした《円相を通り抜けて》と《円相に迷い込んで》が映しだされており、身体ごと作品に没入することができる。
続いてアート浴エリアへ。3つある作品の鑑賞順路は決まってないので自由に選択できるが、1セット目は《降り注ぐ雨の中で増殖する無量の生命》がおすすめだ。この作品は、誕生と死を繰り返しながら増殖していく無数の花々を描いたもの。現実世界と同じ時間の流れで種類が変わっていく花々は、増殖しすぎると一斉に散って死んでいくという。作品前の椅子に座って、生命の循環に思いを馳せる。
2セット目は、《生命は結晶化した儚い光》へ。この作品は様々な光の結晶が空中に浮遊するもの。身体ごと作品空間に没入すると、身体に触れた光の結晶は壊れてしまう。生命の脆弱さを想起させる。
そして3セット目、最後に体験したいのが、巨大な球体が空中を上下して浮揚する作品《空中浮揚》。球体はまるで物理の法則に反する超自然現象かのように万有引力に逆らい、地面からゆっくりと空中に浮遊していく。浮遊すると真っ赤な平面の円のようになるこの作品は、鑑賞者を完全な非日常へと導いていく。
チームラボの代表、猪子寿之氏は言う。
「サウナに入り、ととのいながらアートと一体化する。この新しい展覧会は、高級な場所にアートを置いて人々に見てもらうよりも、人々を最高級な状態にして、アートを見てもらおうというもの。来場者がどこまでも広がっていく身体感覚で超自然現象的アートと一体となり、世界と時間に再びつながること(リコネクト)を目指しています」
サウナに入り、ととのい、そしてアートに没入する。普段の感覚では味わえない特別な体験が待っている。
チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木
会期:3月22日〜8月31日
所在地:東京都港区六本木5-10-25
開館時間:10:00〜23:00(3月22日〜4月23日の平日は12:00〜) ※最終入館は21:30
休館日:不定休
料金:平日 4800円/日祝・特定日 5800円
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